夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アナザーラウンド』

2021年09月17日 | 映画(あ行)
『アナザーラウンド』(原題:Druk)
監督:トマス・ヴィンターベア
出演:マッツ・ミケルセン,トマス・ボー・ラーセン,マグヌス・ミラン,ラース・ランゼ,
   マリア・ボネヴィー,ヘリーヌ・ラインゴー・ノイマン,スーセ・ウォルド他
 
シネ・リーブル梅田にて、2本ハシゴの1本目。
 
デンマーク/スウェーデン/オランダ作品。
監督はデンマーク出身のトマス・ヴィンターベア
ラース・フォン・トリアー監督と“ドグマ95”を始めたことで知られている人です。
 
本作は第93回アカデミー賞に監督賞と国際長編映画賞でノミネートされ、
監督賞は『ノマドランド』のクロエ・ジャオが受賞、本作は後者を受賞しました。
同賞には『少年の君』もノミネートされていたのですね。
 
賞がどうこうなんてどうでもいいんです。
そんなことよりも、「血中アルコール濃度を0.05%に保つとどうなるか」が気になって仕方ない(笑)。
酒飲みだったらみんな結果を聞きたくなる実験だと思いませんか。
 
デンマークって、16歳から飲酒可能なのだそうです。
冒頭から「マジか」と言いたくなるようなシーン。
高校生がチームを組み、酒瓶1ケースを抱えて湖の周りを飲みながら走るというレース。
途中でもしも全員同時に吐いたらタイム追加の罰。
レースが終われば残った酒瓶を持って電車に乗り、ほかの客たちに振る舞ったりも。すげぇ。(^o^)
 
そんな愉快な高校に勤める歴史教師のマーティン。
さぞ楽しいはずが、マーティンの授業はいたって退屈。
行ったり来たりする話に途中退出する生徒までいて、
保護者からこの教師で大学進学が叶うのかと学校に苦情が来るほど。
家に帰れば妻は最近夜勤ばかりでろくに会話もなく、
子どもたちもマーティンのことをまるで無視。
 
不安を口にできるのは、同僚の教師3人、トミーとニコライとピーターだけ。
ある日、ノルウェー人の哲学者フィン・スコルドゥールが唱えた説が話題にのぼる。
「血中アルコール濃度を0.05%に保てば、仕事の効率が上がり、意欲も向上する」。
この説は真実なのだろうか。
 
いずれも酒好きの4人は、この説を実証しようと考える。
ヘミングウェイが夜8時以降は飲まずに執筆していたことに倣い、
4人も勤務中のみ飲酒し、夜8時以降と土日は飲酒禁止。
血中アルコール濃度は0.05%を保ち、飲酒が心と言動に及ぼす影響を確認する。
 
トップバッターとしてこの説の証明に臨んだマーティンは、
多少呂律が回らなくなりながらもジョークでかわす。
それまでの授業と打って変わったように盛り上がって生徒は大喜び。
帰宅してもほどよく陽気なマーティンに妻子は嬉しそう。
 
音楽や心理学、サッカーのコーチを担当するほかの面々も飲酒の効果あり。
喜ぶ4人だったが、次第に酒量が増えて行って……。
 
酒飲みにしか鑑賞を勧めにくい作品と言えます(笑)。
もちろん、酒好きの私は「あるある」なところいっぱいでよくわかる。
それでも「いやいや、これはあかんやろ」なところもいっぱいだから、
酒飲みに嫌な思いをさせられたことのある人は絶対ムリだ(笑)。
 
酒を少し飲んで、緊張が解けて、心がゆったりする。
言えなかったことを言えたり、やれなかったことをやれたり。
でも時に、酒のせいで単に鈍感になっていることもある。
だから、言ってはいけないことを言ってしまったりもする。
このバランスはとても難しくて、人々の酒ゆえの失敗はきっとなくならない。
命を落とすことだってあるのです。
 
自分の酒量を正しく知って、人に迷惑はかけない。
自分も楽しく、その場にいる人もみんな楽しく、
今日よかったね、また飲みたいねと言えるような飲み方をしたいですね。
飲み方についてあらためて考えようと思える作品です。
 
ところで私、主演のマッツ・ミケルセンがかなり好きなんです。
今後も楽しみ♪

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