『西成ゴローの四億円 死闘篇』
監督:上西雄大
出演:上西雄大,津田寛治,山崎真実,徳竹未夏,古川藍,笹野高史,
木下ほうか,加藤雅也,松原智恵子,石橋蓮司,奥田瑛二他
前述の『西成ゴローの四億円』が前編で、この『死闘篇』が後編となります。
大いに沸いた舞台挨拶の後、客の大半が続けて後編になだれ込んだのでは。
愛娘の手術費4億円を作るため、闇仕事を引き受けては片付けるゴロー(上西雄大)。
やがて欠けていた記憶が少しずつ戻りはじめ、
ゴローを撃って記憶を消失させたのがゴルゴダ(加藤雅也)だったことを思い出す。
ゴルゴダは、百鬼万里生(木下ほうか)をトップとする団体の側近。
自分たちの活動に邪魔な人物を片っ端から始末していた。
一方、最初はゴローを敵視していた八神姉妹のうち、
姉の松子(徳竹未夏)はいつしかゴローに恋心を抱くように。
それに気づかない妹の梅子(古川藍)は姉の言動を不安視。
姉妹の育ての親である韓国眞劉会会長・ウーソンクー(石橋蓮司)は、
松子の気持ちにすぐに気づき、ゴローに会いたがる。
さて、あるとき、ゴローと親しいカネやんこと金本康治(笹野高史)が、
行方を探し当ててくれた息子と同居するために西成を出ることになった矢先、
謎の新型ウイルスに侵されて急死する。
その後、続々と日雇い労働者たちが死亡し、西成は大騒動。
しかし、なぜかゴローだけは感染しない。
やがて、このウイルスを故意に国外から持ち込んだ張本人がゴローだと、
悪意あるニュースが流される。いったいどういうことなのか。
前編の舞台挨拶のとき、上西監督が「後編は前編の10倍面白いです。
製作費が5倍取れたので」とおっしゃっていました。確かに面白かった。
監督ご自身の言うとおり、めっちゃ「昭和」。
作品中で頻発するギャグも、昭和を生きた人間のツボだったりします。
思わずみんなでババンババンバンバン♪と歌いたくなる。
大阪人なら誰しも言う(?)、「知らんけど」も出ます。知らんけど。(^O^)
カッパかフランシスコ・ザビエルかというハゲ頭のゴルゴダを挑発するには
「このハゲ!」と言うだけでじゅうぶん。
ムッとする加藤雅也の顔がいちいち可笑しい。
梅子が銃をぶっ放して「カ・イ・カ・ン」というシーンがあり、
『セーラー服と機関銃』(1981)を思い出してニヤリ。
金を作るために眼や腎臓を売ることが普通にあると思うとつらい。
こういう作品を観ると、ただの娯楽作とは思い切れない部分があります。
この後編終了後も同じメンバーによる舞台挨拶が。
上西監督のトークが面白すぎて、おとなしい八神姉妹も可笑しくて、本当に楽しい夜でした。
間で酒を飲んできたという歌手“西成の神様”の歌も堪能しました。
前編のあとと後編のあと、ちゃんと違う曲を歌ってくれはりましたよ。
同監督の『ひとくず』(2019)もロングラン続映中です。ご覧になっていない方はぜひ。