『ビルド・ア・ガール』(原題:How to Build a Girl)
監督:コーキー・ギェドロイツ
出演:ビーニー・フェルドスタイン,パディ・コンシダイン,サラ・ソルマーニ,
アルフィー・アレン,フランク・ディレイン,ローリー・キナストン,エマ・トンプソン他
日曜日、広島vs阪神のデーゲームが始まる前に梅田で2本観ようと考えました。
ふだんなら休日の朝は20分あれば自宅から梅田まで行けるのに、
新御堂筋の南行車線で神崎川橋梁の工事中。
土日の8時から20時まで1車線規制になっていて、なんと1時間半もかかってしまった。
1本目に予定していた作品は当然観られず(予約はしていなかったのでラッキー)、
11時から梅田スカイビル地下の滝見小路でお昼ごはんを食べ、
12時からシネ・リーブル梅田にて本作だけ観て帰ることに。
梅田まで出ておきながら1本しか観ないなんてもったいないけれど、
阪神の試合を見届けないわけにもいかないのです。
ロンドン・タイムズ紙のコラムニスト、キャトリン・モランの半自伝的小説を映画化。
実際に音楽雑誌で歴代最年少ロック批評家として活躍した経歴を持つ人です。
1本だけでも大満足、すごく好きな作品となりました。
デブで冴えない女子高生ジョアンナ。
教師から類い稀な文才があると認められているが、発揮する場はなくて悶々。
人気ラジオ番組で自作の詩を披露するチャンスを得るが、緊張しすぎて大失敗。
誰も見ていないことを祈っても無理、学校中の笑いものに。
ある日、兄のクリッシーが、大手音楽情報誌“D&ME”でライターを募集していると教えてくれる。
批評する曲としてジョアンナが選んだのはミュージカル『アニー』の主題歌“トゥモロー”。
面接の連絡があり、嬉々としてロンドンのD&ME社を訪れるが、
“トゥモロー”で応募してくるなんてどんな奴だとからかわれただけだった。
落ち込んだものの、文章自体は面白かったと言われたことからやる気復活。
ロックバンドの取材に自分を試しに使ってほしいと主張する。
初めて聴いたロックにジョアンナの世界が変わる。
彼女の批評は斬新で面白いと評判になり、瞬く間に有名人に。
そんなとき、シンガーソングライターのジョン・カイトのインタビューに臨み、
ジョアンナは恋に落ちてしまうのだが……。
ジョアンナの父親はいつまで経っても音楽への夢をあきらめきれず、
収入もないのに子どもばかりつくって、母親は産後鬱。
16歳のジョアンナは、双子の乳児を抱えて暗い面持ちの母親にもう甘えることはできません。
D&ME社で物書きを始めてそれが当たると、ジョアンナはとても高慢ちきになり、
家賃を払っているのはこの私、家族の中でいちばん偉いのよと言わんばかり。
どんなときもジョアンナの味方だった兄のクリッシーに対してもそんなだからたまったもんじゃない。
本当はいいと思っているバンドのことも、こきおろしたほうがウケるから辛口批評する。
そうするとさらに人気が出て、友だちのいなかった彼女に人が群がってきます。
16歳はまだ子ども。自分が実は大人から見下されて利用されただけだとわかるとき。
自分のことを心から愛し、大切に思ってくれているのは誰なのか。
結構イライラさせられたけれど、気づいた後の彼女の行動は最高です。
ジョン・カイトのモデルとなっているシンガーはいないんですかね。
どこまで実話に即しているのか知りませんが、この人が実在しているといいなぁ。
子どもを騙したりしない。でも子ども扱いしているわけじゃない。そんな人。
最後にチラリとだけ登場するエマ・トンプソン。やっぱり大好き。
さしづめ日本でいうところの余貴美子みたいな存在に思えます。
ちなみに字幕では“Build a Girl”は「自分作り」。
どうやって自分を作りますか。