夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『シンペイ 歌こそすべて』

2025年01月22日 | 映画(さ行)
『シンペイ 歌こそすべて』
監督:神山征二郎
出演:中村橋之助,志田未来,渡辺大,染谷俊之,三浦貴大,中越典子,吉本実憂,高橋由美子,
   酒井美紀,真由子,土屋貴子,辰巳琢郎,尾美としのり,川崎麻世,林与一,緒形直人他
 
昼呑みしてワインを1本空けてからTOHOシネマズ梅田へ。シアター5の最後列端っこ。
 
1887(明治20)年生まれの作曲家・中山晋平と聞いてすぐには誰のことかわかりませんでしたが、
彼が作曲した歌の題名を聞けばすぐにわかる。天才作曲家と言われていたのですね。
 
「シャボン玉とんだ 屋根までとんだ」の『シャボン玉』。
「てるてる坊主てる坊主 あした天気にしておくれ」の『てるてる坊主』。
「雨あめふれふれ母さんが じゃのめでお迎えうれしいな」の『あめふり』に、
「雨降りお月さん 雪の陰」の『雨降りお月さん』。どれも歌えるものばかり。
童謡のみならず、『カチューシャの唄』や『ゴンドラの唄』などの流行歌も彼の作曲。
 
そんな晋平役を演じるのは、これが映画初主演となる四代目中村橋之助。八代目中村芝翫三田寛子の息子ですね。
 
信州で生まれ育ち、音楽家になることを夢見て少年時代を過ごした彼は、やがて上京。
早稲田大学文学部教授だった島村抱月(緒形直人)の書生を3年間務めたのち、東京音楽学校に入学します。
 
抱月は松井須磨子(吉本実憂)と共に劇団を結成。
劇中で須磨子が歌う『カチューシャの唄』が大ヒットを飛ばし、晋平も一躍有名人に。
しかし抱月がスペイン風邪に罹患して亡くなり、須磨子も後を追って自殺という衝撃的な出来事もありました。
 
童謡の認知度が低いせいで、教員として唱歌を指導するには自分の名前を明らかにすることが憚られ、
偽名を用いて作曲していたこともあったそうですが、
三大詩人と呼ばれた野口雨情(三浦貴大)、北原白秋、西條八十(渡辺大)の作詞に曲をつけた童謡はこうして今も残っています。
 
知っている作詞家や作曲家、女優の名前がたくさん出てきて面白く観ていたはずが、
ワイン1本空けた後では駄目ですねぇ、絶対寝るやろと思ったら、本当に途中から爆睡してしまいました。
ごめんなさい。m(_ _)m

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『劇映画 孤独のグルメ』

2025年01月21日 | 映画(か行)
『劇映画 孤独のグルメ』
監督:松重豊
出演:松重豊,内田有紀,磯村勇斗,村田雄浩,ユ・ジェミョン,塩見三省,杏,オダギリジョー他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『366日』の後に。
 
久住昌之・作、谷口ジロー・画による同名漫画を実写化したTVドラマシリーズが大ヒット。
初の劇場版は主演の松重豊が監督を務め、脚本も共同で執筆した模様。
ちなみに私は一度も観たことがありません。こんなに有名なシリーズなのに。
だから、主人公の職業が輸入雑貨商であることを知ったのは本作を観はじめてずいぶん経ってから。
ついでに下戸の設定だということも知らなかったから、そうだと知って「えーっ!」。
 
パリにやってきた井之頭五郎(松重豊)。
かつてこの地で一緒に暮らしていたの恋人の娘・千秋()からの依頼に応えるためだ。
千秋の祖父・一郎(塩見三省)が所望していた絵画を引き渡して御役御免かと思ったら、一郎はもうひとつ頼みがあると言う。
それは、一郎が子どもの頃に母親が作ってくれた汁をもう一度飲みたいということ。
記憶をたどりながら千秋が作ってみたものの、パリでは手に入らない食材もあり、一郎の母親の味とはどうも違うらしい。
 
手がかりがなければどうしようもないことだが、一郎や千秋の話を掻き集め、その味を再現しようと考える五郎。
まずは一郎の故郷だという長崎・五島列島へと足を運び、名前もわからぬスープの食材とレシピを探す。
 
ところが、船に乗り損ねてスタンドアップパドルボードを借りた五郎は嵐に遭って遭難。
目覚めるとそこは韓国の離島で、訳あってこの島で共同生活を送る女性たちが食品研究所を設立していた。
女性たちのうちのひとりで日本人の志穂(内田有紀)に遭難に至る食材探しの事情を話すと、
何かの参考になるかもしれないと言って、島の特産品を使った料理でもてなしてくれる。
 
聞けば志穂は東京で夫(オダギリジョー)と飲食店を開いていたと言う。
もともとはフレンチの料理人だった夫は、あるときラーメンで勝負したいと言い出し、ラーメン店を開業。
順調なスタートを切るがコロナ到来。食材が高騰して入手困難になると、夫婦の仲もギスギスしはじめる。
一旦離れるほうがお互いにとってよさそうだと考えて別れたのだと。
 
東京に戻った五郎がその店“さんせりて”を訪れてみると、すっかりやる気を失っている店主。
もうラーメンを作る気はないからとラーメン鉢はすべて割り、およそ営業中とは思えない店内は暗く散らかっている。
入店すると「チャーハンしかないよ」と店長の声。しかしこのチャーハンが驚くほど旨い。
 
それからしばしば“さんせりて”に寄ってはチャーハンを食べるようになった五郎は、
同じようにチャーハンを食べに通いつめる客・中川(磯村勇斗)に話を聴く。
“さんせりて”のラーメンはスープがこのうえなく美味しかったとのこと。
中川はまたあのラーメンを食べたくて店主を口説いているそうだが断られてばかり。
五郎は中川と協力しあって一郎の望むスープを店主に作ってもらおうと口説きにかかるのだが……。
 
コロナで食材が手に入らなくなり、店も傾いて投げやりな店主。
やってみようかという気持ちにさせたのは、「食材を安く手に入れられます」という五郎の言葉。
食材さえあれば旨いものを作る自信があるし、作りたいのにということなんですよね。
お金がなければ良い腕があってもどうにもならないのだなぁと思うと悲しくなります。
 
このシリーズは日本のみならず韓国でも大人気とのこと。それで韓国まで行ったのかな。
私のツボだったのは、特別出演しているユ・ジェミョン演じる入国管理審査官
ボートで韓国に流れ着いた結果、不法入国になってしまった五郎の手続きをしに迎えに行ったら、
腹が減ってたまらなかった五郎がその辺の店に入って食事しようとしています。
食事が終わるまで待ってほしいと言われて仕方なく待ってやることにしますが、
自分だって腹が減っているのに、目の前で五郎が実に美味そうに飯を食いやがる。このシーンは笑いました。
 
五郎の車のナンバーは「563」。「五郎さん」なのですね。
それにしても下戸かぁ。この食事で酒一滴もなしは考えられんと私は思ってしまうのでした。

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『366日』

2025年01月20日 | 映画(さ行)
『366日』
監督:新城毅彦
出演:赤楚衛二,上白石萌歌,中島裕翔,玉城ティナ,稲垣来泉,齋藤潤,溝端淳平,石田ひかり,国仲涼子,杉本哲太他
 
新年、イオンシネマ茨木に行くのは初めてです。仕事帰りに2本ハシゴ。
 
モチーフとなっているのは沖縄出身のバンド“HY”の『366日』。私も大好きな曲です。
と思って↑リンク先の過去の記事を読み返してみたら、えっ、「シュミレーション」って言うたん、
赤楚くんやなくて板垣瑞生やんか。ご、ごめん。記憶間違いもいいところ。許して赤楚くん。(T_T)
 
沖縄に生まれ育つ高校3年生・真喜屋湊(赤楚衛二)はイケメンで成績優秀、剣道部のエースだったが、
父親を亡くした後、彼ひとりで看病していた母親(石田ひかり)も亡くなり、何もやる気が起きない。
そんな折、知り合ったのが同じ高校に通う1年生・玉城美海(上白石萌歌)。
 
美海とは病院で一度ぶつかったことがあり、そのときに落としたお互いのMDが入れ違っていた。
湊はそのことに気づいていなかったが、美海はずっと湊を探していたのだ。
生きる気力を失っていた湊に明るく話しかける美海と一緒にいるうち、湊は穏やかな気持ちに。
 
湊と美海はふたりともHYのファンで、そのほかにもお互いの好きな曲を贈り合うようになる。
東京の大学に行って将来は自分で曲を作りたいという湊に、いつか作った曲を聴かせてほしいと言う美海。
湊が卒業する日、相思相愛であることがわかって遠距離恋愛の仲に。
やがて美海も高校を卒業して東京の大学に合格、ふたりの同棲生活がスタートするのだが……。
 
えーっ。ビックリしましたねぇ。以下、超ネタバレです。
 
予告編を観たときに、美海が若くして病に倒れることはわかっていましたが、まさかの男女両方の病気ものとは。
まずは湊が急性骨髄性白血病だとわかり、それを美海に言えないばかりか、別れを切り出します。
急にフラれて訳がわからない美海がすがるも突き放します。
美海は美海で、妊娠したということを湊に告げられないまま沖縄へ帰るんです。
 
ひとり娘を東京の大学に行かせたら妊娠して戻ってきたことに美海の父親(杉本哲太)は激怒、母親(国仲涼子)は唖然。
産みたい、だけど父親の名前は言えないと美海が言うものだから、父親は余計に怒りまくる。
同じ故郷の先輩とつきあっていたことも、彼と同棲していたことも親に内緒のままだったのねと、ここでも軽く驚く。
 
助け舟を出したのは、美海に想いを寄せていることを隠してきた幼なじみ・嘉陽田琉晴(中島裕翔)。
自分がお腹の子の父親ですと言い出し、そんなこと絶対嘘だとわかりつつ両親はもう認めるしかありません。
生まれた娘を育てながら、夢だった通訳の仕事に就いて3年が経ち、やっと琉晴の想いに応えて結婚。
というときになって、病気が完治した湊が自ら作った曲を携えて帰郷するのですよねぇ。
 
琉晴との結婚式で幸せそうに笑う美海を見て、声をかけられずに東京へ戻る湊。
と思ったら今度は美海が病気で余命わずかってか。
 
高校生から30代半ばまでを演じていることには違和感がありません。
上白石萌歌が中学生の母親って、と一瞬思ったけれど、病床の彼女の姿は母親らしく見えます。
 
ひねりのない話やなぁと思っていたのに、まさかの男女共に病気とは。
お涙頂戴を通り越して私はドン引きだったけど、客席からはズビーっと鼻をすする音があちこちから聞こえていました。
 
なんにせよ、『366日』は良い曲です。エンディング曲ではなく、途中でかかります。

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『カルキ 2898-AD』

2025年01月19日 | 映画(か行)
『カルキ 2898-AD』(原題:Kalki 2898-AD)
監督:ナーグ・アシュウィン
出演:プラバース,ディーピカー・パードゥコーン,アミターブ・バッチャン,カマル・ハーサン,シャッショト・チャタルジー他
 
109シネマズ箕面にて今年初の“おひとりさま”の次にボリウッドテルグ語作品。
そもそもタイトルの“カルキ”が何か知らず、調べました。
ヒンドゥー教の神ヴィシュヌの10番目にして最後のアヴァターラ」と言われてもピンと来ないけど、
“アヴァターラ”とは「不死の存在」や「化身」を指すのだそうです。うん、ますますわからん(笑)。

聖なる地“クルクシェートラ”での戦いが終焉を迎えた頃、
ヴィシュヌの8番目の化身クリシュナの怒りを買ったアシュヴァッターマンこと導師グルの息子ドローナは、
クリシュナから不死身の呪いをかけられ、生きることも死ぬこともできずにさまよう。
呪いが解かれるのは、6000年後に生を受けるはずのカルキを救うとき。

それから6000年経った西暦2898年、地球は200歳のスプリーム・ヤスキンによって統治されている。
ヤスキンは空に浮かぶ巨大要塞“コンプレックス”を築き、コンプレックスで暮らせるのは特権階級のみ。
また、ヤスキンの命を保持するためには妊婦の血清が必要で、
妊娠可能な女性を拉致してはコンプレックスで監禁して妊娠させ、血清を集めていた。
不妊女性は妊婦の世話をする奴隷として仕えさせられる。

ある日、奴隷のうちのひとり、スマティが妊娠していることがわかる。
ヤスキンが望む血清は妊娠期間120日を経た妊婦のものだが、どの妊婦も120日もたず、血清の抽出後は死亡。
ところが不妊のはずのスマティはすでに150日に入っている。

彼女の子宮にいる胎児こそカルキ。
カルキの誕生が近いと知った不死身のアシュヴァッターマンは覚醒し、スマティを守ろうとする。

一方、コンプレックスで暮らす日を夢見る賞金稼ぎのバイラヴァは、
コンプレックスから逃亡した妊婦に高額の賞金がかけられていると知って追いかけるのだが……。

ヒンドゥー教の神やインドの叙事詩『マハーバーラタ』を多少なりとも知っていないとワケわからん。
わからないのにそれなりに面白いのはどういうことなんでしょうね。さすがボリウッド。

“バーフバリ”シリーズのプラバースといえばボリウッドのスーパースター。
彼がバイラヴァを演じていますが、ウザいのなんのって。
賞金を狙ってスマティを追い回すせいで、スマティを匿う反乱軍の村シャンバラにヤスキンの部下が乗り込み、戦いに。
実は彼は太陽神の子カルナなのですが、本人はそのことに気づいていません。
あるとき突然変身して、戦いが終わるとバイラヴァに戻り、またスマティを捕まえて賞金を稼ごうとします。

どうにも話が終わりそうにないと思ったら、これも“to be continued”かよ!
昨年観たボリウッドのほとんどが「続く」ですからね。頭の中で話がこんがらがります。

『砂の惑星』みたいで、『マッドマックス』のようなノリもあり、要塞を見れば『エリジウム』も思い出す。
『ブレードランナー』『スター・ウォーズ』に通ずるところもあり。めっちゃお金がかかっていそうです。

忘れないうちに続きをお願いします。

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2回目の『グランメゾン・パリ』は早くも今年初の“おひとりさま”。

2025年01月18日 | 映画(か行)
『グランメゾン・パリ』は年末の封切り日に観て面白かったものの、2回観るほどでもない。
しかしこの日観るつもりだった後述のインド作品が20:45からの上映で、
お茶を飲んで時間を潰すには若干長いし、車だから飲酒するわけにも行かず。
ならばもう1本映画を観ようと思ったら、本作しか選択肢がなくて。

1回目の鑑賞後に甲子園&飲み友だちの兄さんがエキストラで出演しているのを知ったのと、
料理が本職の人から本作の感想を聴いたこともあって、2回目でそれを確認しようと思いました。

ここで予想していなかったことが起きる。
18:30からの上映だった109シネマズ箕面のIMAXシアター、定員292名のところに客は私ひとり。
なんと1月初旬にして、今年初めての“おひとりさま”。
去年は劇場に私ひとりということが14回ありましたが、IMAXシアターでひとりというのはありませんでした。
過去に遡ると、まだコロナ完全終息とはいえなかった時期にこんなことがあったけど。

まぁ、IMAX上映を選ぶのはあんまり意味のない作品ですよねぇ。
それでもこれが客ひとりって凄くないですか。

2回目は1回目よりさらにユアン役のオク・テギョンに目が行きます。泣かされるのは常に彼がいるシーン。
ユアンはパリで大人気のパティスリーにパティシエとして勤めていたのに、
話題にのぼるのは店そのものの名前だけで、自分の名前がのぼることはない。
それは自分が東洋人のせいだと思っていた折にキムタク演じる尾花の料理を食す。
そのとき彼が涙を流すのを見て私もまず最初のもらい泣き。
次にそのときのことをユアンが尾花に話すシーンで2度目のもらい泣き。
そして最後は尾花がユアンのデザートに出会ったときのことを話すシーンで3度目のもらい泣き。

これらのシーンを観るためだけにもう一度観てもよいと思うほどです。たぶんもう観ないけど(笑)。
オク・テギョンってマルチリンガルなんですね。
こんな顔して賢くて、演技も上手いとなると、ファンにならずにはいられない。
映画への出演はまだあまりないようですが、もっと観たいやんか。

というわけで、贅沢を極めた今年初めての“おひとりさま”でした。

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