『ノースマン 導かれし復讐者』(原題:The Northman)
監督:ロバート・エガース
出演:アレキサンダー・スカルスガルド,ニコール・キッドマン,クレス・バング,
アニャ・テイラー=ジョイ,イーサン・ホーク,ビョーク,ウィレム・デフォー他
TOHOシネマズなんば別館にて2本ハシゴの2本目。
まだ30代でこれが長編3本目だというのに、すべてすこぶる面白いロバート・エガース監督。
ただ、かなり暗いので、映画好きの人にしか鑑賞を勧めにくい監督かもしれません。
西暦895年、9世紀のスカンジナビア地域にある小国。
凱旋帰国した王オーヴァンディルを王妃グートルンとまだ幼い王子アムレートが出迎える。
自らに衰えを感じたオーヴァンディルは、アムレートを連れて成人の儀式を執りおこなう。
その後、ふたりでいるところを何者かに襲われ、オーヴァンディルは暗殺される。
物陰からその様子を見たアムレートは、父親を殺した犯人が叔父フィヨルニルであることを知る。
王の後継者をこの世から消したい彼は王子をも追うが、アムレートは必死で逃げる。
やがてフィヨルニルはグートルンを連れ去り、アムレートも密かにこの国を脱出する。
年月が経ち、成長したアムレートは各地で略奪を繰り返すヴァイキングの一員となっていた。
復讐を果たそうとフィヨルニルのもとへ出向こうとしたところ、
同じく奴隷としてこの地に送られたスラヴ人の魔女オルガと出会う。
ふたりは手を組み、共にフィヨルニルを倒すことを約束するのだが……。
北欧の神話やヴァイキング伝説をベースにしているのだそうですが、
ほぼ『ハムレット』そのものの物語だから、『ハムレット』を少しでも知っていればとっつきやすい。
序盤、ちょっと笑ってしまったのは、あんなに幼かった王子アムレートが、
たった数年でアレキサンダー・スカルスガルド演じるオッサンになるか!?ということです。
だって彼、実年齢はもう46歳だし、数十年経たなければあんな見た目にならん。(^^;
実父のステラン・スカルスガルドと似ても似つかない顔立ち(イケメン)だと思っていましたが、
歳を取ってだんだんと似てきましたねぇ。
オルガ役にはアニャ・テイラー=ジョイ。ほんの子どもだった彼女は色気も出てきて堂々の役者ぶり。
誰よりも狂気じみていて恐ろしかったのは、グートルン役のニコール・キッドマン。
クレス・バング演じるフィヨルニルが本当は善人なのか悪人なのか。
いやいや、善人か悪人かなんて、相対する人によって印象は異なるものだし。
ロバート・エガース監督のお気に入りなのでしょう、ウィレム・デフォーの役どころも面白い。
宮廷道化師という役柄なのですが、こういう肩書きの人が本当に存在したのですね。
王によって雇われたエンターテイナー。
復讐は、果たしたとしても心は報われない。空しいだけ。
見応え満点です。