ロンドンオリンピックが始まりました。
つい半月ほど前には、イギリス国内でもあまり盛り上がっていないような報道もありましたが、数日前からはやはり相当の熱気が感じられるようになりました。
特にわが国内では、開会に先立って行われたサッカーの試合が、男女ともに素晴らしい勝ちっぷりだったものですから、テレビ報道は早くも過熱気味の感があります。
夏冬別々ですが、四年に一度行われるオリンピックについては、いろいろな意見もあるようです。
世界中の、人口的にいえば相当高い比率になると思うのですが、ほとんどの国や地域が参加するスポーツの祭典は、あらゆる問題点を認めざるを得ないとしても、開催されることを素直に喜ぶべきなのでしょう。
指摘される問題点としては、例えば、「商業化され過ぎている」というものがあります。国家間の競争意識が強すぎて、「移住」や「ドーピング」といったことも副作用の一つかもしれません。
シューズやユニフォームなどの素材や機能の開発競争は、それ自体は技術向上に寄与しているともいえますが、例えば、100メートル走るのに1秒程度短縮可能なシューズが開発された場合、その使用を認めるのでしょうか。
この程度の技術革新は不可能とはいえませんし、少し前には水着の問題もありました。今回のオリンピックでも、最も技術の高い国家の選手のシューズと、最も劣っている国家の選手のシューズを比較した場合、マラソンに換算すれば、10秒や20秒の差ではないと考えられます。それより遥かに差があるとすれば、果たして公平な試合といえるのでしょうか。
「ドーピングのルールに抵触しない薬や薬品の開発」「スピードや瞬発力や持久力を大幅に向上させる用具の開発」なども含めたものが試合なのだといわれれば、「そうですか」としか言いようがないのですが。
「移住」についても、幾つかの話題がありました。
今回のオリンピックにおいて、ある競技のメダリスト三人が、つい最近まで同じ国民であったのに別々の国家の代表者として表彰台に立つかもしれません。
ある競技に青春をかけ、場合によっては生活の糧として打ちこんでいる人が、何とかオリンピックに出場したいと「移住」まで考えることを否定するつもりなどありません。ただ、オリンピックには、まことに細々としていても、「参加することに意義がある」という精神は残されていると信じたいのです。
従って、選手役員合わせて数人といった国家や、それぞれの競技においてレベルが低くても特別枠で参加させるようなところには、オリンピックに出るためだけを目的とした移住選手は好ましくないと思うのです。
かつて、わが国は、東京でのオリンピック開催が決まっていながら戦争のため中止としてしまった前科を持っています。オリンピックの背景には、政治的な思惑も見え隠れしていることも否定できません。
けれども、多くの人々が集い、競技し、勝者は喜び、敗者は涙し、それでも尽きることのないほどの感動が生まれてくる大会が開かれていることは、やはり人類の誇りだと思うのです。
ぐずぐず申し上げておきながらではありますが、ここは一つ、オリンピックを純粋な気持ちで楽しみましょう。
素晴らしい競技や記録に拍手し、力及ばずとも懸命に頑張る選手に感動し、わが国の選手に精いっぱい贔屓して応援しようではありませんか。
( 2012.07.29 )
つい半月ほど前には、イギリス国内でもあまり盛り上がっていないような報道もありましたが、数日前からはやはり相当の熱気が感じられるようになりました。
特にわが国内では、開会に先立って行われたサッカーの試合が、男女ともに素晴らしい勝ちっぷりだったものですから、テレビ報道は早くも過熱気味の感があります。
夏冬別々ですが、四年に一度行われるオリンピックについては、いろいろな意見もあるようです。
世界中の、人口的にいえば相当高い比率になると思うのですが、ほとんどの国や地域が参加するスポーツの祭典は、あらゆる問題点を認めざるを得ないとしても、開催されることを素直に喜ぶべきなのでしょう。
指摘される問題点としては、例えば、「商業化され過ぎている」というものがあります。国家間の競争意識が強すぎて、「移住」や「ドーピング」といったことも副作用の一つかもしれません。
シューズやユニフォームなどの素材や機能の開発競争は、それ自体は技術向上に寄与しているともいえますが、例えば、100メートル走るのに1秒程度短縮可能なシューズが開発された場合、その使用を認めるのでしょうか。
この程度の技術革新は不可能とはいえませんし、少し前には水着の問題もありました。今回のオリンピックでも、最も技術の高い国家の選手のシューズと、最も劣っている国家の選手のシューズを比較した場合、マラソンに換算すれば、10秒や20秒の差ではないと考えられます。それより遥かに差があるとすれば、果たして公平な試合といえるのでしょうか。
「ドーピングのルールに抵触しない薬や薬品の開発」「スピードや瞬発力や持久力を大幅に向上させる用具の開発」なども含めたものが試合なのだといわれれば、「そうですか」としか言いようがないのですが。
「移住」についても、幾つかの話題がありました。
今回のオリンピックにおいて、ある競技のメダリスト三人が、つい最近まで同じ国民であったのに別々の国家の代表者として表彰台に立つかもしれません。
ある競技に青春をかけ、場合によっては生活の糧として打ちこんでいる人が、何とかオリンピックに出場したいと「移住」まで考えることを否定するつもりなどありません。ただ、オリンピックには、まことに細々としていても、「参加することに意義がある」という精神は残されていると信じたいのです。
従って、選手役員合わせて数人といった国家や、それぞれの競技においてレベルが低くても特別枠で参加させるようなところには、オリンピックに出るためだけを目的とした移住選手は好ましくないと思うのです。
かつて、わが国は、東京でのオリンピック開催が決まっていながら戦争のため中止としてしまった前科を持っています。オリンピックの背景には、政治的な思惑も見え隠れしていることも否定できません。
けれども、多くの人々が集い、競技し、勝者は喜び、敗者は涙し、それでも尽きることのないほどの感動が生まれてくる大会が開かれていることは、やはり人類の誇りだと思うのです。
ぐずぐず申し上げておきながらではありますが、ここは一つ、オリンピックを純粋な気持ちで楽しみましょう。
素晴らしい競技や記録に拍手し、力及ばずとも懸命に頑張る選手に感動し、わが国の選手に精いっぱい贔屓して応援しようではありませんか。
( 2012.07.29 )