「秋の風景」と言えば、
ススキが揺れる草原とか、
絢爛豪華な紅葉や、
波打つ稲穂、
群れ飛ぶアカトンボ…
でも、
「あばら家に柿の木」というのが
私の中の秋の定番で、かつ最も好きな風景です。
山あいの小さな家、
萱ぶきでも萱ぶきでなくてもいいのです。
縁側に秋の日がふりそそいでいる。
柿の木は1本で、
真赤な柿がいっぱい実っていて、
たぶん渋柿、
あくまで非対称の画面。
私より年上の人なら実際にかつて見た風景です。
もちろん私はいろんなところで、何度も見てきました。
電車の中から、バスの窓から…あるいはもっと身近に、
見たことが無い若い人も、
この風景は心の中にもっているかもしれないと思うのですが、
どうでしょうか?
俳句や百人一首で読まれている風景が、
いつの間にか実際に見た風景のように
思えることがあります。
俳句のリズム、日本語のリズムや音が心に焼き付けているのですね。
上の写真は高野川の川面、
久しぶりに晴れて、川のさざ波が美しい
もう一枚は、雑草が思いきり茂っているどこかの庭。
ヌスビトハギが秋を満喫しているようす。
「渋柿!」の張り紙の真意は何でしょうかね。
うっかり食べて大変な思いをしないように、親切なのかもしれません。
渋柿の、吊るし柿や焼酎などでさわしたものの味も格別ですね。食べたくなりました。
季節がめぐるとその季節の物が食べたくなるものですね。
もう少ししたら、その土手のお家の紅葉を見に行きたいと思います。