マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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木津川の山の神

2009年02月08日 07時51分50秒 | 東吉野村へ
東吉野村の木津川(こつがわ)で虫祈祷がされると聞いて訪ねてみた。

ご婦人に尋ねると昨日の15日の晩に円覚寺でされたという。

年の終わりの時期に営まれる虫祈祷はお寺さんに世話になったといって仏さんの年季締めくくり、先祖回向やらでお経をあげる。

自分たちへの歳暮の意味もあるという。

6、7人ほど和尚さんが来て法要するという。

今はしてないが、かっては法要後に祈祷札を畑に挿していたそうだ。

ちなみに当地は1月7日に山の神さんがある。

上は神武さんで大きな岩の上に山の神の祠がある。

下は円覚寺脇の谷を登ったところに小岩の山の神。

薬師堂付近の山の上の水道施設付近にも山の神。

高見川を隔てた東側にも2ヶ所あるという。

朝8時ころから村のセンターに集まってタイ、ノコギリ、カマ、ナタ、チェーンソーなどの山の仕事道具の木型を作る。

これを注連縄に取り付けて山の神に供えるのが11時ころになるというが五ヶ所同時なので身体ひとつでは取材するのに五年もかかる。

竹でこしらえた弓も供える。

これは2本作って東と西に置く。

さらに藁で編んだコメダワラ(中にはお米)や竹で編んだ小さなタルも供える。

そのあと一旦家に帰って昼食。

昼からは薬師さんに供える御供餅搗き。

千本杵で搗くんだという御供搗きは15時ころにようやく終える。

その餅は8日に薬師堂で営まれる初祈祷に供えるモチだ。

かっては6時から行っていた初祈祷は和尚さんの都合で変わるけど、だいたい9時ごろだそうだ。

ごーさん(牛玉宝印書)を刷ってウルシの木に取り付けた祈祷札。

これはせんようになったけどクリの木(オコナイボウ)で叩くランジョウは今でもしているそうだ。

村の行事はずいぶんとなくなるし、年寄りばかりなってしもうたけど8月の念仏踊りと山の神に初祈祷はやめられないんじゃと村人はいった。

若いもんがおらんようになって山の仕事がなくなった。

オクドさんでダイコン炊いた。床柱の銘木も作ってた。

成長するにつれ細い木で縛った。

木皮を剥いで川の砂で磨いた。

活気があったのはずいぶん前や。

そんな山の仕事がなくなっても山の神さんの祭りは続けていきたいというご婦人。

下の住民のご夫婦は神さんにおますんやと仰った。

(H20.12.16 SB912SH撮影)