雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

小さな小さな物語 第十五部  表紙

2016-10-12 15:30:27 | 小さな小さな物語 第十五部
             小さな小さな物語 第十五部  表紙


                     No.841 から No.900 までを収録しています
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小さな小さな物語  目次

2016-10-12 15:28:08 | 小さな小さな物語 第十五部
          小さな小さな物語  目次

     No.841  満開の後
        842  指導の範囲
        843  競泳オリンピック代表決定戦
        844  すれ違うだけの人
        845  熊本地震に祈る


        846  逞しさと優しさを
        847  懸命のエールを送ります
        848  五輪エンブレム決定
        849  振り返って見る
        850  鳥の目も虫の目も


        851  新緑の候
        852  方違え
        853  平和へのステップ
        854  さもしすぎる
        855  公私混同


        856  金がかかっても仕方がない
        857  バレーボール女子日本代表チームに拍手
        858  G7 伊勢志摩サミット
        859  広島の奇跡
        860  一から出直す
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満開の後 ・ 小さな小さな物語 ( 841 )

2016-10-12 15:27:10 | 小さな小さな物語 第十五部
桜は各地で満開の季節を迎えています。もちろん、地域によって既に葉桜になりつつある所もあるでしょうし、まだ満開に至っていない所もあるでしょう。
私の住居地は、目下満開という状況です。近隣の決して著名でない公園や、ここかしこにある住居地内の公園などでも、これほど桜の木があったのかと思うほど、見事に咲いてくれています。
美しい花はたくさんあると思いますが、というより、まずほとんどの花は美しいものですが、成長した桜木の満開の姿は、やはり出色といえる絢爛さです。

テレビなどで、桜見物の様子などがよく報道されていますが、外国人観光客の姿も多く、インタビューを受けている外国人のほとんどが感動されているようで、その表情を見ていると何だか嬉しく、誇らしい気持になってしまいます。
ただ、そういった人の中には、桜の美しさ以上に、ござを敷いての宴会風景の方に興味津々という人も多いようです。どのような印象を受けているのか、その方も興味津々です。
別に統計を取っているわけではないのでしょうが、全体的な感想として、花見での宴会は、以前に比べてマナーは良くなっているそうです。名所といわれるような所では、地元の方々による整理や啓蒙のお蔭もあって、ひどすぎる酔客や、桜の木を痛めるような行為は少なくなっているそうです。

さて、桜の花は、満開となれば散るのも早いものです。桜吹雪もとても風情があり素晴らしいものですが、それは満開時以上に短い時間で、気が付けば、葉桜の季節となってしまいます。
新緑の桜も捨てがたい魅力があるのですが、残念ながら、木の下で新緑を愛でながらの宴会風景というのは、なかなかお目にかかれません。第一、木の下にござなど敷いて座り込んだりすれば、毛虫との戦いになってしまう懸念があります。

とはいえ、関東以西においては、後十日もすれば、ソメイヨシノは新緑に染まってしまうことでしょう。
花の季節はあまりにも短く、また来年のお楽しみということなのでしょうが、桜自身はそうではないのではないでしょうか。
桜を種を蒔いて育てたという話はあまり聞きません。特にソメイヨシノはすべて挿し木によって増えていったと聞いています。しかし、ソメイヨシノも含めたすべての桜は、人間どもを喜ばせるために美しい花を咲かせているわけではないはずです。あの絢爛豪華な花も、自らの子孫を残す為の営みの一環だと思うのです。つまり、桜の木にとっては、満開が終わった後こそが、大切な時期ではないでしょうか。
私たちは、特に日本人は、桜を好む大きな要因に、その花の見事な散りぶりを挙げているようです。けれども、桜自身にとっては、満開の花を散らしてしまってからこそが、大切な時期になるのではないでしょうか。
何だか、人間にも当てはまるような気がするのですが。

( 2016.04.06 )

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指導の範囲 ・ 小さな小さな物語 ( 842 )

2016-10-12 15:24:11 | 小さな小さな物語 第十五部
まことに残念な事ながら、スポーツ界からまた不祥事が発生しました。バドミントンのトップ選手による賭博行為です。今回は、違法カジノということで、そのバックには暴力団関係者が関与していたとも伝えられていますから、問題は相当深刻なものです。
このコラムを書いている段階では、問題についての詳細な調査はまだですが、憶測で書かせていただくとすれば、どうも二人だけの問題とは考えられず、広がりがあるような予感がします。
協会役員の方が涙ながらに説明されておりました。わが国においては、あまり日の当たらないスポーツといえると思われますので、ようやくスター選手が登場しかけているところでのこの事件ですから、無念な気持ちが痛いほど伝わってきました。しかし、同時に、協会上層部がそれほどのショックを受けるということは、競技そのもの以外は、ほとんどノーチェックだったということではないでしょうか。

この種の事件が起こると、必ず言われることは、指導者の責任ということです。プロ選手であれ、アマチュア選手であれ、高校生や中学生などの非行に対してであれ、スポーツ指導者の競技以外の部分の指導の範囲はどこまでかということが問題になります。
この場合の指導者にも大きく言えば二種類あって、競技を直接指導する人と、協会役員や団体やクラブの責任者といった全体的な管理や運営を行っている人とです。
そして同時に、例えば今回発覚した二人だけに関して言えば、本人だけの問題なのか、指導者にも問題があったのかということです。

先日のプロ野球選手による野球賭博問題の時、コメントを求められたある球団経営関係者は、「プロ選手の私的な面での不祥事は、100%選手個人の責任であって、球団は被害者ともいえ、選手との契約違反の部分に対しては違約金を請求すべきだ」と断じられていました。この方は、大リーグの経営手法も勉強されているようですが、同席していた質問者や他のコメンテーターの方は納得できていなかったようですが、どうも、わが国におけるスポーツ競技者と指導者あるいは管理者との関係は、この方のような明快な考えを持っていない人が大半のようです。

かつて、すでに鬼籍に入ったプロ野球の名選手と言われる人の多くが、徹夜の賭けマージャンの後の試合で、完投したとかホームランを打ったとか、自慢されていたのを思い出しました。もちろん、眠らないままのデーゲームでです。
一昔前の役者は、「浮氣は芸の肥やし」と言ってはばからなかったようですし、仲間内の賭け事など問題視することさえ不思議だという業界は少なくなかったようです。
しかし、時代は変わりました。
今回の問題の当事者は、法律に基づいて相応の償いを果たさなくてはならないのは当然ですが、現代は、著名人にとっては、法の裁きより、マスコミや社会の裁きの方が遥かに厳しく残酷です。法的には比較的軽微であり、起訴さえされないような事件でも、その地位を追放されるような、あるいは数億円の損失を被るような仕打ちを受けることは決して珍しくありません。
そう考えれば、スポーツ選手の多くは、まだ世間をほとんど知らないままにトップ選手への道を登って行くのですから、社会人として未熟な点が多く見られるのも当然かもしれません。
とすれば、たとえプロという名前がついていても、少なくとも未成年を預かる組織では、適切な指導体制を確立してほしいと思うのです。

( 2016.04.09 )
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競泳オリンピック代表決定戦 ・ 小さな小さな物語 ( 843 )

2016-10-12 15:22:49 | 小さな小さな物語 第十五部
水泳競泳競技のリオデジャネイロ・オリンピック代表選手を選ぶ大会が、七日にわたって行われました。
テレビの中継をかなりの時間見させていただきましたが、なかなか感動的なものでした。
総じて、競泳というスポーツも、世界のトップ選手と戦うレベルとなると、選手生命は短いようです。その中で、何回かオリンピックに出場しているなど、馴染み深い選手も結果はともかく元気な姿を見せてくれていましたし、若い選手の台頭も目立つ大会で、関係者の方々にとっては、大変意義深い大会だったのではないでしょうか。

その中で、個人的には、最も興味深かったのは、代表選手の選考方法についてでした。
前回の世界選手権での優勝者については、すでに代表選手に内定されていたようですが、ほとんどの競技が、本大会決勝での順位と、設定されているタイム以上であることで決定されるのですから、見ている観客などには極めて分かり易く、すばらしい決定方法だと思いました。
もちろん、このような選考方法が万能というわけではないのでしょう。例えば、ここ一、二年抜群の選手がいて、その選手がたまたま直前の怪我などで選考大会に出場できなかった場合など、何らかの配慮が必要な気もします。しかし、スポーツに限らず、様々な場面においてそのような不運な人は出てしまうものです。反対に、これまでの成績が今一つであっても、突然飛び出してくる選手も珍しくないはずです。
各競技種目において、オリンピックの代表選手を選ぶ方法は様々なようです。それらを詳しく承知しているわけではないのですが、少なくとも個人種目においては、勝てる選手を選ぶのにその協会の役員や有力者の判断が強く働くような選考方法は、不愉快な部分があるように思えてならないのです。

今回の決勝戦を見ていて、優勝しながら代表選手になれなかった人が何人かいたことが、何とも切ない気がしました。派遣設定タイムに及ばないためで、代表選手として出場させても、とても決勝に残る可能性がない選手は派遣しない、という前提に立って設定されたタイムのようですが、日本記録より高いタイムが設定されている種目もありました。オリンピックは勝つためだけではないはずだ、と、惜しくも代表になれなかった選手に同情してしまう場面もありました。
これというのも、競泳競技が世界的に見て、かなり高いレベルにあるからできる選考方法のようです。派遣のための設定タイムというのは他競技にもあるようですが、競泳並のタイム設定をすれば、派遣選手が激減してしまう種目もあるようです。

「オリンピックは勝つためではなく、参加することに意義がある」などという言葉がありますが、わが国やスポーツ先進国といわれる国々の多くでは、今や死語になりつつあります。しかし、やはり、スポーツには、多くの人々に強く働きかける何かがあります。そしてそれは、勝者だけが持っているものでもないように思われます。勝者には限りない拍手や栄誉が与えられて当然ですが、その地位に遥かに及ばない選手たちの懸命な姿も、多くの人に何かを与えてくれるものです。
残念ながら、このところ、スポーツにまつわる不愉快な事件が起こっています。それは、わが国に限らず海外でも同様のようです。
現代は、オリンピックに選ばれているスポーツのトップレベルの選手は、ほぼ全てがプロ選手と言っていい環境にあります。類まれな才能と、常人を遥かに超える努力と、さらにはスポーツの女神の微笑みを受けられた人たちが得られる地位だとすれば、多くの賛辞や多くの利益が与えられて当然でしょうが、その根底にあるものがスポーツだとすれば、その精神だけは、どのような地位まで上り詰めたとしても、忘れないでほしいと願うばかりです。

( 2016.04.12 )



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すれ違うだけの人 ・ 小さな小さな物語 ( 844 )

2016-10-12 15:21:22 | 小さな小さな物語 第十五部
東京新宿のゴールデン街の火事が大きなニュースとして取り上げられていました。
新宿は、わが国最大の繁華街の一つともいえ、その一角の戦後間もない頃からの木造建築も数多く残されている密集地での火事ですから、一つ間違えば大惨事になるところでした。不幸中の幸いと言うのでしょうか、出火場所が密集地の端に当たる場所であったことや、昼間の時間であったことが幸いしたようです。もっとも、この街の場合は、夜間の方が防犯防火共に昼間より安全なのだという意見を述べられている人もいました。

東京近辺に住んでいない人でも、ゴールデン街という存在は、かなり著名なのではないかと思われます。それも、何となく伝説的な風聞も加わって、他所者には少々近寄りがたいイメージが感じられます。
ところが、最近では、外国人観光客の人気が高く、訪れる人も少なくないそうです。
どのような調査なのか確認していないのですが、外国観光客の東京における訪れたい人気スポットの第一位がこのゴールデン街だそうで、因みに第二位は渋谷のスクランブル交差点だそうです。
インターネットなどで紹介される影響なのでしょうが、その昔、田舎から出て来た日本人が、「東京だよ、おっ母さん」などと案内されたこととは、雲泥どころの差ではないような気がします。

テレビのコメンテーターなどの話の受け売りですが、ゴールデン街の魅力の第一は、大半が十人も入ればギューギューといった狭い空間の中で、気の置けない語らいが出来ることであり、反対に、その混雑の中でたった一人で飲んでいても何の抵抗も受けないことにあるそうです。
第二位の渋谷のスクランブル交差点の方は、外国ではあまり見られない光景であることに人気があるようです。テレビでも時々取り上げられた映像を見ていますと、確かに、大変な数の人々が、四方八方に好き勝手のように歩きだし、しかも衝突することもなく行き交うさまは、まるでマスゲームでも見ているような壮観さがあります。

しかし、考えてみますと、三百店舗ほどもあるというゴールデン街に集う人や、渋谷のスクランブル交差点を縫うように行き交う人は、そのうちのどれほどの人と交流することになるのでしょうか。もちろん、家族連れや親しい人と行動を共にしている人も多いのでしょうが、それを考慮しても、ほとんどの人は、すれ違うだけの人と言える人たちではないでしょうか。
もっともそれは、この二つの人気スポットに限られたことではなく、小さな街の駅前や、ひなびた寺院の境内で出会った人も、そのほとんどは、すれ違うだけの人のようです。
まあ、そうとはいえ、『袖振り合うも多生の縁』という言葉もありますから、前世か、前々世か、あるいはもっと前の世で喜怒哀楽を共にした人も多く含まれている可能性はあるかもしれませんが。

( 2016.04.15 )

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熊本地震に祈る ・ 小さな小さな物語 ( 845 )

2016-10-12 15:19:53 | 小さな小さな物語 第十五部
熊本県を震源とした大地震は、大惨事となってしまいました。
今回の地震は、震度7が記録された地震が本震ではなく前震だったという、これまで私たちが経験していないような性質のような気がします。最初の地震以後の余震と考えられていたものが、震度6クラスが頻発するなど異常なものが感じられていましたが、最初のものを上回る地震が発生し、さらに複雑な様相を示しています。
現時点での情報を基にすれば、複数の断層が動いており、三種類ほどの地震が同時、あるいは連鎖して発生していると考えられるようです。

頻発する余震に加えて、激しい風雨が加わり、救助に当たられている方々のご苦労も大変なことと推察いたします。
私たちは、地震の巣窟のような列島に住んでいることは承知していることとはいえ、そのあまりの破壊力に身が縮んでしまいます。
申し訳ないことに、国家指導者の方々を始め、各機関の方々の懸命の救助活動をテレビを通じて見守るだけなのですが、この苦難の時にこそ、国家の力が試され、国民の民度が試されるのだと思うのです。せめて、懸命のエールを送り続けます。

すでに多くの犠牲者の方が出ています。物心ともに大きな被害を受けられた方も相当な数に上っています。
心からお見舞いを申し上げますとともに、なにとぞすぐ近くにおいでの方と手を携えて、この苦難を乗り越えていただきますよう、無力な身としては願うばかりでございます。

そして、終息を予測することが困難な地震が、一日も早く安定に向かってくれることを、ただただ、祈っております。

( 2016.04.18 )
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逞しさと優しさを ・ 小さな小さな物語 ( 846 )

2016-10-12 15:17:56 | 小さな小さな物語 第十五部
熊本県を中心とした大地震は大惨事となってしまいました。
しかも、今なお、とても余震と言うには激しすぎる規模のものがひっきりなしに発生していて、終息の目途を語ることさえできない状態が続いています。
前回の当コラムでも書かせていただきましたが、今回の地震は、本震と思われるような大きな前震があって、続いて本震とされるものに襲われたため、被害は相乗的な大きさになってしまいました。
今回の地震は、まだ予断を許さない状態ではありますが、前震があって本震が来た、と言うより、すでに一部の研究者の方が述べられているように、おそらく三か所程度の震源を持つ複合の地震と考えるべきような気がします。そして心配なことは、震源がさらに増える可能性もあるということです。

すでに多くの方が亡くなられています。つつしんでご冥福をお祈り申し上げます。
怪我をされたり住居などに甚大な被害を受けている方の数は、報道されているだけでも甚大ものです。さらに、精神的なダメージや、交通やライフラインの被害から受ける苦痛を強いられている方となれば、広範囲にわたっていることでしょう。心よりお見舞い申し上げます。

風水害と違って、地震の被害への対応は、終息の時期が明確でないため難しさを増します。特に今回のような激しい揺れを伴う余震が続発している状態では、さらに厳しいと想像されます。
そして、やはり、というのでしょうか、避難されている方々の物資の不足が伝えられています。住環境や、飲食、衛生面、環境など、相当の不便があるのは辛抱していただくとして、水や食事の量そのものさえ満足に提供できず、しかも、二時間も三時間も並んで受け取るという報道には、悲しくなってしまいました。
私たちは、つい最近だけでも、とてつもない大地震を何度か経験しています。おそらく、高所から見た大規模災害に対する支援体制は相当研究されているのでしょう。しかし、現に被災し、現に乳飲み子を抱え、現に動けない高齢者を抱えている人たちにとっては、今日の水やおむつや食べ物が必要なのです。
そして、これも悲しいことに、こういった被災の場でさえも、ややもすると声の大きい人には支援が届きやすく、声の小さい人には後回しになるという現実が存在しているということです。テレビ各局が取材に入る所の多くは、支援物資があふれ、避難所にさえ向かえない弱い人々の声は、ほとんど聞こえないということです。少なくとも、以前の大地震では経験しているはずですから、今回に関しては特段の配慮をしてほしいと願っています。

私たちの国土は、まるで積木細工の上に土を掛けたようなものだという人がいました。
地震も津波も火山も、私たちの生活と背中合わせのように存在しています。台風も、見事なようにこの列島を目指してやって来てくれます。
しかし、そのような環境の中で、そうであるからの自然の色どりがあり、人情の機微があります。
被災され、困難の真っただ中にいる方々が、この国に生きている逞しさと優しさで、何とか切り抜けてほしいと祈っております。
そして、懸命の支援活動にあたっている方々にエールを送りますとともに、その後ろには、及ばないまでも貧者の一灯を捧げたいと思っている人も大勢いることを信じあいたいと思います。

( 2016.04.21 )
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懸命のエールを送ります ・ 小さな小さな物語 ( 847 )

2016-10-12 15:16:14 | 小さな小さな物語 第十五部
よく言われることですが、苦境の中にある時にこそ人の本性が見える、というのは本当だと思います。
人間の本性は善であるという性善説と、人間の本姓は悪であるという性悪説という二つの考え方があることもよく知られていますが、そのどちらが本当なのかは知らないのですが、熊本を中心とした地震に関する報道を見ていますと、性善説を信じたくなってきます。

熊本県を中心に発生した大地震は、未だ終息の気配を見せていません。余震の回数は若干減少してきているようですが、その余震とされるものが、どの地震に対する余震なのかが明確でないとすれば、安易な結論を出すことは控えるべきだと思われます。
今回の地震に関する公式発表において、最初本震としていたものが実はあれは前震だったという報道がありましたが、これについては、今後、発表のあり方について検討される必要があるように思われます。もし、最初の震度7の地震の時に、今後も数日間の間は同程度あるいはそれ以上の地震が発生する可能性があるとしておれば、二度目の震度7での被害を少しは抑えることが出来たのではないかと、今だから言える勝手な想像ですが思っています。
かつて、あるテレビ番組で、有名国立大学の外国人教授の方が、地震予知に関する討議の中で、「地震の予知など出来ない」と明快に答えられていたのを覚えています。あれから数年経ちますが、その教授の意見を否定するような状況は一度も発生していません。
つまり、地震予知はそれだけ難しいということです。

今なお身体に感じる地震が数多く発生している時に、地震予知云々を論じることなど意味がないことは、全くその通りだと思います。
また、防災体制や救援体制についての非難の声も聞こえてきますが、そんなことより、今日、明日の被災者支援を実行していくことの方が大切なのであって、大所高所からの非難や苦情は、避難者の生活が落ち着いてからにしていただきたいものです。
その一方で、支援体制は、被災直後の混乱を脱しつつあるようです。公私の数多くの団体や企業などが組織的で機能的な活動が力を発揮してくれています。被災者でありながら、もっと大変な人の為にと、水を提供したり、一日中清掃にあたっている人の姿も伝えられていました。
人間の本性が善か悪かは知りませんが、少なくとも、人間の心の中には優しものが宿っていることは間違いないような気がします。

しかし、被災された方々への支援活動はまだスタートしたばかりです。車中や傾きかけた家を離れられない人などに対して、水や食事の支援さえもできていない所もまだあるかもしれません。それでも、このまま余震が落ち着いて行ってくれれば、そのような支援の網に漏れてしまっているような方々も含めて、十分とは言えないまでも、生活を支える体制を進めてくれるはずです。私たちの国は、それだけの力と優しさを有しているはずです。
そうとはいえ、実は、本当の意味の支援となれば、もっと長期のスパーンで考える必要があります。阪神淡路大地震をほんの少しばかり体験した者として申しますと、被災直後は、被災者も支援者も、多くの人がハイ状態になっている傾向があったように思うのです。地震被災に限りませんが、私たちの多くは、とてつもない困難に直面した場合、神経が高揚することがあるようです。やがて、時間の経過とともに現実を冷静に理解出来るようになると、苦しみや悲しみが大きくのしかかってくるようです。
その頃に、支援の手が離れてしまうことはあってはならないと思います。
直接支援にあたっている方々のご苦労に感謝しますとともに、何の力にもなれない身としましては、せめて被災地域の方々に懸命のエールを送り続けたいと思います。

( 2016.04.24 )
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五輪エンブレム決定 ・ 小さな小さな物語 ( 848 )

2016-10-12 15:14:37 | 小さな小さな物語 第十五部
2020東京五輪エンブレムが決定しました。
何かとお騒がせの多い「2020東京五輪」ですが、どうやらこれで、一つのお騒がせは解消しそうです。幸いといいますか、祈る思いといいますか、今のところ、然るべき立場の方からの、非難を受けるような発言はないようですから、どうやら一段落のようです。
今後は、オリンピック・パラリンピックのシンボルマークとして、2020年に向けての活動の中心で私たちの気持ちをまとめて行ってくれることを期待します。

選出されたエンブレムは、「組市松紋」と紹介されていますが、選ばれてみますと、実にすっきりしていて素晴らしいと思います。何よりも、これまでの様々なオリンピックのシンボルマークと比べてみた場合、際立って違ったイメージを感じさせるところが素晴らしいような気がするのです。
最終候補に挙げられていた四作品について、テレビの多くの番組でアンケートをとったり、コメンテーターが意見を述べられたりしていましたが、そのほとんどで、今回選ばれた作品は一位になっていなかったような気がします。ただ、正しくデーターを取ったわけではないのですが、多くの場合、他の三作品では意見が分かれていて、選出された作品に対しては、「すばらしいと思うが、一位かといわれると・・・」といった意見が多かったような気がします。
何だか四つの作品は、1対3に別れていて、選出された作品は別格にされていたような感がありました。
下馬評が、本当にこのような状況であったとすれば、この作品を選出した選考委員会に拍手を送りたいと思います。

作者の野老朝雄(トコロ アサオ)氏についても、多くの報道がなされています。
まず苗字の珍しさが話題になっているようですが、アーティストとして、多くの作品を発表してきている著名な方だそうです。
洋服などの分野でも作品を発表しているそうですが、主たる活躍の舞台は建築関係のようです。作品や構想が取り入れられている施設では、早くもちょっとしたブームが起こりそうな感覚です。
単純な図形を絶妙に組み合わせ、藍色のみを空白と組み合わせて広がりを感じさせてくれるこのエンブレムは、東京五輪のお騒がせを鎮めてくれるような気がしています。

東京五輪はさておき、今年はリオ五輪の年です。こちらも何かとお騒がせがあるようです。
会場建設の遅れが心配されているようですが、会場建設に関してはわが国もごたごたしているのですから、あまり大きなことは言えません。ただ、ブラジルは、ワールドカップを開催した国ですから、何とか間に合わせてくれるでしょう。
他にも、伝染病やテロの問題もあります。それにもまして、ドーピングの問題もまだまだ波紋を広げそうです。わが国でも有力候補選手の不祥事がありましたが、各国でスポーツ団体のあり方や、金銭トラブルは表面化しているものでも少なくなく、懸念されるようなことは遥かに多いように思われます。
スポーツにお金が絡むようになり、それを食い物にする人の数が増えているようです。オリンピックをアマチュアスポーツの祭典だと言ったのはすでに大昔のことですが、たとえプロやプロまがいの選手の戦いの場だとしても、スポーツマンシップは生かされるべきだと思います。また、金銭面や警備の面から、今後オリンピック開催を希望する都市は減っていくこと予想されます。
落ち着いていて、そして静かに繋がりと広がりを示しているように感じられるこのエンブレムが、東京五輪を、可能な限り少ない予算で、金メダルだけがすべてでなく、参加する選手のすべてにとって感銘深い大会になるような運営を誘導してくれることを願っています。

( 2016.04.27 )



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