『ラストマイル』は2回観たので、もういいかなと思っていました。
だけど11月に届いた火野正平の訃報にもう一度観ておきたくなってTOHOシネマズ伊丹へ。
これが彼の遺作になったのですね。
火野正平といえば昭和のモテ男。
歳を取ってからの彼しか知らない世代の人には嘘みたいな話でしょうが、
ホントにモテモテだったのですよね。
プレイボーイなどという言葉は今は死語か。でもその言葉が似合う。
すっかり好々爺といってもよい風貌になりました。
そんな彼が本作で演じたのは、宅配業者の委託ドライバー。
火野正平の息子役が宇野祥平で、平仮名で書けば一字違いというのが私のツボでした。
まるで本物の親子のように見えます。
息子が勤めていた家電メーカーは、家電量販店の台頭で勢いに圧されて倒産。
致し方なく息子は父親と共に委託ドライバーの仕事をすることになりました。
たとえ1個配達して150円しかもらえなくても、
荷物の到着を楽しみにしてくれているお客さんのために一刻も早く届けたいという父親。
弁当すらゆっくり食べさせてもらえない事態をぼやく息子。
40を過ぎて親父に蹴られるなんてと言う息子と、40過ぎた息子を蹴らなきゃならないなんてというやりとりに笑ってしまう。
大事には至らなかったけれど、荷物が爆発したときに息子を心配する父親の様子、
そして、みんな無事でよかったと安堵する様子には涙が出ます。
エンディング間近のシーン、「10年後はどうなっているかなぁ」とか「父さんが長生きしてくれればいい」の会話。
「遺言みたいだね」というのが本当になってしまいました。
プレイボーイ・火野正平のイメージは私にもありません。
本作の穏やかで心優しい親父さんとしての彼を覚えておきたい。
心からご冥福をお祈りします。
これ、ブラックフライデー開催中のいま観たい作品ですよね。