《た》
『ターゲット 出品者は殺人鬼』(英題:Don't Buy the Seller)
2023年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
インテリアデザイン会社に勤める女性スヒョン(シン・ヘソン)は引っ越したばかり。
この機会に洗濯機を買い換えることにするが、なにしろ今はお金がない。
できるだけ安く入手したいとフリマアプリで物色し、手頃な値段の洗濯機を見つけてポチる。
売主は海外転勤になったため家具や電化製品を処分しつつあるらしい。
ところが届いた洗濯機は不良品だったものだから、スヒョンは憤慨。
苦情を言おうにも売主のアカウントが見つからなくてイライラ。
執念で追跡した結果、同じ文言の出品者にたどり着き、「この人は詐欺師です。買っては駄目」と書き込む。
スッキリした気分になっていたのに、その直後に出品者からメッセージが届く。
負けるものかと応酬すると、身のまわりで不気味なことが起こりはじめ……。
手始めに、注文していない料理が次々に届きます。
留守中に誰かが侵入した気配があったりもして、めちゃめちゃ怖い。
相談に行っても警察はなかなか取り合ってくれないけれど、
そもそもスヒョンが明らかに変な奴を煽るような真似をしたら駄目だよぉ。
やっと動いてくれた刑事(キム・ソンギュン)と出品者の部屋を見に行ってみたら、
キムチ用の冷蔵庫からその出品者の死体が出てきて絶叫。
出品者になりすました連続殺人鬼を相手にしていたわけで。
結局、親身になってくれた刑事はふたりとも死んじゃう悲しい結末。
フリマアプリで買い物するときは用心しなきゃですね。
《ち》
『違う惑星の変な恋人』
2023年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
美容室に勤めるむっちゃん(璃子)は、恋人もいなければ友だちもゼロだったが、
先輩のグリコ(筧美和子)と音楽の趣味が同じとわかって意気投合。
グリコがつきまとわれているという元カレ・モーくん(綱啓永)ともなんとなく親しくなる。
ある日、グリコから紹介された音楽プロデューサー・ベンジー(中島歩)にひと目惚れ。
恋愛経験のないむっちゃんは、アプローチの仕方についてモーくんに相談するのだが……。
オフビートな感じが楽しくて、しばしば笑ってしまいました。
モテるベンジーはシンガーソングライター・ナカヤマシューコ(みらん)とそれなりの関係。
けれどベンジーは実はグリコのことが好きで、
モーくんをストーカーのように言うグリコは実はまだモーくんのことが好き。
むっちゃんの相談に乗っているうちにモーくんはむっちゃんのことを好きになり、
どうしようもない四角関係なんですが、それでドロドロになることはありません。
《つ》
『罪深き少年たち』(英題:The Boys)
2022年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
1999年のある夜、完州郡参礼(サムレ)の小さなスーパーに3人組の強盗が押し入る。
就寝中の女性ユン・ミスク(チン・ギョン)とまだ幼い娘、ミスクの70代の母親が縛られ、
3人が金品を物色する間に、鼻と口をふさがれた母親は死んでしまう。
人を殺すつもりはなかった3人組は狼狽してすぐさま逃走する。
1週間も経たぬうちに逮捕されたのは近所に住む少年3人で、うち1人は知的障害あり。
3人は犯行を自供して収監され、事件は終わったと誰もが疑わなかったが、
ここに異動してきたばかりの刑事ファン・ジュンチョル(ソル・ギョング)は、
真犯人を知っていると連絡してきた青年に会い、冤罪を確信する。
しかし、ジュンチョルとその部下パク(ホ・ソンテ)が再捜査に乗り出すと、
事件を解決したとして一気に昇進したチェ・ウソン(ユ・ジュンサン)や
担当検事だったオ・ジェヒョン(チョ・ジヌン)からさまざまな嫌がらせを受けるように。
逮捕された少年3人は拷問に怯えて自分たちがやったと言い張る。
結果、冤罪を証明することは叶わず、ジュンチョルも日陰に追いやられたまま15年が経過。
あのときの少年たちは出所してそれぞれ勤めているものの、元殺人犯のレッテルを貼られたまま。
定年間際となり、すっかりおとなしく暮らしていたジュンチョルだったが、
自分の証言のせいで少年たちの未来を潰したと悔やむミスクが弁護士(ハン・スヨン)を伴って来訪、再審請求すると言い……。
酷い事件です。警察組織ってこんなに腐っているんですかね。ここまでやるか。
書類や証拠を捏造して冤罪を生み出した刑事や検事は誰も処罰を受けていないとのこと。
ジュンチョルの妻役ヨム・ヘランと娘役のチョン・イェジンが最高。
こんな奥さんと娘がいたら、がんばれるよねぇ、お父さん。
《て》
『ティアーズ・オブ・ブラッド』(原題:Entre la Vida y la Muerte)
2022年のベルギー/フランス/スペイン作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
監督のジョルダーノ・ジェデルリーニは、ラジ・リ監督の『レ・ミゼラブル』(2019)の脚本家。
ある日、レオが運転する車両に飛び込んで自殺を図ったのは、ほかならぬ彼の息子ユーゴだった。
間一髪、緊急停車してユーゴを轢かずに済んだものの、
どこで撃たれたのかユーゴには銃創があり、手術中に死んでしまう。
その後、ユーゴが強盗事件に関わっていたことがわかる。
ユーゴが属する犯人グループに潜入して捜査中だった刑事ラルフが行方不明のままで、
ラルフの同僚で恋人でもあるヴィルジニーはレオが何か隠していると直感。
どうやら強奪した金をユーゴが持ち去ったまま死んだらしく、
逃亡中の犯人2人がレオを襲い、金の隠し場所を突き止めようとする。
犯人と警察の両方から狙われる身となったレオだったが……。
ほとんど期待せずに観たらかなり面白いノワールアクションでした。
レオはもともとスペイン人で、訳あって政府に匿われ、改名までしてベルギーに来ています。
ヴィルジニーはレオのことをテロリストか何かだと推測するけれど、実は警察官。
悲しい過去があり、そのせいでユーゴとも離ればなれでいることを余儀なくされました。
ユーゴを撃った犯人を追う執念が実る最後には心が震える。
レオを演じるのはアントニオ・デ・ラ・トレ。ヴィルジニーの父親役で名優オリヴィエ・グルメも出演しています。
《と》
『トゥ・クール・トゥ・キル 殺せない殺し屋』(原題:個殺手不太冷静)
2022年の中国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
三谷幸喜監督の『ザ・マジックアワー』(2008)を中国でリメイクしたら大ヒット。
ギャングのボス・ハーベイは映画製作に出資を繰り返しているが、監督のミラーが撮る映画は赤字続き。
ミラーの姉は大物女優のミランで、ハーベイはミランが自分と結婚するなら借金を帳消しにしてもいいと言う。
しかしミランは絶対にハーベイと結婚したくない。
あるとき、有名な殺し屋カールがミランのファンであると聞いたハーベイは、カールを紹介するようミラーに強いる。
本当はカールのことなんて知らないし、ミランのファンであろうはずもないのだが、
誰もカールの顔を知らないのをいいことに、ミランとミラーは妙案を思いつく。
研究熱心だけど演技が大げさすぎて万年エキストラの役者ウェイを呼ぶと、
これは映画だと言い聞かせ、殺し屋カールの役を演じさせることに。
初の主演映画だと喜びはりきるウェイはカールになりきり、ハーベイとも血の杯を交わして……。
ミラン役のマー・リーは今年『抓娃娃(じゅあわわ) 後継者養成計画』でも見ましたが、オーラが凄い。
三谷作品は中国でリメイクするのにふさわしいのではないかと思いました。
というのか、三谷監督が撮るよりもむしろこっちのほうが面白い。笑ったな~。