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『パリ13区』

2022年05月15日 | 映画(は行)
『パリ13区』(原題:Les Olympiades)
監督:ジャック・オーディアール
出演:ルーシー・チャン,マキタ・サンバ,ノエミ・メルラン,ジェニー・ベス他
 
終業後にせっかくなんばパークスシネマまで出向いたのでもう1本。
 
絡みのシーンが多くてR18+指定ですが、
これでAVを観ているみたいに興奮する人がいるとしたら、「変態」と言いたい(笑)。
 
パリ13区とは、市の南部、セーヌ川の南岸に面する区域だそうです。
そこに暮らす3人の女性と1人の男性が主な面々。
 
台湾系フランス人のエミリーは、祖母が所有するアパートの一室で暮らしている。
ルームメイトを募ったところ、やってきたのはアフリカ系フランス人の男性教師カミーユ。
男性ではなく女性とルームシェアするつもりだったが、意気投合して即ベッドへ。
ところがカミーユは束縛を嫌い、エミリーの誘いに乗らなくなったばかりか、
同僚の女性教師を連れ込むようになる。
ブチ切れたエミリーに対してカミーユも切れ、部屋を出て行ってしまう。
 
その頃、30歳を過ぎてから大学の法学部に復学した女性ノラは、
自分よりずっと年下の学生たちと友人関係を築きたくて、ある夜パーティーへ。
金髪のウィッグをつけ、完璧なメイクを施して参加したところ、
有名なポルノ女優アンバー・スウィートにそっくりで勘違いされる。
大学で笑いものにされて居づらくなったノラが就職したのは、
カミーユが一時的に任されている不動産会社で……。
 
悩み事があからさまに語られるわけではないのですが、
それぞれがそうそう人には言えない事情を抱えていることがわかります。
 
エミリーの祖母は老人ホームに入居していて、どうやら認知症の兆候がある。
母親との関係も上手く行っていない様子です。
 
カミーユは生徒から信頼されている教師でしたが、上級資格を取りたい。
母親は亡くなっており、父親は吃音症の妹と二人暮らし。
 
ノラは叔父が経営していた不動産会社にかつて勤めていて、営業の知識も能力も確か。
けれどその叔父と長らく性的関係にあったことが心に影を落としているふう。
自分が間違えられたアンバー・スウィートのチャンネルを思わず見に行き、
常に性的な目に晒されているアンバーと画面越しに話すうち、
お互いにその時間だけに安らぎを感じるようになってゆきます。
 
エミリーとカミーユの、同居を解消してからの関係性が面白い。
とはいうものの、私にはエミリーがカミーユをそこまで愛しているとは思えず、
ラストは「あらら、そうなの?」という感じでした。
単に、目の前の相手がほかの異性に気をとられているのが面白くないだけかと思っていましたから。(^^;
 
4人の見た目にもあまり惹かれなかった点も引くと、めっちゃ良かったとは言いがたい。
でも、孤独に打ちのめされそうになりながらも生きている彼女たちに共感できる部分はあるし、
なにより私のイメージにはなかったパリの様子と、全体に漂う雰囲気も好きでした。
 
食事するシーンがほぼゼロに近いことに後から気づく。食欲より性欲ってか。

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