夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ムーンライズ・キングダム』

2013年02月22日 | 映画(ま行)
『ムーンライズ・キングダム』(原題:Moonrise Kingdom)
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ブルース・ウィリス,エドワード・ノートン,ビル・マーレイ,フランシス・マクドーマンド,
   ティルダ・スウィントン,ボブ・バラバン,ジャレッド・ギルマン,カーラ・ヘイワード他

「衝動的に車を買った話」を挟みましたが、
TOHOシネマズデーになんばでハシゴ、3本目。
1本目2本目は本館で上映でしたが、3本目は別館に移動して。
この日のいちばんのお目当ては本作でした。
髪の毛のないブルース・ウィリスと髪の毛のあるブルース・ウィリスを連チャンで。

舞台は1965年、米国ニューイングランド沖に浮かぶ小さな島。

ある日、ボーイスカウトに所属する12歳の少年サムが、
ウォード隊長宛てに退団を告げる手紙を残して、キャンプ地から姿を消す。
隊長から報せを受けたシャープ警部が島外のサムの自宅へ連絡したところ、
父親とおぼしき男性が言うには、実はサムは孤児で自分たちは里親。
面倒を見きれないので、サムはもう戻ってこないほうがいいと。

さて、ぐるりと弧を描く島の、キャンプ地からはほぼ反対側に位置するビショップ家。
3人の幼い弟を持つ少女スージーは、偏屈な父親と口うるさい母親に辟易している。
本を読んだり双眼鏡で人々を眺めたりしながら退屈な日々をやり過ごす。
そんな彼女が1年前に出会ったのがサム。
以来、ふたりはずっと文通をつづけ、駆け落ち計画を練ってきた。
サムが姿を消したのち、スージーも子猫を連れてこっそり家を出る。

約束の草原で待ち合わせたふたりは、地図を片手にとある入り江に向かうが、
駆け落ちを知った大人たちは大慌て。
折しも島には大型ハリケーンが接近中で……。

周囲でも意外に注目度が高くてビックリしましたが、
もしも予告編からほのぼのとした作品を思い描いている人がいらっしゃいましたら、
それはちょっとちがうかもしれないとお伝えしたい。
犬の首が矢で射貫かれたり、キレたスージーがハサミを突き立てたりと、
「こんなはずじゃなかったのに」となる可能性が否めません。

独特の間を持つ、とにかく変な監督です。
カルト的人気を誇る『天才マックスの世界』(1998)は、
日本では未公開だったゆえにDVDを購入しましたが、
手元に置いておきたいほどには楽しめず、1回観たきりでサヨナラ。
けれども『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』(2001)には惚れました。
そのジャージの色がツボでなければ、本作もつまらないかもしれません。
『ライフ・アクアティック』(2005)は同じように変で、
『ファンタスティック Mr. FOX』(2009)はもうちょい万人受けしそうな感じ。

ビル・マーレイのパンツの派手な柄とか、
短パンで真顔で走るエドワード・ノートンとか、
その彼をなじるハーヴェイ・カイテルだとか、
逆さ吊りになったブルース・ウィリスの影絵図とか、
大笑いはしないけど、妙にツボにハマるシーンがいっぱい。
そういえば、エドワード・ノートンとハーヴェイ・カイテルって、
『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』(2012)でウワサされた顔ぶれですね。

嫌われ者だったサムなのに、駆け落ちを実行したことで株を上げ、
ボーイスカウトのメンバーが急に一致団結したり、
スージーを反抗的にさせた原因が冷蔵庫に貼られた「問題児への対処の仕方」だったりと、
子どもってそうなのかもしれないと思うことも多数。

エンドロールが終わりかけのころから、いろんな楽器の音で楽しませてくれます。
最後までお席を立たずにどうぞ。

「私たち、恋してるの。一緒に居たいだけなのに」。
「また明日ね」。
変な監督だと思いつつ、そんな言葉にウルっと来た私なのでした。

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