『オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体』(原題:Operation Mincemeat)
監督:ジョン・マッデン
出演:コリン・ファース,マシュー・マクファディン,ジョニー・フリン,ケリー・マクドナルド,
ペネロープ・ウィルトン,ジェイソン・アイザックス,サイモン・ラッセル・ビール他
前述の『アンチャーテッド』の次に、同じくイオンシネマ茨木にて。
戦争中にはいろんな作戦があるものなのですね。
ダンケルクの戦いの“ダイナモ作戦”も本作の“ミンスミート作戦”同様に、
当時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルが命じた作戦。
チャーチルの作戦は結構無謀で、参謀が頭を抱えていたということは今知りました。
数々の作戦をチャーチル自身が考えたわけではないのでしょうが、
イギリス諜報部がひねり出した案をチャーチルが面白いと思えば実行。
面白いかどうかで決められるとたまったもんじゃありませんが、
チャーチルが「やれ」と言ったおかげで助かった命があると思うべきなのか。
第二次世界大戦下の1943年。
連合国は次の戦略目標としてイタリア・シチリア島の攻略を計画。
ナチスドイツにこの計画を悟られぬよう、偽の攻撃計画をでっち上げることに。
チャールズ・チャムリー空軍大尉とユーエン・モンタギュー少佐は、
「イギリス軍のギリシャ上陸計画」という偽文書を持たせた死体を用意し、
それを地中海に漂流させたうえでドイツ側に回収させようとする。
死体が偶然流れ着いたとドイツ側が思い込めば、
その死体が所持していた偽文書のこともヒトラーは信じるはず。
絶対に失敗すると踏む諜報部長ジョン・ゴドフリーの溜息をよそに、
チャーチルはこの計画にゴーサインを出して……。
死体の用意がまず大変。
ピチピチ新鮮な死体が傷まないうちに計画を遂行しなければなりませんが、
身寄りのある人物だと、遺族が引き取りに来るかもしれません。
調べに調べて、軍にはまったく関係のない精神疾患者の死体を「抜擢」。
ところが予想外に彼を探していた身内が登場したりして、言い訳に苦労します。
チャムリーやモンタギューをはじめとする諜報部員たちが、
この死体にウィリアム・マーティン少佐という名前と身分を与え、彼の物語をつくり上げてゆく。
どこで育ち、何が好きで、嫌いで、恋人は誰で、などと考え、
次第にマーティン少佐が実在したかのように思えてきます。
モンタギューにコリン・ファース、チャムリーにマシュー・マクファディン。
作戦にだけ頭を向けていられればいいのですが、
モンタギューにはスパイを疑われる弟がいたり、チャムリーには遺体の戻って来ない兄がいたり、
また、チャムリーが想いを寄せる女性諜報部員とモンタギューの仲に嫉妬したりと、
それぞれのさまざまな面倒くさい(笑)事情が行き交います。
マーティン少佐として世に出ることになった人物の本当の名には諸説あるようですが、
本作ではグリンドウ・マイケルであるとされ、墓にもそう記されているそうです。
突飛な計画のおかげで救われた命も多いけれど、亡くなった人もいる。
戦争における作戦を手放しで賞賛することはできません。
でも、こうして映画になると、面白い作戦があったものだと思わずにはいられない。