夜な夜なシネマ

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『オールド』

2021年09月14日 | 映画(あ行)
『オールド』(原題:Old)
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル,ヴィッキー・クリープス,アレックス・ウルフ,トーマシン・マッケンジー,
   ルーファス・シーウェル,ケン・レオン,ニキ・アムカ=バード,アビー・リー,アーロン・ピエール他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
“007”の最新作とか、“トップガン”の34年ぶりの続編とか、公開がずっと延期されたままですが、
本作はもう延ばすのをあきらめたようで、このたび公開。
 
M・ナイト・シャマラン監督、お久しぶりでございます。
自分の監督作にチョイ役で出て遊ぶ同監督ですが、今回はこれまでの中で出番がいちばん多かったかも。
少なくとも、「え、シャマランどこに出とったん?」と言われることはないでしょう。
 
リゾート地へバカンスにやってきた一家。
実は夫ガイと妻プリスカは離婚することを決めており、これが最後の家族旅行。
薄々感づいている長女マドックスと長男トレントは楽しげに振る舞う。
 
翌朝、ホテルのマネージャーから勧められ、一家はプライベートビーチを訪れる。
自分たちだけかと思ったら、送迎車にはもう一組の家族も乗っていた。
運転手は夕方迎えに来ると言い残し、多すぎるほどの食糧をガイたちに渡して去ってゆく。
 
ビーチにも先客の姿があり、それが人気ラッパーのセダンだと気づいたマドックスは大喜び。
しかし、セダンの連れだったと思われる女性の遺体が見つかり、2家族は騒然。
セダンが殺したに違いないと言い争っていると、さらにもう1組のカップルが到着する。
 
真相を探ろうと皆がバタバタしているうちに、なぜだか子どもたちの体つきが大きくなっている。
やがてこのビーチでは3時間がおよそ7年に当たるということに気づき……。
 
3時間で7年ということは、20時間いれば50年経ってしまうのですよね。どうします!?これ。
6歳の少年が目の前で成人してオッサンになる。
大人が歳を取ってゆくのは見た目の変化が子どもほど顕著ではないからわかりにくいだけ。
目が見えにくくなり、耳が聞こえなくなり、背骨が曲がる。
記憶もあやふやになってゆく、その過程が一気に自分にやってくるとしたら、怖すぎる。
 
マネージャーからビーチ行きを勧められた家族やカップルは、
医師に看護師、心理学者、保険屋だったり博物館の職員だったり。
最初はこれらの職業に集められた意味があるのかと思っていましたが、
いずれも家族の中にひとり、病気を抱える人がいることがわかります。
 
ここからがっつりネタバレです。
 
このリゾートホテルでは製薬会社がひそかに治験をおこなっていたのでした。
腫瘍や糖尿病、精神病など、さまざまな病気に苦しむ患者に狙いを定め、
そうとは気づかれずにホテルの客となるように誘い込む。
そしてウェルカムドリンクを飲めば開発中の薬が摂取されるようにしている。
その後うまいことを言ってビーチへ送り込めば、
患者が薬のおかげで何年生きられたかわかるという仕組み。
死ぬまでこのビーチからは出られないから、治って戻ることはないのですけれど。
 
鑑賞した知人友人の中には、駄作だと一刀両断していた人もいますが、私は結構楽しめたのですよね。
「いつのまにそれを持ち出せてん」というツッコミは置いておくとして(笑)。
 
あまり魅力的に思える俳優がいないのは残念です。
ガイ役のガエル・ガルシア・ベルナルは冴えないし、
プリスカ役のヴィッキー・クリープスは顔も演技も好きになれず。
彼女はどこかで観た顔だなぁと思ったら、昨日UPしたばかりの『ベケット』で、
逃走するベケットを匿おうとする集会参加者のリーダーでした。
そっちの役のほうが断然似合っています。
精神疾患を持つ医師役のルーファス・シーウェルは恐ろしいだけ。
いちばんナチュラルな演技で好感を持てたのはシャマラン監督本人という結果に(笑)。
 
しかしなんだかんだで観てしまうシャマラン監督作品なのでした。
時期が時期だけに、製薬会社ってこんな治験をしているのかなぁと不安に思わないこともない。(^^;

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