『フェイブルマンズ』(原題:The Fabelmans)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ミシェル・ウィリアムズ,ポール・ダノ,セス・ローゲン,ガブリエル・ラベル,
ジーニー・バーリン,ジュリア・バターズ,ジャド・ハーシュ,デヴィッド・リンチ他
最近の映画はどれもこれも長すぎる(泣)。
本作も150分超ゆえ、封切り日からしばらく躊躇していました。
長尺の映画を終業後に観ようとすると、ハシゴできないじゃないですか。
とはいえスルーすることはできない作品なので、イオンシネマ茨木にて。
スティーヴン・スピルバーグ監督が自らの子ども時代を描いています。
第95回アカデミー賞では多くの部門にノミネートされていたにもかかわらず、
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』にすべて持って行かれました。
私はこの『フェイブルマンズ』のほうが好きだし、
『イニシェリン島の精霊』なんかのほうが面白かったと思うのですけれど。
歌曲賞を『RRR』、音響賞を『トップガン マーヴェリック』が受賞したことぐらいしか嬉しくない。
あ、アカデミー賞の話をしようと思っていたのではないんだった。(^^;
『フェイブルマンズ』の話です。フェイブルマンズ、つまりフェイブルマン一家。
スピルバーグがモデルとなっている少年サミーはその長男で、下に3人の妹がいます。
バートの助手かつ親友であるベニーは、仕事ではバートに到底かなわないけれど、
昔から一家と常に共にいる存在で、身内同然。
まだ妹たちもこの世に生まれていなかった1952年のこと。
両親に連れられて初めて映画館を訪れたサミーは、『地上最大のショウ』(1952)を観て衝撃を受けます。
映画の中に出てきた列車脱線のシーンを再現したくて、両親に列車の模型をねだる。
執拗に列車を破壊しようとするサミーの意図を知ったミッツィは、息子の希望を叶えようと、
8ミリカメラを買い与えます。みるみる映像の撮影にのめり込むサミー。
その作品はアマチュアの域を出ていて周囲を驚かせますが、バートにとってはそんなものはただの「趣味」。
もっとほかのことに情熱を注いでほしいと願います。
サミーが映画作りに励むシーンが楽しい。
友人たちも彼の作品に出演することが嬉しくて、子どもながらに監督と俳優たちそのもの。
気を遣いながら出す指示もなかなかで、何もかも面白く観られました。
いろいろと8ミリカメラに収めていたせいで、見たくなかったものまで見てしまうサミー。
自分の母親ミッツィと、慕ってきたおじさんベニーがただならぬ関係なのではないか。
見つめ合い、一瞬手を繋ぐふたりがカメラに写り込んでいて、汚らわしいと感じます。
この辺りから、ミッツィ役のミシェル・ウィリアムズは少しやかましすぎ(笑)。
もうちょっとおとなしめでもよかったかと思いますが、
スピルバーグ監督の実際の母親もこんなふうだったのでしょうか。
バート役のポール・ダノの顔が実は苦手です。
ベニー役のセス・ローゲンの顔もタイプではないけれど、そりゃバートよりベニーがええな(笑)。
親友と妻の思いをわかってい気づかないふりをしていた夫もさぞつらかろうとは思うけど。
最近、映画作りに魅了される少年が主人公の作品や映画館を舞台にした作品をよく見かけます。
映画館に行く人は確実に減っているなかで、こういう作品を観られるのは嬉しい。
映画の中に出てくる映画作りが良い作品でした。