夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『さよならくちびる』

2019年06月17日 | 映画(さ行)
『さよならくちびる』
監督:塩田明彦
出演:小松菜奈,門脇麦,成田凌,篠山輝信,松本まりか,新谷ゆづみ,
   日高麻鈴,青柳尊哉,松浦祐也,篠原ゆき子,マキタスポーツ他
 
前述の『長いお別れ』とTOHOシネマズ伊丹にてハシゴ。
 
若者の聴く曲、知りません、わかりません。
あいみょんのこともわりと最近まで全然知らなかったところ、
ラジオで耳にした“君はロックを聴かない”にどハマリ。
ほんの1カ月前まで、私の車の中ではその曲がエンドレスでかかっていました。
 
そのあいみょんと秦基博が楽曲を提供している作品。
そりゃもうそれだけで観たくなります。
 
インディーズの人気女性デュオ“ハルレオ”。
ハル(門脇麦)が職場で見かけたレオ(小松菜奈)に声をかけて誕生。
ホストでローディ兼マネージャーのシマ(成田凌)の運転する車で全国を回りつづけてきた。
 
ところがハルレオは突然解散を決める。
解散することをどこにも発表しないまま、最後の全国ツアーへと出発する。
 
ただこれだけっちゃこれだけのロードムービー
最後のツアーに向かうシーンから始まり、
さまざまな時代の彼女たちを映しながら進みます。
 
いったいいつの時代に戻ったのやらわかりにくいときがありますが、
それはもう小松菜奈演じるレオの髪型で判断。
最初ロングヘア、途中ミディアム、最後ショートカット。
 
表題曲は秦基博が作り、劇中のライブで歌われる曲はあいみょんが作ったもの。
どれも切ない青春を歌ったいい曲ですが、とにかく同じ曲ばかりが流れすぎる。
ライブのたびに同じ曲を聴かされ、もっとほかの曲も聴かせろという気に。
 
小松菜奈はそうじゃない。私は彼女がすごく好き。
 
いろんな役ができるといえば、成田凌もおもしろい。
息が長くなりそうな若手実力派3人だと思います。
 
ラストの表情がすごくよかった。
今日からまた車の中ではあいみょんだ!

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『長いお別れ』

2019年06月14日 | 映画(な行)
『長いお別れ』
監督:中野量太
出演:蒼井優,竹内結子,松原智恵子,山崎努,北村有起哉、
   中村倫也,杉田雷麟,蒲田優惟人他
 
TOHOシネマズ伊丹にて2本ハシゴの1本目。
 
原作は中島京子の同名小説。
監督は『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)の中野量太。
『湯を沸かすほどの〜』は最後がなかなかに猟奇的(笑)だったから、
本作のほうが万人落ち着いて観られるのではと思います。
 
ある日、東家の長女・麻里(竹内結子)と次女・芙美(蒼井優)のもとへ、
母親・曜子(松原智恵子)から連絡が入る。
電話では話せない相談事があるから、実家に寄ってほしいとのこと。
ただならぬ話のようで、麻里はわざわざアメリカから帰国。
父親・昇平(山崎努)の70歳の誕生日に実家に集った一家。
 
久しぶりに昇平に会った麻里と芙美はびっくり。
かつては中学校の校長をしていたほど厳格で賢い昇平が、
どうやら認知症らしく、娘たちの見分けもつかない様子。
両親ふたりきりの生活に麻里も芙美も不安を感じるものの、
娘たちが今すぐ同居できるわけでもなく……。

父親から教師になることを望まれていた芙美は、まったく違う道へ。
料理好きの彼女は、いずれ店を持つことを夢見てスーパーの惣菜売り場でバイトするかたわら、
週に何度かフードトラックで自分がつくったカレーを売っています。
思うように売れないわ、恋人とも上手くいかないわで凹む日々。
 
一方の麻里は、夫の転勤でカリフォルニアへ行き、
芙美からは優雅な海外生活を送っていると思われていますが、
現地での暮らしにいつまで経っても馴染めない。
もともと英語が得意な夫、すぐに話せるようになった息子。
それにひきかえ麻里はいつもびくびく。まったく話せません。
 
こんなふうにそれぞれの悩みを抱えていっぱいいっぱいなのに、
母親からひっきりなしにかかってくる電話。
ちょっと目を離した隙に出かけてしまう父親に振り回されます。
 
ユーモアたっぷりに描かれていて、あちらこちらで笑い泣き。
母親役の松原智恵子がすごく良い。
 
ぼけた父親とは話がかみ合わないはずなのに、交わす言葉に癒される。
ところどころ、かなり頻繁に泣けました。
 
心身ともにつらい介護をしてきた人には綺麗事と思える部分もあるかも。
でもこんな家族でいられたらいいなと思います。

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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

2019年06月11日 | 映画(か行)
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(原題:Godzilla: King of the Monsters)
監督:マイケル・ドハティ
出演:カイル・チャンドラー,ヴェラ・ファーミガ,ミリー・ボビー・ブラウン,渡辺謙,
   チャン・ツィイー,ブラッドリー・ウィットフォード,サリー・ホーキンス他
 
公開初日の金曜日、ちょうどダンナが飲み会だったから。
エキスポシティか箕面か伊丹のいずれかで本作を観ることに。
2Dの字幕版を観たかったのに、どこも時間が合わず。
吹替版ならいずれで観ることもできるけれど、
「洋画は字幕で観る派」の私としては、そこは譲れない。
109シネマズ箕面のIMAX3D版で手を打ちました。
 
最初の『ゴジラ』(1954)に始まり、何度も映画化されてきた“ゴジラ”
本作はハリウッド版の『GODZILLA ゴジラ』(2014)の続編。
『キングコング 髑髏島の巨神』(2017)と同じ世界観なんですと。
 
前作から5年後の世界。
怪獣の調査をおこなってきた秘密機関“モナーク”は、
怪獣への対応について追及を受け、解体の危機に。
 
一方、中国・雲南省のモナーク基地では、モスラの幼虫が孵化して暴れ出す。
科学者エマとその娘マディソンはモスラの幼虫と交信を試みて落ち着かせることに成功。
ところがその直後、環境テロリストのアラン率いる傭兵部隊が突入し、
エマとマディソンを連れ去ったうえに、怪獣との交信装置を奪ってゆく。
 
モナークの科学者である芹沢は、元モナークのメンバーでエマの夫マークに協力を要請。
エマとマディソンを探しはじめるのだが……。

IMAXです。3Dです。映像が綺麗だし、迫力もある。
でも迫力ありすぎ派手すぎ音デカすぎで、何がどうなっているのやらわからん。
途中からもうどうでもいいやという気分になってきて、
3Dメガネをかけたまま盛大に寝ましたがな、私。
 
なんかみんな『アルマゲドン』(1998)みたいなんだもの。
自分の命を犠牲にして人々とゴジラを救おうとする。
渡辺謙演じる芹沢博士もそんなふうで、アンタはブルース・ウィリスかっ。
 
怪獣にあまり詳しくもなければ思い入れもないから、
ドシャーンとかピッカーンとかやたら轟音で閃光飛び交うシーンばかりでは
私はもう「へー、ふーん、はーん」と驚くよりほかありません。
 
ハリウッドでは有名でも、日本ではそれほど知名度が高くない役者いっぱい。
でもねぇ、これって彼らの代表作には全然ならんと思う。
エマ役のヴェラ・ファーミガなら『エスター』(2009)だし、
わりと早く死んでしまうモナーク女性幹部役のサリー・ホーキンス
モナークの研究員役のチャン・ツィイーは断然『初恋のきた道』(1999)だろうし。
なんだかあんまり演技力は要しない作品のような気がして。
 
モスラはちっこいくせして頼り甲斐のある奴だと思いました。
それぐらいしか感想が出てこない。(^^;

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『空母いぶき』

2019年06月08日 | 映画(か行)
『空母いぶき』
監督:若松節朗
出演:西島秀俊,佐々木蔵之介,本田翼,小倉久寛,玉木宏,戸次重幸,市原隼人,
   中井貴一,村上淳,吉田栄作,中村育二,益岡徹,斉藤由貴,藤竜也,佐藤浩市他
 
レディースデーに109シネマズ箕面にて1本だけ。
 
原作は2014年から『ビッグコミック』に連載中のかわぐちかいじのコミック。
監督は『柘榴坂の仇討』(2014)の若松節朗。
公開前には総理大臣役を演じた佐藤浩市の発言に百田尚樹が反応。
ネット上でえらい騒ぎとなりました。
 
そう遠くない未来、12月23日の未明。
沖ノ鳥島の西方450キロに浮かぶ波留間群島初島に、国籍不明の武装集団が上陸する。
おそらくその国は東亜連邦(映画オリジナルの架空の国名)。
相手は初島にいる人々を拉致して占領、日本の領土を乗っ取るつもりらしい。
 
小笠原諸島沖で訓練航海中の海上自衛隊・第5護衛隊群がただちに出動を命じられる。
彼らが乗るのは専守防衛をめぐって議論の的となっていた自衛隊初の空母“いぶき”。
航空自衛隊出身の艦長・秋津竜太一佐(西島秀俊)と、
海上自衛隊生え抜きの副艦長・新波歳也二佐(佐々木蔵之介)は、
隊員たちを率いて現地へと向かうが、想定外の戦闘状態に直面。
 
事態を知らされた内閣総理大臣・垂水慶一郎(佐藤浩市)は、苦渋の判断。
防衛のための戦闘を採らざるを得なくなるのだが……。
 
カネかかっとるなぁという印象です。
上記キャスト以外にも、いぶきを護衛する各艦の艦長がなかなかに魅力的。
特に、本気モードに入ると関西弁になるという“いそかぜ”艦長役の山内圭哉が私のツボ。
 
たまたま取材で乗り合わせた記者役に本田翼小倉久寛
本田翼はほんとに可愛いですけれど、今のところ何役でも同じ
物憂い表情をしてもどこか白々しいというのか。
そのうち長澤まさみみたいに化けないかなぁ。
本田翼の上司役の斉藤由貴はさすがでした。彼女にずいぶん救われる。
 
つまらなくはないですよ、もちろん。でも私はイマイチ乗れない。
戦艦を「新しいおもちゃ」と称し、終始ニヤニヤ気味の西島くんもなんだか。
反戦を謳っているふうにはなっていても、
戦闘、戦争シーンに血がたぎる人のほうが気に入ると思います。
感動の煽り方がわかりやすすぎて興ざめ。わざとらしい。
 
唯一心に響いたのは、百田氏に三流役者呼ばわりされた(笑)佐藤浩市の台詞。
戦後、民意を反映したとはいえない法律がいろいろできた。
そんななか、決して変わらなかったものがひとつ。「絶対に戦争をしない」ということ。
 
いや、佐藤浩市、上手いってば!

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『幸福なラザロ』

2019年06月06日 | 映画(か行)
『幸福なラザロ』(原題:Lazzaro felice)
監督:アリーチェ・ロルヴァケル
出演:アドリアーノ・タルディオーロ,アニェーゼ・グラツィアーニ,ルカ・チコヴァーニ,
   アルバ・ロルヴァケル,トンマーゾ・ラーニョ、セルジ・ロペス,ナタリーノ・バラッソ他
 
梅田スカイビルにインバウンドが押し寄せるようになってから、
付近のコインパーキングの料金が軒並み上がりました。
最大料金800円だったところがいつのまにか1,900円になっていたりして、ウソ〜。
 
この日はハワイアンフェスタなんぞが開催されていましたが、
6時間1,200円のところを見つけて駐車。
大阪ステーションシティに向かう途中に『ビッグイシュー』を売るおじさん発見。
5月、まだ朝8時だというのに気温は30度近い。
ご苦労様の意味を込めて、最新号とバックナンバーの2冊を購入。
ちなみに、バックナンバーのほうの表紙は『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』
 
大阪ステーションシティシネマで前述の『ベン・イズ・バック』を観た後、
再びスカイビルに戻ってこの日の本命だった本作を鑑賞。
親しい人ふたりから別々に薦められたら、観に行かないわけにいかん。
 
イタリアの山間にある小さな村。
村人たちは領主の侯爵夫人に小作人として仕え、搾取されつづけている。
しかし渓谷を越えて村から出て行くことは許されず、
また、許しなど得なくても出て行けるとは思いもしていない。
貧しい暮らしだが、それなりに穏やかな日々。
 
そんな村人たちのうちのひとりが青年ラザロ。
両親はどこの誰なのかわからず、身寄りは祖母だけ。
バカが付くほど正直者のお人好しで、人を疑ったり怒ったりすることは皆無。
誰の言うこともよく聞いて実によく働く彼に、
周囲は面倒をすべて押し付けて、いいように使っている。
 
ある日、侯爵夫人が息子タンクレディを連れて村にやって来る。
母親を鬱陶しく思うタンクレディは狂言誘拐を思いつき、
ラザロに片棒を担がせようとするのだが……。

1980年代に実際にあった事件がモチーフになっていることは鑑賞後に知りました。
 
小作人制度なんてとっくになくなっているのに、
侯爵夫人が村人たちをその土地に閉じ込め、賃金を払わずに働かせる。
狂言誘拐が発端となってこの村の存在が明らかに。
村人たちはようやく解放されて、都会へと出て行きます。
 
でも、都会へ行ったところで仕事が見つかるわけではない。
孤立した村で長年暮らしてきた彼らは、
せっかく解放されても横田庄一さんみたい、というと言い過ぎか。
とにかく、どのように生活すればよいのかわからないから、
同じように皆でかたまって暮らし、カネを稼ぐために詐欺を働いている。
 
どこまでが実際の事件をモチーフにしているのか知りませんが、
不思議なファンタジーに仕上がっています。なんという粋な作品なのか。
 
無垢な青年は神の使いか狼か。
彼の善意をみんな当たり前のように受け取り、感謝しない。
それでも、見返りなんていっさい求めず、
何を言われてもされても幸せそうな顔をしているラザロ。
人間が皆こうであったならば、争いなんて起きないのに。
 
とても悲しいけれど美しいと思えるエンディングでした。

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