夜な夜なシネマ

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『アメリカン・アニマルズ』

2019年06月02日 | 映画(あ行)
『アメリカン・アニマルズ』(原題:American Animals)
監督:バート・レイトン
出演:エヴァン・ピーターズ ,バリー・キオガン,ブレイク・ジェナー,
   ジャレッド・アブラハムソン,ウド・キア,アン・ダウド他
 
109シネマズの「ポイント会員感謝の日」がちょうど日曜日だったので、
これ1本だけ観に109シネマズ大阪エキスポシティへ。
できれば2本観たいところなのですけれど、休日にエキスポシティへ行くときは、
早めに帰るようにしないと万博外周道路が混みそうで嫌だから。
 
バート・レイトン監督はドキュメンタリーを撮り続けてきた人とのこと。
冒頭、これは「真実に基づく作品」ではなく、「真実そのもの」との言葉。
実話に基づく本作の中に、犯人だった本人4名のインタビューが織り交ぜられています。
長編劇映画を撮るのはこれが初めてだそうですが、
ドキュメンタリー出身監督らしい非常に面白い構成。
 
美術の才能があるスペンサーとスポーツに秀でているウォーレン。
それぞれ大学から請われて、トランシルヴァニア大学とケンタッキー大学に入学。
ふたりとも中流階級の家庭に生まれ、特に良くも悪くもない生活を送っているが、
あまりに平凡な日常に苛立ちと焦りを募らせている。
 
そんな折、スペンサーは自分がかよう大学図書館に稀覯本が所蔵されていることを知る。
それはジェームズ・オーデュボンの画集『アメリカの鳥類』。その価値1200万ドル。
司書が張りつく鍵のついた部屋の中に保管され、予約者しか見ることはできない。
 
スペンサーからその話を聞いたウォーレンは、目を輝かせる。
その本を盗み出そう。そうすれば、人生が何か特別なものになるはず。
さっそく図書館の詳細について調べ始めたスペンサーとウォーレンだったが、
2人で盗み出すには無理があることに気づく。
 
問題点を挙げて解決策を考えられる者とそれを実現するための金を持つ者。
ウォーレンは秀才エリックと青年実業家チャズをリクルート。
こうして4人は決行日に向けて綿密な計画を練るのだが……。
 
2004年に起きた事件です。
実話だとは言ってもドキュメンタリーではなく、俳優が演じる部分と、
7年の刑期を終えて出所した犯人たちがカメラに向かって話す部分と。
犯人たち以外にもその親や教師、司書などがカメラに向かって話します。
 
彼らが参考にする犯罪映画の名前がいくつも出てきて、映画好きにはとても楽しい。
『現金に体を張れ』(1956)とか『レザボア・ドッグス』(1991)とか、
『スナッチ』(2000)とか『オーシャンズ11』(2011)とか。
「捕まったときに『ショーシャンクの空に』(1994)みたいな最後ならいいけど
あれは映画だから」というようなやりとりもあります。
『レザボア・ドッグス』のことを本物のエリックが
タランティーノの作品の中でいちばん嫌い」と苦笑いする顔、可笑しい。
 
犯行は鮮やかには行きません。
誰も傷つけたくはなかったのに、傷つけてしまう。
イレギュラーなことが起きると、ついつい間抜けなことをしてしまう。
完璧には程遠い犯行計画で、浅はかとしか言いようがありません。
 
4人のうち何人かは本気で反省しているように見えますが、
インタビューは素人と思えないほど演技っぽい。
実際のところはこうして映画化されてほくほくなのかもと邪推。
 
真相はウォーレンのみぞ知る。
映像制作の道に進んだという彼、そのうち真相を映像化するのかしらん。

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