夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『岬のマヨイガ』

2021年10月09日 | 映画(ま行)
『岬のマヨイガ』
監督:川面真也
声の出演:芦田愛菜,粟野咲莉,大竹しのぶ,伊達みきお,富澤たけし,宇野祥平,
     達増拓也,天城サリー,江原正士,桑島法子,佐藤拓也,広瀬裕也他
 
歌うようになってからの大竹しのぶがなぜか苦手なんです。
おかげで映画までなんとなく避けてしまい、
原作が大好きな『漁港の肉子ちゃん』も観ないまま終映してしまいました。
 
本作も芦田愛菜は気になるものの、積極的に観に行く気分にはなれず。
イオンシネマ茨木で早い時間帯の上映のみになっていましたが、
ある日ふとスケジュールを覗いたら、晩1回の上映になっている。
ちょうどほかに観るものもなくなりかけていたので、思いきって鑑賞。
 
やっぱり観なきゃわからんもんです(笑)。
私は『竜とそばかすの姫』より好きでした。
 
東日本大震災に見舞われてからしばらく経った岩手県のある町。
避難所を訪れた訳ありの17歳のユイは、8歳のヒヨリと出会う。
ヒヨリは両親を交通事故で亡くした後、親戚に引き取られてこの町に来たが、
震災でみんな亡くなり、たったひとり生き残ったらしい。
 
行き場を失ったふたりのことを自分の孫たちだと市役所の職員に偽り、
一緒に暮らそうと言ってくれたのは、キワという不思議なおばあさん。
キワに連れられて向かった岬に建つ古民家は「生きていた」。
 
驚くふたりにキワは言う。
心配しなくていい、この家はふたりのことを決して傷つけない。
温かくもてなしてくれるマヨイガだよ。
最初は訝っていたユイだが、マヨイガでの生活に少しずつ心が解きほぐされてゆく。
 
やがてキワはマヨイガに客を呼ぶ。その客とはなんと河童たち。
人々の悲しみを食べて巨大化していくアガメという魔物が
どうやらこの町を乗っ取ろうとしていることに気づいたキワが、
河童をはじめとする“ふしぎっと”と呼ばれる善き妖怪たちに相談したのだが……。
 
まずマヨイガの建つ岬の風景が素敵です。
そして、家も人と同じできちんと育つのだという考え方。
実際に家が動いたりしたらポルターガイストを疑いますが、
こんなふうに家が笑えば怖くない(笑)。
 
震災や虐待で心身共に傷つけられた子どもたちが、
優しく不思議なおばあちゃんによってたくましく育ってゆく姿が良い。
ユイはいったいどこから逃げ出してきたのか、
学校はどうなっているんだという疑問が最初こそ湧きますが、
キワおばあちゃんならそんなことを片付けるのはお茶の子さいさい。
魔法使いではないようだけど、こんなふうに生きていれば、
人間じゃないものとも心を通わすことができるのかもしれません。
 
今、自分にできることをする。
良いアニメでした。

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