夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『素晴らしきかな、人生』

2017年03月08日 | 映画(さ行)
『素晴らしきかな、人生』(原題:Collateral Beauty)
監督:デヴィッド・フランケル
出演:ウィル・スミス,エドワード・ノートン,キーラ・ナイトレイ,マイケル・ペーニャ,
   ナオミ・ハリス,ジェイコブ・ラティモア,ケイト・ウィンスレット,ヘレン・ミレン他

前日に飲み過ぎてお酒が残ったまま、『彼らが本気で編むときは、』とハシゴ。
同じく大阪ステーションシティシネマにて。

本当はこの日、テアトル梅田でキム・ギドク監督の最新作を観たかったのです。
しかし、二日酔いだから歩くのもしんどい。
がんばって歩くとしても、テアトル梅田での上映は『彼らが〜』終映の1時間後。
早く家に帰りたかったのもあり、『彼らが〜』終映直後から上映の本作を。

だいたい邦題が気に入らん。
よう恥ずかしげもなく不朽の名作『素晴らしき哉、人生!』(1946)と同名にするわ。
邦題を聞いたときリメイクかと思い、ようあんな名作をリメイクするわと思ったら、
リメイクじゃなかった。いずれにせよ、神経を疑います。

二日酔いの睡眠不足でも睡魔には襲われませんでしたが、
1本目の『彼らが〜」で寝なかったのは面白かったから、
2本目のこれで寝なかったのは、なかなかに腹立たしかったからです。
なんなの、このキャストの無駄遣い。

ニューヨークの広告代理店を経営するハワード(ウィル・スミス)。
共同経営者のホイット(エドワード・ノートン)とともに破竹の勢いで業績を伸ばし、
公私ともに順風満帆な人生を送っていた。

ところが6歳の愛娘が難病に侵されて突然この世を去る。
娘を亡くしてからハワードは抜け殻のようになったまま3年が経過。
妻とは離婚、自宅の電話も取り外し、
会社に顔は出すが仕事をせずにドミノ倒しの製作に没頭。
このままでは会社が危ういと、ホイットは買収話を進めることにして、
役員のクレア(ケイト・ウィンスレット)、サイモン(マイケル・ペーニャ)に相談する。

買収話をまとめるためには、筆頭株主のハワードの承認が必要。
しかしハワードは会社を手放すことだけはしないだろう。
ならばとホイットが考えたのは、ハワードに経営者として責任能力なしの烙印を押すこと。
ハワードの奇妙な言動をカメラに収めて役員会に提出しようと。
クレアとサイモンは良心がとがめるが、会社が潰れては困る。乗るしかない。

たまたま会社の近所で芝居の練習をしていたのが、とある劇団。
ホイットらはその劇団の役者であるエイミー(キーラ・ナイトレイ)、
ラフィ(ジェイコブ・ラティモア)、ブリジット(ヘレン・ミレン)に、
ハワード相手の芝居を依頼するのだが……。

ネタバレです。

役者たちに芝居を依頼する前、ホイットは探偵を雇ってハワードの行動を調べます。
ハワードがポストに3通の手紙を投函したのを見た探偵は、
違法にポストをこじ開けてその手紙を回収。
なんとハワードが出した手紙の宛名は「愛」、「時間」、「死」。
ハワードは「愛」と「時間」と「死」に宛てて、
どうして娘を奪ったんだ、もう愛なんて要らない、時間なんて無意味だ、
なぜ死なせるなら自分を死なせなかったんだ、みたいなことを綴っていました。
で、ホイットが考えたのは、ハワードの前に「人間の姿をした愛と時間と死」を登場させること。
エイミーが「愛」、ラフィが「時間」、ブリジットが「死」としてハワードの前に登場させる。
するとハワード自身は幻覚や幻聴だと思い込み、自分のアタマがおかしくなったと思うはず。
エイミーたちをハワードが罵る画像を撮れたなら、
ハワードが独りでしゃべっているように画像を編集しようという魂胆。

……ってね、要りますか、こんな奇策のために割かれたシーン。
いくらヘレン・ミレンほどの大女優がハワード相手に演説をぶっても、
設定が腹立たしいからちっとも耳に入ってこない、心が動かない。
自分の演技に自信を持つブリジットが、愛と時間と死、
ぜんぶ私に演じさせろというのも傲慢すぎてウザイ。

号泣していた人もいましたが、私はガッカリ。
人の弱みにつけこんで騙し討ちというのはいただけません。
騙す方法も、痛快でも鮮やかでもなんでもないんだもの。

最後に一応ドンデン返しあり。これもまたなんかせこいんだなぁ。

デヴィッド・フランケル監督は『プラダを着た悪魔』(2006)がものすごくよかったけれど、
こんな邦題を付ける作品はいただけないこと確定。
ちなみに原題の“Collateral Beauty”はちゃんと台詞の中に登場します。
そのシーンはちょっとだけよかったかな。
ま、それを邦題にすると、それはそれでまたチープな感じがしちゃうんですけど。

あぁ、久々にケチョンケチョンに言ってしまった。(^o^;

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『彼らが本気で編むときは、』

2017年03月07日 | 映画(か行)
『彼らが本気で編むときは、』
監督:荻上直子
出演:生田斗真,桐谷健太,柿原りんか,ミムラ,小池栄子,門脇麦,柏原収史,
   込江海翔,江口のりこ,高橋楓翔,品川徹,りりィ,田中美佐子他

どーして飲み過ぎてしまうのか。
学習力なく飲み過ぎた土曜日、翌日の日曜日はほんとにヘロヘロ。
それでも目覚まし時計が鳴る前に起き上がり、
大阪ステーションシティシネマで2本ハシゴ。
睡魔に襲われることはありませんでした。面白かったから。

荻上直子監督の作品は不思議な空気感があります。
『バーバー吉野』(2003)、『かもめ食堂』(2005)、『めがね』(2007)、『レンタネコ』(2011)。
たいていゆるゆると時間の流れる作品で、キャストもそんな感じ。
だから、本作のキャストを聞いたときは驚きました。
荻上監督らしからぬ普通さとでも言いましょうか。
だけど、こんな役に生田斗真をキャスティングしようとは誰も思いつかないだろうから、
その点では普通とは言えないかも。生田くんの新境地。

小学5年生のトモ(柿原りんか)は、母親のヒロミ(ミムラ)と二人暮らし。
しかしヒロミがトモに与える食事といえばコンビニのおにぎりばかり。
家事もろくにせず、夜中に吐くほど酒を飲んで帰宅する有様。

ある日、男ができたヒロミは、トモを置いて家を出て行ってしまう。
以前にも同じことがあり、男に振られれば帰ってくるはず。
仕方なくトモは、叔父のマキオ(桐谷健太)の勤務先である書店を訪ねる。
マキオの仕事が終わるのを待って、ふたりで帰る道すがら、
一緒に暮らしている女性がいるとマキオはトモに打ち明ける。
「ちょっと変わった人だから、先に言っておいたほうがいいと思って」と。

マキオの家に着き、トモを迎え出たのはリンコ(生田斗真)。
女物の服を着て、胸のふくらみはあるけれど男性にしか見えない人。
リンコは男性として生まれ、性別適合手術を受けて女性となったトランスジェンダーだった。
戸惑うトモにリンコは優しく声をかけ、ごちそうでもてなしてくれる。
「ちゃんとしたごはん」にトモの表情も自然にゆるむ。

翌日は学校を休んで自宅に荷物を取りに行くというトモに、
お弁当まで持たせてくれるリンコ。食べるのがもったいないようなキャラ弁。
ゲームの片付け等うるさく言われながらも、髪を可愛く結んでくれるリンコ。
実の母親から受けたことのなかった愛情を感じ、
マキオとリンコとトモ、3人の生活に家庭のぬくもりをおぼえる。

しかし、リンコと買い物に出れば、頻繁に周囲の偏見にさらされる。
実際、トモもこうしてリンコに出会うまでは、強い偏見を持っていた。
幼なじみで同性の上級生に恋心を抱くカイ(込江海翔)は、同級生からホモとからかわれている。
同類だと思われたくないトモは、学校では話しかけるなとカイに伝えていたのだから。

自分の息子の性的指向を知らないカイの母親ナオミ(小池栄子)は、
リンコとトモが一緒にいるのを見て不快感をあらわにする。
そんなナオミにリンコのことを悪く言われたトモは激怒、警察沙汰になる。

何を言われても怒っちゃ駄目。耐えるの。そうトモを諭すリンコは、
悔しいことがあるときは編み物をして心を落ち着かせるのだと言い……。

大阪出身のくせして、大阪弁をしゃべらすと妙なイントネーションになる桐谷くん。
彼は終始標準語のほうが違和感ないみたい。
リンコのことも姪っ子のトモのことも大切にする、
誠実で温かい心の持ち主であるマキオ役が非常に似合っていました。

生田くんがよかったのは言わずもがな、トモ役の柿原りんかちゃんが素晴らしい。
ただの可愛い子役じゃなくて、ドスを効かせた声を出すときなんか最高です。
彼女の心にあらわれる変化を本当にうまく表しています。

出番はそれほど多くないけれど、リンコの母親フミコ役の田中美佐子も◎。
もしも自分の息子が同性愛者だったら。性同一性障害だったら。
母親の大きな大きな愛情をフミコから感じます。
フミコの年下の恋人ヨシオに柏原収史。介護士であるリンコの同僚の佑香に門脇麦
とにかくこの辺りの人たちみんな、器がデカい。
男だ女だって、そんなのどっちでもええやん。そんな感じです。

マキオとヒロミの母親で、認知症を患うサユリ役にりりィ
これが彼女の遺作となりました。ご冥福をお祈りします。

リンコが何を編んでいるのかは見てのお楽しみということで。

煩悩を、こんなふうにパーッと放てたら。

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米朝一門会に行きました。

2017年03月05日 | ほぼ非映画(その他)
この間の木曜日のこと。ダンナの帰りがちょっと遅くなるらしい。
映画1本だけなら観る時間がありそう。
だけどちょうどこの日、箕面メイプルホールで米朝一門会がある。
どちらにしようと迷っていたら、従姉が「やっぱり“生”やで、“生”!」と言う。
従姉と一緒に行こうかというわけではないのですけれど、
そもそもこの日に箕面で一門会があるよと教えてくれたのは従姉。

“生”がいいのは百も承知だけれど、だからこそ映画より疲れるんです(笑)。
映画1本ならとっとと観てとっとと帰れる。
落語だったらもうちょっと遅くなるし、たぶん疲れる。どうしよう。

悩んでみたところでもしかしたらチケット完売かも。
まずは問い合わせようとホールへ電話。
そうしたら残席僅少、でもおひとりならいけますとのこと。
しかもその電話で席を確保してくれるというのです。
ならば行くしかあるまい。
3列目の右端の席を押さえてもらい、終業後に直行しました。

出演陣は(敬称略)、桂米輝、よね吉、南天、ざこば、米團治、南光。
このメンバーを見るのは6年前のチャリティー落語会以来です。

演目は当日のお楽しみということでしたが、
高校時代は一応落研だった私、聴いたことはあるネタばかり。
しかし近頃は落語に怠けていて、何という落語なのかはすぐにわかりません。
さげ(=おち)の部分を書き留めて帰り、調べたネタもありました。
こんなこと言ったら落研の先輩方に「おまえそんなこともわからんのか」と怒られそう。(^^;

で、判明した演目は下記のとおり。

米輝  『つる』
よね吉 『芝居道楽』(=『七段目』)
南天  『動物園』
ざこば 『厩火事』
米團治 『替り目』
南光  『鹿政談』

よね吉さんが大入り満員の状況を「5万8千人のご来場」と表現。
ドームよりようさん入っているとおっしゃいましたが、
そこはドームじゃなくて甲子園球場と言わなあかんのでは(笑)。
吉朝さんのお弟子さんなのですね。
吉朝さん、好きでした。早世が残念でなりません。
でもお弟子さんたちはこうやってがんばっていらっしゃるのですね。

演目としていちばん懐かしかったのは、自分でもやった『動物園』。
そうか、あのこごろうさんが今は南天さんなのか。
私が寄席にかよっていた頃とはみなさんお名前がちがうのです。
それを思うと感慨ひとしお。マクラの携帯ネタに笑う。

昔から、この人、練習してへんやろと思っていたざこばさん。
朝丸さんだった頃は、詰まるとそう思っていました。
今はお年のせいかと思われます(笑)。詰まると心配になる。
奥さんの話で盛り上がるマクラがめちゃめちゃ面白かった。
今年は古稀をお迎えになりますね。絶対長生きしてください。

米團治さんを私がよく見たのはまだ小米朝の時代。
親の七光りとばかり思っていましたが、上手い。
やはりサラブレッドだから品がある。
よう練習してはるんやということが伝わってきます。
マクラの襲名時の話は鉄板かと思われます。面白すぎる。

そしてこの日の私のお目当てだった南光さん。
いつまで経っても「べかちゃん」と呼んでしまいそう。
後から知りましたが、この『鹿政談』ってマクラからして米朝さんのネタ。
聴衆観客を盛り上げるテクニックもさすがです。

落研に所属していた者って、たぶん普通のお客さんより笑いません。
だってネタ全部知っているんですものね。
次こう来るとわかっているわけで。
だから、わりと冷ややかに「ふーん」と聴くときもあるけれど、
わかっていても笑わされてしまったときは嬉しくなります。

めっちゃ笑って、すごく楽しかった一夜。
しかし、生身の人間相手だから、やはり疲れます。
映画4本ハシゴしたときよりも疲れて、帰宅後はぐったり。
こんなに疲れるほど聴き入って笑える3,000円は安い。
また行かなくちゃ、落語会。

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『ラ・ラ・ランド』

2017年03月03日 | 映画(ら行)
『ラ・ラ・ランド』(原題:La La Land)
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング,エマ・ストーン,ジョン・レジェンド,
   ローズマリー・デウィット,ソノヤ・ミズノ,J・K・シモンズ他

プレミアムフライデーとはなんぞや。
そんなものができたことも知らず、本作の封切りの日に時間休を取ったら、
「プレフラですか」と言われる言われる。いや、たまたまです。

本作の封切り日だった2月24日(金)のこと。
友人の息子の卒業制作展がその日から三宮であるというので観に行こうかと。
終業後に向かっても間に合わないから、14:15から3時間の時間休を取得。
どうせなら映画も観たいよなぁ、観るなら断然『ラ・ラ・ランド』やんなぁ。
西宮なら14:50からという回があるけれど、間に合わない可能性大。
三宮なら15:20、これも相当キツイけど、高速に乗って行けばギリ間に合うか。

そんなわけで14:15ピッタシに職場を駆け出し、名神吹田から阪神京橋へ。
目星を付けていたコインパーキングに駐車して、OSシネマズミント神戸へ初見参。
なんとか15:15に劇場ロビーへ到着。購入済みだったムビチケで座席を確保。
初めての映画館って心が躍る。マイルもポイントも貯まらないのはもったいないけど。

宣伝しまくりでしたから、みなさんご存じのことでしょう。
監督は『セッション』(2014)で私の心を射抜いたデイミアン・チャゼル。
主演のふたりも好きだから、ひたすら楽しみにしていました。

ロサンゼルス
女優志望のミアは映画スタジオのカフェで働き、オーディションを受ける日々。
役にありつけないどころか、審査の席でろくに演技も見てもらえない。
ある晩、凹みながら歩いていたとき、場末のバーから聞こえてくるピアノの音色に心惹かれる。
バーに足を踏み入れてみると、ピアノを弾いていたのは見たことのある顔。
以前フリーウェイでお互いに失礼な態度を取り合った相手、セブだった。

ジャズピアニストのセブは、自分の店を持つのが夢。
しかしそれを叶えるのは難しく、あちこちで弾きたくもない曲を弾いているという実情。
その場末のバーでも勝手な演奏をしてまさに解雇を言い渡されたところだった。
彼のピアノに魅入られたミアは思わず声をかけるが、セブは無視して通り過ぎる。

ところが後日、ふたりはまたしても偶然同じ場所に居合わせる。
どちらの夢もなかなか叶いそうにないという厳しい現実に打ちのめされながら、
ふたりはいつしか恋に落ち、励まし合って生きてゆくのだが……。

非常にシンプルなストーリーのなかで俳優陣の演技が光り、
CGに頼らないロサンゼルスの街並みも美しい。

私はとても楽しかったのですが、これが日本で大ウケするかどうかは疑問。
迫力のある大画面、音響の優れた劇場で観なければ、
これだけ宣伝して巷の期待を高めていた手前、拍子抜けする可能性も。
実際のところ、私もちょっぴり拍子抜け。しかし本作がその程度のわけはないと思いたい。
もう一度IMAXで観たい気持ちに駆られています。

ネタバレですが、ハッピーエンドとは言えないところも一般的にはビミョーかと。
もちろんこの切なさ、私は大好きです。

使用されている曲の数としてはあまり多くなく、
同じ曲がさまざまなアレンジで流れるものだから、耳に残る残る。
終映後にお手洗いで二人連れが話しているのを聞きました。
「めっちゃ期待してたから、物足りんかったな」。
でも曲はしっかり口ずさんでいましたから(笑)。

本作でライアン・ゴズリングエマ・ストーンを知ったという方、
同じふたりが出演している『ラブ・アゲイン』(2011)が楽しいのでどうぞ。

最初のほうでセブがミアに「タイプじゃない」というシーンがありましたが、
ライアン・ゴズリングの実生活でのパートナーは、エヴァ・メンデス
エマ・ストーンよりは肉感的な女性のほうが本当にタイプなのかも(笑)。

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『ナイスガイズ!』

2017年03月02日 | 映画(な行)
『ナイスガイズ!』(原題:The Nice Guys)
監督:シェーン・ブラック
出演:ラッセル・クロウ,ライアン・ゴズリング,アンガーリー・ライス,
   マット・ボマー,マーガレット・クアリー,キム・ベイシンガー他

『愚行録』のあまりの重さにドッと疲れを感じるひまもなく、
エキスポシティを飛び出して109シネマズ箕面までまっしぐら。
『愚行録』の上映終了から本作の上映開始まで30分。
結果的にはあせらずとも余裕でした。入場開始時間に悠々到着。

話題作の『ラ・ラ・ランド』の公開前週に、
ライアン・ゴズリングがこんなおバカな作品にも出演。
予告編がとても楽しかったので観に行ってきました。


 シングルファーザー私立探偵ホランド・マーチ(ライアン・ゴズリング)。
しっかり者でませた13歳の一人娘のホリーに尻を叩かれながら、
酒は手放せず、つまらん仕事でなんとか稼いでいる。

そんな彼のもとに老女グレン夫人から舞い込んだ依頼は、
姪で売れっ子のポルノ女優ミスティを探してくれというもの。
しかしホランドの知るかぎり、ミスティは事故で亡くなっている。
グレン夫人もそれを承知のうえなのだが、
死亡を知らされた後に、ミスティの自宅で窓越しに本人を見かけたというのだ。

んなアホなとホランドが調査したところ、ミスティは確かに死亡。
だがそのあとに誰かが彼女の部屋に侵入した形跡があり、
それがアメリアという女性であることを突き止める。

アメリアの所在を探していたホランドは、ある日突然腕をへし折られる。
ホランドを殴ったのはジャクソン・ヒーリー(ラッセル・クロウ)。
ジャクソンは腕力で事を片づける示談屋で、
ホランドにアメリアを探すのをやめさせるよう、アメリア自身から頼まれていたのだ。
これ以上けがをしたくないホランドはすぐに撤退の意思をあきらかにする。

ところが後日、今度はジャクソンが何者かに襲われる。
相手はアメリアを血眼になって探しているらしい。
陰謀の匂いありと見たジャクソンは一転、ホランドを雇うことに。

こうして冴えない男ふたりとしっかり者のホリーはアメリア探し。
司法省のジュディス・カットナー(キム・ベイシンガー)に面会を求められ、
出向いてみると、彼女はアメリアの母親だという。
なんとしでも娘を探し出してほしいとジュディスから懇願され……。

監督は大好きだった『キスキス,バンバン L.A.的殺人事件』(2005)や
『アイアンマン3』(2013)のシェーン・ブラック。
予告編を観て期待したほどの面白さではありませんでしたが、
こんなお茶目なライアン・ゴズリングとデブデブのラッセル・クロウのコンビが楽しい。

ポルノに出演することで癒着だらけの世の中を変えることができるのか。
結局できないし、権力を持つ者が強いわけですが、
こんなことを考える人がいてもいい。映画も小さくはない力があるはず。

イケてるライアン・ゴズリングもいいけれど、こんな冴えない彼も好き。

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