夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2018年5月に読んだ本まとめ

2018年06月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2018年5月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4834ページ
ナイス数:992ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■逢魔が時に会いましょう (集英社文庫)
文庫書き下ろしにあまり期待していない身としては、たとえ荻原さんでも期待薄。意外に面白いぞと思ったら、純粋なる書き下ろしではなく、デビュー後数年の頃の作品のリメイク+書き下ろし最終話。民俗学の准教授・布目の妖怪探しに同行する大学生・真矢。ユニバーサル広告社シリーズに比べると控えめな印象だけど、真矢と布目のコンビが楽しく、時折ふきました。電車の中で読んでいたら「怪しい人」になっていたはず。「ロング丈のブリーフのもっこり」なんて若干の下ネタもワラける。「サネヒサ」もツボ。全体的にこぢんまりと楽しい、そんな感じ。
読了日:05月01日 著者:荻原 浩
https://bookmeter.com/books/12773466

■極限冷蔵庫 (PHP文芸文庫)
しょうもな!と思いながらついつい読んでしまう木下半太。居酒屋の業務用冷蔵庫に閉じ込められた女二人、店長とバイトの女子大生。どちらも性格よろしくない(笑)。「すべての予想は裏切られる」って、そない大げさな。「これは事故か誰かの悪意か」って、んなもん悪意に決まっとる。半太さんの著作ではかなりショボいほう、しかも後味イマイチ。だけど、毎度テンポがよくて、2時間かからずに読めるのです。一応「読書した」という気にもなれるし、月初に弾みをつけたいときにはいいんだなぁ、これが。次はもっと予想を裏切られたい。頼むぜ半太。
読了日:05月02日 著者:木下 半太
https://bookmeter.com/books/11457587

■ラプラスの魔女 (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】映画には「20分ルール」なるものがあるそうです。開始後ほぼ20分で事件が起きるという。なのに開始と同時にぶおーっと竜巻、次のシーンでは温泉で人バタリ。暗黙のルールなどのっけから無視の三池崇史監督にウケました。原作で頁の割かれていたあれこれを徹底的に削除しているため、わかりやすいけれど茶番度は増し気味か。トヨエツの最後の演説がやや仰々しい。でも月虹は美しく、ラストのすずちゃん櫻井くんのシーンも好きです。雪の粒はもう少し小さめのほうが情緒ないっすか。リリーさん良し。
読了日:05月04日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/12581318

■裁判狂時代―喜劇の法廷★傍聴記 (河出文庫)
裁判傍聴の抽選に事務所命令で並ばされたのがきっかけでハマったという芸人。冒頭の初心者向け傍聴マニュアルを読んだだけで即行ってみたくなる。真面目に話していることそれ自体が可笑しいって、日常でもよくありますよね。たとえば私が思い出すのは、下着泥棒を働いたどこぞの教師の動機についての報道。アナウンサーが大真面目に「ムラムラした、とのことです」と言っているのを聞いたとき、笑いが止まりませんでした。本作でも「それを真面目に話している」のがオモロイところ多数。人間って、ほんとにバカ。それを読んで笑っている私もアホ。
読了日:05月04日 著者:阿曽山大噴火
https://bookmeter.com/books/487151

■孤狼の血 (角川文庫)
著者初読みです。今いちばん気に入っている白石和彌監督による映画版が公開されるのでなければ、読むのを先送りにしていたかも。女性の書く警察小説だと思ってナメ気味でした。すんません。暴力団係の新人刑事・日岡(松坂桃李)と凄腕のマル暴刑事・大上(役所広司)。『仁義なき戦い』好きだというだけでこんなにも書けるものでしょか。月並みな感想になるけれど、骨太でかつ繊細、切なさ(←これ大事)も満載。映画を観る前に読んでおいてよかった。もしも読まずに観ていたら、「えっ、死んじゃうの!?」と涙目になっていたことでしょう(笑)。
読了日:05月08日 著者:柚月裕子
https://bookmeter.com/books/12204458

■ブランケット・キャッツ (朝日文庫)
映画『レンタネコ』(2011)のようにリヤカーに猫を乗っけて回るのではなく、ペットショップの副業。猫たちはレンタル先の家庭の状況を的確に読む。猫エライ。しかし、どうやら私は、重松さんの著作ならオヤジ連中の話、もしくはオヤジと子ども、あるいは子どもの話のほうが好きみたい。嫌われ者の管理人の章には泣かされたけど、夫婦や女性が主の章では、アラフォー以上の女性が「○○ちゃん」と猫を呼ぶ姿が若干キモい。キモいと言いつつも私自身、きっとそうなっている(笑)。なんぼ猫なで声出しても可愛ないっちゅうねん。気をつけよっと。
読了日:05月10日 著者:重松 清
https://bookmeter.com/books/2318524

■ホテル・コンシェルジュ (文春文庫 か 48-4)
ホテルの新米フロント係・麻奈にコンシェルジュ・九鬼が振る厄介な相談事。相談の主は富豪の伯母を持つ客・桜小路。普通には面白いんですけれど、可も不可もなさ過ぎる。真面目な麻奈と冷静な九鬼、天然の桜小路に横暴な伯母。キャラとしては面白いはずなのに、時折そのキャラが腹立たしい方向に走ってしまったりもして、なんだかドタバタしているうちに終わってしもた。「みだらな仏像」に映画『燃える仏像人間』(2012)ぐらいの衝撃度を求めちゃいかんか(笑)。寝屋川にスポットを当てた小説を読むのは初めて。そこのところは楽しめました。
読了日:05月11日 著者:門井 慶喜
https://bookmeter.com/books/9839933

■世界でいちばん長い写真 (光文社文庫)
『プラージュ』がすごく良かった勢いで何冊か購入したうちの1冊。写真が長いってヘンテコなタイトルだなぁと思っていたら、こういうことですか。とても好き。中学3年生の宏伸は、親友の転校で意気消沈。そんな折、祖父のもとへ届いたカメラに魅入る。写真は撮るのも撮られるのも嫌い、カメラにも興味なしの私が、本作にこんなに惹かれるとは思いもしませんでした。簡単に動画も撮れるようになった世の中だからこそ、固定される一瞬の面白さ。卒業記念のイベントに胸が熱くなります。映画版では宏伸役に高杉真宙。冴えない役には顔綺麗すぎ(笑)。
読了日:05月11日 著者:誉田 哲也
https://bookmeter.com/books/5613806

■孤狼の血 (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】封切り日に観てきましたが、グ、グロい。上早稲が拷問されるシーンからスタート。豚のおケツが画面にどアップ、脱糞モロ写しは勘弁してほしかった。大上がヤクザ自慢の真珠をメスで抜き出すシーンなんてのもアップ。ゲロゲロ〜。日岡が監察官であることは中盤に明かされ、彼は大上のことを憎みこそすれ原作のように認める気持ちは無し。大上と一之瀬の間にも原作ほどの信頼関係を感じられず。急ぎ足で進められた印象で、改変されているキャストやラストも含めていろいろ残念。映像の昭和色はいいけれど。
読了日:05月13日 著者:柚月裕子
https://bookmeter.com/books/12204458

■蓮の数式 (中公文庫)
大人買いするほどは著作がないため、マイブームになっているとまでは言えないけれど、間違いなく今いちばん惹かれる作家です。引き込まれ度という点では満点。主要な登場人物に心から共感できる人はいないのに、二人の逃避行の行く末が気になって、途中で本を閉じることができません。算数障害というものも初めて知りました。人は、自分の測りでしかものを見ていない。心に闇を抱える人の役に立てるはずだというのは、時にただの思い上がり。辛すぎて、厳しすぎて、読後は呆然。蓮の花がポンポンと音と立てて咲くシーンだけが美しく目に浮かびます。
読了日:05月14日 著者:遠田 潤子
https://bookmeter.com/books/12543262

■にょにょっ記 (文春文庫)
正直に言います。冊数稼ぎのために手に取りました。だけど。笑った笑った。この人が言うと、たとえ下ネタでも下品にならない。金玉挟まれて「ぎゃん」という、これを女性たちは知らんだろうと胸を張りつつ、でも女性が知っていて男性は知らんことのほうが多いはずと女性をフォローする。そう言われると思い出す、生理用品のCM。「2日目でも安心」というフレーズに、「2日目ってどうなるん!?」と本気でおののいていた男性がいました。凄いのよ、2日目(笑)。解説に代えた西加奈子の日記も傑作。息抜きにと思って読んだら、息抜き以上の効果。
読了日:05月15日 著者:穂村 弘
https://bookmeter.com/books/4560504

■羊と鋼の森 (文春文庫 み)
ピアノの調律師との出逢いが人生を変える。さまざまな登場人物が語る比喩、例え話に心を動かされます。ワインだったり料理だったりをピアノの調律に例える。特にゆで卵の話は面白くて唸りました。無駄な経験なんてない。イメージできるかできないかの差は大きい。巷の評価は高いけど、著者の作品のなかではこれがいちばんというわけではないなぁ。でも本当に森の匂いが漂ってきそうで、映画はとても楽しみです。「逆立ちしたって敵いっこない」と言うけれど、確かにそうだ、逆立ちなんてしたら敵うわけはない(笑)。ちゃんと地に足をつけなくちゃ。
読了日:05月16日 著者:宮下 奈都
https://bookmeter.com/books/12552692

■アンダーリポート (集英社文庫)
たとえば東野圭吾なら、イマイチだなと思いながら読んでいても500頁あっちゅうま。本作は380頁なのですが、意外と時間を要します。主人公は40代の男性。15年前に起きた殺人事件の第一発見者で、今さら自分の記憶を確かめ始める。いったい何がどうなっているのかわからないまま、淡々と話は進む。ドキドキわくわく白熱もしなければ、取り立てて驚きもないから、読むのに意外と時間は要するけれど、一旦入ると抜けられない。メビウスの輪のよう。あるいは縄跳びか。どこから入ってもOKだけど、入ったら飛び続けて、もう出られない。巧い。
読了日:05月22日 著者:佐藤 正午
https://bookmeter.com/books/1976049

■オジいサン (中公文庫)
「オジイサン」でも「お爺さん」でもなく、「オジいさん」なのだそうです。このオジいさんは認知症ではない。だけど、歳をとれば心も老眼に。昔のことはよく思い出せるのに、近くのことが霞む。ケータイわからん、地デジもわからん、お節介なオバサンにも困る。心の中では「オバサン」だと思っていても、それがつい口に出てしまうといけないから、心の中でもきちんと「年配のご婦人」と思おうとするオジいさん。ゆるすぎて、今から京極さん初読みという人にはお薦めしません。でも、なんだこれと思ってもとりあえず最後まで読んで。最後は和むから。
読了日:05月28日 著者:京極 夏彦
https://bookmeter.com/books/9260446

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする