夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『焼肉ドラゴン』@試写会

2018年06月07日 | 映画(や行)
『焼肉ドラゴン』
監督:鄭義信
出演:真木よう子,井上真央,大泉洋,桜庭ななみ,大谷亮平,ハン・ドンギュ,
   イム・ヒチョル,大江晋平,宇野祥平,根岸季衣,イ・ジョンウン,キム・サンホ他

109シネマズでおこなわれる試写会に応募し損ねたなぁと思っていたら、
当たった人から「行きませんか」と声をかけていただきました。わ~い、行く行く!

大阪の焼肉屋が舞台ということで、勝手に鶴橋の話を想像しておりました。
頭の中では大阪環状線鶴橋駅の発車メロディ「ヨーデル食べ放題」、
食べ放題ヨーロレイヒー♪が回り続けていたのですけれど、鶴橋の話というわけではなく。

もとは演劇、日本の新国立劇場と韓国の芸術の殿堂によるコラボ作品。
10年前に両劇場で上演され、2011年にも両国で再演。
当時出演した日本人俳優は、粟田麗、占部房子、若松力、千葉哲也などなど。
2016年にはキャストを入れ替えて再演、その時は馬渕英里何中村ゆりあめくみちこらが出演。

今回の映画化に当たり、原作者の鄭義信がみずから脚本・監督を担当。
初演時にクラブの支配人役(三女の恋人役)で出演した笑福亭銀瓶が
映画版ではナレーションを担当。←と、エンドロールで見た気がするけど、合ってます?
エンドロールには「肉捌き指導」なんてなかなかないお役目も見かけました。

1969(昭和44)年の大阪、在日コリアンの町で焼肉店を営む金龍吉(キム・サンホ)。
妻の高英順(イ・ジョンウン)とはバツイチ同士で再婚。
それぞれの連れ子である三人の娘と二人の間にできた息子を育てている。

長女・静花(真木よう子)は訳あって片足が不自由だが、店を切り盛り。
次女・梨花(井上真央)はこのたび哲男(大泉洋)と結婚したが、喧嘩が絶えない。
三女・美花(桜庭ななみ)は勤め先のクラブの支配人・長谷川(大谷亮平)と不倫中。
長男・時生(大江晋平)は学校でいじめられ、登校したがらない。

店が建つ土地は国有地とかで、立ち退きを迫られているが、
龍吉は「醤油屋の佐藤さんからこの土地をちゃんと買った」と言って動こうとしない。
店にくる常連客らは毎回「ツケで」と言うものだから、かつかつの生活。
それでもみんななんとか前向きに毎日を過ごすのだが……。

日本も韓国も同じアジア圏、笑えるシーンは同じだなぁといつも思うことを本作でも感じます。
常連客役の宇野祥平と、静花にベタ惚れの韓国人客役のハン・ドンギュが特に楽しい。
太陽の塔内部が公開されたばかりだから、
1970(昭和45)年の大阪万博が舞台というのもバッチリ郷愁を誘います。

全体的に演技が大げさといえば大げさで、
涙をグッとこらえるような表情に泣かされてしまう私は、本作では泣けませんでした。
映像的にももう少し広がりがあればいいのになんて思っていたのですけれど、
しかし、その大げさな演技も何もかも、もとが舞台劇だと思えば大納得。
ドスの利いた声も、舞台ならこうあらずばなるまい。

在日コリアンの人びとの置かれた状況。
いくら日本で差別を受けようとも、ここで生きていくと決めたから逃げない。
追い込まれた息子のことを考えれば無念で仕方ありません。

今回、試写会に誘ってくださった飲み友だちのお兄様は、
以前この試写会にも誘ってくださった方。
そのときは、あまりに酷い出来の作品に、終映後に何度「すみませんねぇ」と謝られたことか。
映画の出来が悪いのはお兄様のせいじゃないのに(笑)。
今回は謝らなくていい映画でよかったとホッとされていました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする