夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

弟のこと。その2。

2022年05月26日 | まるっきり非映画
1回では書き切れなかったので、その2。
 
弟とは2歳違いです。「しるし」が言えなくて「しるしる」と言う、めっちゃ可愛い弟でした。
私と異なって芸術のセンスに長け、絵画コンクールなどではよく入賞していました。
勉強もよくできる子で、高校入試のさいは菅田将暉の出身校に合格確実と言われていたのに、なぜかすべる。
あのときから人前では泣かない子だったなぁ。ベッドで向こう側を向いて伏していたのを思い出します。
 
弟の同窓生だった方々には「すべり止め」というと申し訳ないことですが、
すべり止めだった私立高校の入学試験で創立以来トップに近い成績を収めたらしく、
その年に新設された特進クラスだか何だかに入ることを強く勧められました。
ところが何を思ったか、弟は拒否。普通のクラスに入ってラグビーをすると言い出しました。
中学のときは卓球部だったんですよ。それをなぜにラグビー!? ガラもデカないのに。
 
でも楽しかったみたいです。
ラグビー部員で部活後に喫茶店に入り、みんなでパフェを頼む話とか可笑しかった。
いかつくて汗臭い連中がパフェって。「僕チョコパ」「俺イチゴパフェ」とかって。
人前では泣かない弟ですが、2015年のワールドカップで日本が南アフリカに勝った試合は
観ていて思わず泣いちゃったよぉと言っていました。
 
特進クラスに入っていればスルスルといい大学に入学したかもしれないところ、弟は二浪。
私はといえば、希望の高校にシュッと入り、浪人を覚悟していたのに大学にもシュッと合格。
いつも、私が弟の運を奪っているのではと思っていました。
いつだったかそれを言ったら、何を言うてるねんというような顔で見返されましたけど。(^^;
 
大学時代にどこかで5千円を落として呆然としていた姿とか、
梅田で飲んでいて終電を逃し、歩いて池田まで帰ってきた姿とか、いろいろ思い出す。
疲れて死んだように眠っていた翌日、「十三大橋って、歩いたら死ぬほど長いで」と言ってました。
 
私が発熱して寝込んだ折、布団の上でヨーグルトかプリンを食べようとしたのにスプーンがない。
母に甘えて「スプーン取って」と頼んだら、「それぐらい自分で取りなさい」と怒られた。
そうしたら弟が「熱あるねんで。可哀想やん!」とスプーンを持ってきてくれたことがありました。
そのわりに、もっと高熱で私がうなされていたとき、
弟が大音量でフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの“リラックス”をかけていたことがあり、
頼むし音量下げてと言った覚えが(笑)。いまだにこの曲を聴くとそれを思い出して笑ってしまいます。
 
私がまだ小学生のときのこと。
今はずいぶん丸くなったけれど、その昔は短気だったと私が大喧嘩したことがあります。
短気でも子どもに手を上げることはなかった父は、ものすごく私に腹が立ったと見え、
手を上げない代わりに私の通信簿を手に取ってくちゃくちゃにしました。のつもりだった。
が、それは私のではなく弟の通信簿で、嗚呼、父の間違い。
弟の通信簿に母がぼやきながら必死でアイロンをかけていた光景も思い出します。
今となっては笑い話ですが、私のせいやねん。ほんまにごめん。
 
ほんとにいろいろと思い出すもんだなぁ。

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『大河への道』

2022年05月25日 | 映画(た行)
『大河への道』
監督:中西健二
出演:中井貴一,松山ケンイチ,北川景子,岸井ゆきの,和田正人,田中美央,
   溝口琢矢,立川志の輔,西村まさ彦,平田満,草刈正雄,橋爪功他
 
病院から緊急連絡がないことを祈って109シネマズ箕面へ。
と病院にしか番号を知らせていない携帯をマナーモードにしてしっかり握りつつ鑑賞。
 
落語家立川志の輔の新作落語に惚れ込んだ中井貴一が企画したそうです。
中井貴一は自分が出演するつもりはなかったらしいけど、
彼以上に誰がこの役にピッタリだというのでしょう。思いつかん。
監督は私はお初の中西健二。さてさてどうか。楽しかった!
 
千葉県香取市の市役所
総務課主任の池本(中井貴一)は、部下の木下(松山ケンイチ)と共に観光振興策検討会議に出席。
無駄口ばかり叩く木下をたしなめていたところ、
観光課課長の小林(北川景子)に睨まれて、いい案があるのかと詰問される。
 
池本が苦し紛れにふと思いついて提案したのはNHK大河ドラマの制作。
地元の英雄・伊能忠敬を主人公にしてはどうかと口走ってしまう。
 
ところがこの案を耳にした千葉県知事がそれを妙に気に入り、
知事がファンであるという脚本家・加藤(橋爪功)にぜひとも執筆してもらうようにとのこと。
池本は加藤を訪ねるが、ここ20年、何も書いていない加藤は取りつく島もない。
 
しかしひょんなことがきっかけで加藤の家に上げてもらうことに成功した池本は
なんとか加藤に筆を取らせようと必死。伊能忠敬記念館に加藤を連れて行く。
すると、伊能忠敬が作り上げたという200年前の地図の前で加藤は驚愕。
 
脚本の執筆を承諾した加藤がいろいろと調べたところ、
なんと伊能忠敬は日本地図が完成する3年前に亡くなっていたことが判明して……。
 
この現代の話と、伊能忠敬が亡くなった1818(文化15)年から1821(文政4)年までの3年間の話を
同じ面々が演じているところがとても面白い。
 
師である伊能忠敬の志を継いで地図を完成させようと奮闘する測量隊員のメンバーは、
みんな市役所の職員を演じていた人たち。平田満岸井ゆきの和田正人、田中美央、溝口琢矢。
彼らの長となる幕府の天文方・高橋景保役が中井貴一。その助手・又吉役が松山ケンイチ。
 
北川景子は伊能忠敬の4番目の妻役で、地図の完成に協力します。
伊能忠敬の生死を怪しんで調べに来るお侍を演じる西村まさ彦は、現代の役回りが可笑しい。
橋爪功は伊能忠敬が眠る寺の住職と2役で、原作者の志の輔もラジオDJと医者の2役で登場。
 
千葉県知事は最後まで顔を見せないので、ここには書かないでおきますね。
徳川家斉の顔を見れば、あぁ、この人が知事役だなとすぐにわかるでしょう。よかった。
 
できあがった地図の全容を見られるシーンはちょっと感動。美しい。
200年前にひたすら歩いてこの地図を完成させたって、本当に凄い。
 
客の多くは中高年層で、共感能力が高い(笑)。笑いもよくこぼれていました。
ちょっとウルっともしたりして、地図をじっくり見たくなる作品です。

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『燃えよドラゴン』

2022年05月24日 | 映画(ま行)
『燃えよドラゴン』(原題:Enter the Dragon)
監督:ロバート・クローズ,ブルース・リー
出演:ブルース・リー,ジョン・サクソン,ジム・ケリー,アーナ・カプリ,アンジェラ・マオイン,
   シー・キエン,ロバート・ウォール,ベティ・チュン,ヤン・スエ,ロイ・チャオ他
 
劇場で観たわけでもないのに、何を今さら1973年の作品のことをという感じですけれども。
 
今月上旬、気持ちを奮い立たせて梅田まで映画を観に行った折、
数ある上映作品のなか、なんとなくこれにしようと思って『少林寺』の4Kリマスター版を観ました。
それをブログにUPした折に、弟が中学生の頃に劇場鑑賞した思い出の作品だと判明。
しゃ~おり~ん、しゃおり~ん♪でたいそう話が盛り上がり、ブルース・リーの話にもなりました。
 
弟は今こんな状態ですから、このタイミングで私が『少林寺』を観たのはきっと神のお告げ。
ブルース・リーも観なきゃねと言ったら、入院前の弟が本作のDVDを貸してくれて。
 
DVDの両面に映像が詰まっています。
SIDE:Aに本編。本編前にはブルース・リーの奥様リンダ・エメリーのコメント映像付き。
このDVDに収録されているのはノーカット版なのだそうです。
監督はロバート・クローズ単独かと思いきや、ノンクレジットでブルース・リーも監督。
SIDE:Bは未見。特典映像いろいろは後日ゆっくり観ます。
 
冒頭から驚く。全編英語の作品なのですね。
 
少林寺の高弟リーが、武術トーナメントに参加するため、とある島へ。
その島の所有者は、リーと同じく少林寺で学びながら悪の道に手を染めたハン。
もともと、トーナメントへの参加はリーが望んだものではなく、
ハンの犯罪行為を暴いてほしいという国際情報局からの依頼。
乗り気でなかったリーは、妹がハンのせいで自害した事実を知って復讐を誓います。
→「ハンのせいじゃなくてオハラのせいだよ」と教えていただきました。すみません。
 
人身売買がおこなわれていて、さらわれた女性がシャブ漬けにされるという話はよくありますよね。
『初恋』(2019)とか、『ただ悪より救いたまえ』(2020)もそうか。
こういうのの走りって、もしかしたら本作だったのでしょうか。
 
囚われている人たちを救い出すため、監視室に蛇を投げ込むのはわりと新しいか。
この蛇が本物か偽物か知りませんが、舌をチョロチョロ出すところがなかなか可愛いのです。
 
とにかくブルース・リーの動きが美しい。敵と共に私もヌンチャクに目が泳ぐ(笑)。
そこでわざわざシャツを脱がなきゃならんのだろうかと思わんこともないけれど、
動きのみならず美しい肉体は見せてもらわなもったいない。(^^;
 
ラストのリーとハンの対決はドキドキハラハラもの。
鏡を張り巡らされた部屋での死闘も今はよく見かけるものですが、これも走り?
義手にあんな鋭い刃先をつけた敵がどこから出てくるのかわからんのは怖すぎる。
 
サモ・ハン・キンポーとジャッキー・チェンがノンクレジットのカメオ出演。
まさかそうとは知らずに観たから気づきませんでした。もう一度観ます。
 
ブルース・リーって32歳で亡くなったのですね。なんという早世。
息子のブランドン・リーも28歳で事故死。きっと空の上で再会していることでしょう。
 
このDVDはもう弟に返さなくていいのかなと思うとそれも寂しいなぁ。
大切にして、繰り返し観ます。

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弟のこと。

2022年05月23日 | まるっきり非映画
アホな『ジャッカス 4.5』のことを書いた翌日に何ですが、
今はなかなか映画を観る気にもなれないので、弟のことを書きたいと思います。
 
もうとっくに50歳を過ぎているというものの、まだまだ死ぬ歳じゃありません。
今から7カ月前、腹部に鈍痛を感じて病院に行きました。
鈍痛と言っても、弟曰く、痛みが10段階あるとしたら2ぐらい。
たいしたことないっちゃたいしたことのない痛みです。
 
だから、病気だとしてもたいしたことなかろうと思っていたら、肝内胆管がんでした。
肝臓内の肺近くに転移も見られ、ステージ4、切除不可、放射線治療も無理で、抗がん剤投与を開始。
しかしひとつめの抗がん剤に効果が見られず、ふたつめの抗がん剤に切り替え。
その途中で体調が悪くなり、ステントを入れてやや復活。
 
その後、転院して、カテーテルを用いた血管内治療を受けました。
いわゆる「がんカテーテル」、略して「がんカテ」というやつ。
これで完治はせずともがんの進行を食い止められる場合が多いらしいのですが、
弟の場合は通常の3倍ぐらいの進行度で効かず。
なんでそんなに元気やねん、弟のがん!と腹立たしくなる。
 
がんカテを受ける前、保険適用外の自由診療をおこなっている病院にも話を聴きに行きました。
自由診療の費用って、ええとこ突いてきよるんです。
たとえば何千万円と言われたらハナから無理。でも150万円とか200万円なんですよ。
この金額で命が助かるなら出そうと思うじゃないですか。
本当に効くなら受けたいと思いましたが、弟も私も納得してこれは受けないことに。
 
できることは全部やった。もう打つ手はありません。
考えると涙が出てきて止まらないのに、弟は実に淡々としています。
先日も書いたように、泣き言をいっさい言わず、投げやりな態度も見せない。
数カ月前に「どういう心持ちなん?」と尋ねたとき、「しゃあないやん」と言っていました。
 
弟が格闘技が好きとかオンラインクレーンゲームが趣味だとか、こうなってから知りました。
へ~、そうだったのかと思うこといろいろ。
朝倉未来の名前は見たことがあったけれど、「あさくらみらい」と読むと思っていた私。(^^;
ここへ来ていきなり彼について詳しくなった(笑)。
 
ちょうど1週間前に弟が長らくかよっていた美容院へ行きました。
抗がん剤治療でハゲることを覚悟していたのに、幸か不幸か効かなかったからハゲず。
行く前は「これが最後だと思う」と言っていたけれど、
「あと1回来ます」と美容師さんに言って帰ってきたのに、
先週半ばから体調がとても悪くなって緊急入院しました。
 
ぶっちゃけ、弟がいなくなったとしても何か非常に困ることがあるわけではない。
四六時中会っていたわけでもないし、付かず離れずの姉弟。
でも幼い頃からのいろんなことを思い出して、寂しくて仕方がありません。
 
阪神タイガースの試合を1試合220円で観られるという虎テレに申し込み、
「年間契約すると2カ月分無料になるんやけど、年間契約してもね」と笑う弟を見て涙。
「これ遺影にどうやろ」とか言ってくる弟にまた涙。
 
とても書き切れないので、たぶん続く。(^^;

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『ジャッカス 4.5』

2022年05月22日 | 映画(さ行)
『ジャッカス 4.5』(原題:Jaccas 4.5)
監督:ジェフ・トレメイン
出演:ジョニー・ノックスヴィル,スティーヴォー,クリス・ポンティアス,
   デイヴ・イングランド,エレン・マクーギー,ジェイソン・アキュナ他

ご覧になったことありますか、“ジャッカス”シリーズ。
いわば金のかかったドッキリで、しかも大半が下ネタ。
2000から2002年にかけてMTVで放映されていたおバカ番組で、大人気だったのか、
放映終了後に劇場版が何年かに一度のペースで製作されました。
その最新作がこれ。20年経ってもまだやっているわけですよ、おバカを。
 
別にファンでも何でもないのでスルーしてもよかったのですが、
Netflixで観てしまったんだなぁ、ついつい。
 
仕掛け人のジョニー・ノックスヴィルが言うには、毎回これが最後だと思っているのだそうです。
でもこうしてずーっと続いている。
50歳を過ぎても子どもみたいないたずらを楽しんでいる男ども。
まぁ、いいっちゃいいですよねぇ。羨ましいわけじゃないけれど。
 
「子どもみたいないたずらを敢えて大人がやる」というのがこの番組ですが、
でもこんな金のかかったいたずらは、本当の子どもにはできません。
そしてえげつなすぎる。
 
たとえば、ケツの穴に魚を突っ込んで四つん這いになり、
ワシだかタカだか知らんけど、鋭い嘴を持つ鳥の前で待機する。
当然、ワシだかタカだかはケツの穴を突っつく。
ところがこれが意外とあっさり終わってつまらないから、もっとタマ近辺に魚を突っ込むとか。
 
プロのテニスプレーヤーが放つ160km/hの球をタマで受けて悶絶するとか。
ボウリングのレーンに脚を広げて座り、プロボウラーが投げる球をタマで受けるとか。
まったく、アホじゃないですかね(笑)。
 
過去20年間の出演者にはPTSDと診断された人もいるそうです。
どこでどんないたずらに遭うか油断も隙もなく、
インタビュー中だと思っていたら上からの精液20リットルが降ってきたとか、
収録の合間に簡易トイレに入ったらトイレごと吹っ飛んだとか。
観ているだけでゲロってしまいそうになるネタも多数あります。
 
でも中には笑ってしまうものがある。不覚(笑)。
数人並んでブランコしている前を、着ぐるみを着たプロのスノーボーダーが通過するやつなんか、
スノーボーダーの蹴られ方が漫画みたいでワロた。
水上スキーではジェットパックを装着し、水上に設置されたジャンプ台手前でジェット噴射とか、
ぶっ飛び方が可笑しくてふきました。
 
たぶんこれを観た女性陣は「男って」と思うんじゃないでしょうかね。(^^;

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