『グレート・インディアン・キッチン』(原題:The Great Indian Kitchen)
監督:ジヨー・ベービ
出演:ニミシャ・サジャヤン,スラージ・ヴェニャーラムード,T・スレーシュ・バーブ,
アジータ・V・M,シッダールト・シヴァ,アヌパマ・V・P他
シネ・リーブル梅田で先月見そびれました。
イオンシネマ茨木でも上映するからいいやと思っていたら、
1週間の限定上映で、1日1回、15:40の回のみ。
致し方ないので、半端に刻んで使ってしまった時間休の残りを当てて鑑賞。
台所で鍋を持ってニッコリする妻を後ろから抱きすくめる夫。
HPトップに現れるこんな幸せそうな画像を観たら、
料理がいっぱい出てくる美味しくて幸せそうな話に違いないと思うでしょ。
詐欺ですよ、この画像(笑)。とんでもない話でした。
インド南西部のケーララ州。
教職に就く名家の男性と中東で教育を受けたダンサーの女性がお見合い結婚をする。
幸せな暮らしが待っているかと思いきや、
妻に求められるのはすべての家事と夫の身勝手なセックスに応えることで……。
あらすじに書くとこれだけです。
バーレーンの首都マナーマで育った妻は、都会的な感覚を持っています。
姑が自分の娘のお産を手伝いに行って留守にした折、
舅と夫のための家事がまるごと妻の身ひとりにふりかかる。
炊飯器や洗濯機を当たり前のように使っていたら、
飯は釜で炊け、洗濯機は服が傷むから手で洗えと言われる。
仕事をしたいといえば、この家にふさわしくないから応募するな。
専業主婦は官僚よりも尊い仕事だぞ、などと言いながら、
お茶の1杯も自分で注ごうとせず、歯ブラシまで持って来させる舅。
名士なんだからさぞかしマナーにうるさいのだろうと思うと、舅と夫の食べ方の汚いこと。
食べカスは皿の上ではなく食卓の上に直置きにしやがる(笑)。
前日の残りものは手を変えて調理し直したところで絶対に食べないし、
時世にまったくそぐわないフードロス。
毎日大量に出る残飯の悪臭に嘔吐いてしまいます。
おかげで配管が詰まっても、夫は自分で直さないし、業者を呼ぶ呼ぶと口先ばかり。
客人で料理のできる男性がやってきて、妻の代わりに料理してくれると言う。
美味しい料理を作ってくれたのはいいけれど、後片付けまではしないから、
壮絶な汚れっぷりの台所を見て妻は愕然とします。
食事後に談笑する家人と客人からゆっくりしろと言われ、「片付けがあるから」と断ると、
「全部やってやっただろ。今さら何の片付けがあると言うのだ」。
もうほんと、呆れるしかない。
こんなに男どものために働いているというのに、
生理が来たと告げると不浄なものとして薄暗い部屋に閉じ込められる。
男性だけがそういう扱いをするのではなく、それが当然と思っている女性も多い。
妻が親や兄弟姉妹にぼやいても同意は得られません。
どうしてこんなに我慢するの。早く逃げて。ずっとそう思って観ていました。
『めぐり逢わせのお弁当』(2013)を観たときに感じた理不尽さ。
本作ではより強くそれを感じます。
やっぱりどうしようもないのねと思わされて終わるインド作品もありますが、
これはその点、少しはスッキリ。まだまだ足りませんけれど。
詐欺みたいな、というのか、思いっきり詐欺の画像で誘うのは止めて(笑)。
こんな考えの男たちはとっとといなくなればいい。
ひとりでは生きて行けなくなって飢え死にしろ!とマジで思う。