『おいしい家族』
監督:ふくだももこ
出演:松本穂香,浜野謙太,板尾創路,笠松将,モトーラ世理奈,三河悠冴,柳俊太郎他
TOHOシネマズ梅田で『HELLO WORLD』→『アイネクライネナハトムジーク』
→『アド・アストラ』の3本をハシゴした後、テアトル梅田へ。
“若手映画作家育成プロジェクト 2015”で短編『父の結婚』を手がけたふくだももこ監督。
それを監督本人が長編化した作品なのだそうです。
客には罵声を浴びせられ、別居中の夫とも離婚が決定的。
母親の三回忌を機会にまとめて有休を取る。
ちっとも変わらない島の風景に呆れつつ癒されていたが、実家に到着してびっくり。
なんと父親の青治(板尾創路)が亡き母のワンピースを着ているではないか。
さらに驚いたことに、実家に見知らぬ他人が2名。
しかも青治は和生と結婚するつもりだと宣言。
唖然とする燈花をよそに、翠とその身重の外国人妻は祝福。
どうしても認めることができずに反発心をあらわにする燈花だったが……。
とてもよかったです。
父親がゲイだったという話かと思ったらそういうわけでもなく、
青治はただただ「母親になりたい」のだと言う。
性的な話にはそれ以上触れられないまま終わるから、どうだったのかはわかりません。
でもなんか、「愛」があれば、男だとか女だとか、どっちが好きだとか、
どうでもいいことのように思えてしまう。どんな形でもええやんって。
こんな島は現実にはちょっとないと思います。
青治は島の学校の校長先生で、女装したまま校門で児童を迎える。
でも子どもたちはそれを自然と受け入れていて、
校長先生の「おはよう」に元気に答えるんです。
三回忌に集まる親戚たちもそう。誰も変な目で見ない。嫌な顔をしない。
ダリアが想いを寄せる瀧(三河悠冴)だけは青治の女装を毛嫌いするけれど、
それにも深い事情がある。
その事情が発覚したときのダリアがたまらなく可愛かった。
そして彼ら彼女らと共に過ごすうち、少しずつ気持ちに変化があらわれる燈花がすごく良い。
現実もこんなふうだったらいいのにと思う。