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『最後のマイ・ウェイ』

2013年08月17日 | 映画(さ行)
『最後のマイ・ウェイ』(原題:Cloclo)
監督:フローラン・エミリオ・シリ
出演:ジェレミー・レニエ,ブノワ・マジメル,モニカ・スカッティーニ,サブリナ・セヴク,
   アナ・ジラルド,マルク・バルベ,ジョセフィーヌ・ジャピ,ロバート・ネッパー他

5本ハシゴの2本目、これも梅田ガーデンシネマにて。

1960年代から1970年代 にかけて、フランスで絶大な人気を誇った歌手クロード・フランソワ。
世界進出を目前にして39歳の若さで他界、ゆえに日本も含めて国外ではほぼ無名。
しかし、フランク・シナトラの『マイ・ウェイ』の原曲は彼の手によるもの、
という事実を私も本作で初めて知りました。

1939年、エジプトで生まれたクロード。
フランス人の父親はスエズ運河会社に勤務し、何ひとつ不自由のない裕福な暮らし。
クロードとその姉ジョゼットにも十分な教育を与え、
将来は社会的地位の高い仕事に就くようにと言いつづけている。
イタリア人の母親はギャンブル好きではあるものの、子どもたちを大きな愛で包む。

ところが、スエズ運河が国有化されたことにより、父親は失職、生活が一転。
一家はエジプトを出て行かざるを得ず、モナコに移住。
それまでとは雲泥の差の貧しい暮らしを送ることになる。

エジプトにいた頃から音楽が大好きだったクロードは、
モンテカルロ楽団にドラマーとして応募、見事採用されるが、
父親は大道芸人の息子など要らないとクロードを拒絶。
それでも自分の好きな道に進みたいと、クロードは家を出る。

ドラムにダンスに歌と、何でもこなして人気者となったクロード。
録音したレコードをレコード会社に持ち込み、発売して失敗するもメゲず、
やがて敏腕マネージャーの力もあって、スターダムへとのし上がる。

『マイ・ウェイ』ができ上がるのは物語のずいぶん後になってから。
149分と長めですが、紆余曲折の人生が盛り込まれ、退屈ではありません。
素直だったはずの坊やがこんなにも傲慢になるものかと思わずにいられない場面もあり、
スターになるってこういうことなのかなぁとしみじみ。

調子に乗った彼が怠けそうになるたび、マネージャーが気を引き締めます。
それは素直に聞き入れて、だからクロードは長い間スターの地位をキープ。
いろんな新しいことにチャレンジしています。

最後までクロードと会おうとしなかった父親。
フランク・シナトラが『マイ・ウェイ』を歌うことになったとき、
すでにこの世にいない父親への報告を夢想します。
やっと父親に認められたと感じるクロードの表情が○。
それにしてもギャンブル好きの母親は困ったもの。
それでも突き放せないのが親子なのでしょうかね。

名曲は時代が変わろうとも名曲。
『マイ・ウェイ』だったら、ジプシー・キングスのカバーも好きだな~。

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