雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

彼岸と此岸と

2018-04-18 19:23:11 | 日々これ好日
        『 彼岸と此岸と 』 

     ずいぶんお世話になった先輩の 訃報が届いた
     このところ 年始の挨拶だけになっていたが
     また一人 彼岸の人となった
     彼岸と此岸の間が だんだん狭くなってきた気がする

                        ☆☆☆
     
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

待つ宵の小侍従

2018-04-18 08:10:31 | 新古今和歌集を楽しむ
     待つ宵に 更けゆく鐘の 声聞けば
               あかぬ別れの 鳥はものかは   
  
 

                      作者  小侍従                         

( No.1191 巻第十三 恋歌三 )
              まつよひに ふけゆくかねの こえきけば
                        あかぬわかれの とりはものかは  
   
 

* 作者は、二条院・太皇太后宮多子(マサルコ)・高倉院に仕えた女房。父は石清水別当法印光清、母は花園左大臣家の女房小大進で、母も著名な歌人。 生没年は不詳であるが、( 1121 - 1202 )の頃らしい。

* 歌意は、「 通ってくる人を待っている宵に、鐘の音を聞くのを思うと、満足しないで別れる夜明けを告げる、鶏の声を聞くことなど物の数ではない。」といった意味であろう。
この歌は、平家物語にも引用されていて、それによると、太皇太后の「待つ宵と、帰る朝とは、いづれかあはれはまされるぞ」との問いに対して、即答した和歌という。

* 小侍従という人物は、歴史上、あるいは小説などにも数多く登場している。小侍従のいう言葉の響きが、単なる女房名ということだけでない魅力があるからと思われる。
この作者は、この和歌に因んで「待つ宵の小侍従」とも呼ばれるが、小侍従の本家のように筆者には感じられる。

* 太皇太后宮多子という人物は、はじめ近衛天皇の皇后となり、その後二条天皇の后になっており、「二代の后」と呼ばれていて、その生涯を探ってみたいと思わせる女性である。その人物を中心に長く宮仕えした小侍従にも、いくつかの逸話が残されているが、次の機会にご紹介したい。

     ☆   ☆   ☆ 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする