マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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続、ノガミミニシンポ

2009年07月20日 07時47分32秒 | メモしとこっ!
上映会のあとは野本氏の新作写真の解説に樽井女史の北部、中南部に特徴がある奈良盆地のノガミ行事の解説だ。

二毛作が盛んだったことからムギがつきもののノガミ行事。

五穀豊穣を祈願、雨乞いなどが関連していた。

紹介されるノガミの映像は見たことがあるものばかり。

そりゃそうだ殆どが同行取材していたのだから。

なかでも古川町のノガミの御供が特徴的。

前年の下見で野菜で人面を象ったものをみたときは感動的だったことを思い出す。

それにしても子どもらが主役の中南部のノガミさんに対して北部はジミな世界だ。

目立つ風景を好む写真家はたぶん行かないだろう。

私はそのジミな世界が民俗行事的で素敵に感じる。

開催後にジミー大西の世界やなとシャレを言えば樽井女史は笑ってた。

トリを勤めるのは鹿谷氏。

国の記録選択文化財となっている野神行事は農耕、稲作儀礼の前にあったとされる。

稲作祭礼はお田植え祭のあと収穫祝いで締めくくられる。

ところが野神さんの祭礼は祀ったあとその後の様子がまったく見られない。

新年にその年の豊作を祈願する祈年祭(御田植祭)があれば、秋には育った稲を収穫祝いする秋祭り、新穀を祝う新嘗祭があるのだが野神の祭りはその後がない。

そういえば山の神の祭りもそうである。

稲作儀礼の田んぼの神さんと野の神さんは祈る対象が異なるものと推定される。

氏は野神の原像と題して常陸国風土記の夜刀(やと)の神をもちだし、野神とは荒ぶる激しい神だとまとめられた。

(H21. 5.12 記)

ノガミミニシンポ

2009年07月20日 07時44分05秒 | メモしとこっ!
県立民俗博物館でノガミさんのミニシンポジウムが開催された。

写真家の野本氏、ノガミさんを研究している樽井女史に館学芸員の鹿谷氏のお話はどんな展開になるのか楽しみにしていた。

始まりは平成4年(1992)に公開された16ミリ映像の「大和の野神まつり」。

およそ20年前の取材映像と今日行われている変化の状況が見てとれる。

なかでも興味深かったのは大和郡山市椎木のショウブデンボだ。

屋根にコモを投げる。

子どもたちはショウブでこさえたデンボを地面に打って集落を練り歩く。

そして今でも変わらない水田にぽつりと浮かぶ野神さんに参って、チマキを食べて榎木の葉を皿器にしてお神酒をよばれる。

最後にショウブデンボを上に放り投げて榎木に引っかけるようにする。

現在少子化の影響で対象となる子どもがいないことから中断されている。

20年前の映像は貴重なものになるだろう。

今里のノモトもそうだ。

対象となっていた榎木の一本木が倒壊してからは日にち、場所が替わり公民館で行われている。

平成15年に取材させていただいたときは既になくなっていたクワで耕す所作、松苗植えが映像のなかで行われている。

今里・鍵の蛇巻きの子どもたちは体操服。

今はライオンズクラブ寄贈の法被を着込んでいる。

上品寺のシャカシャカもそうだし様相は年々変化していく。

将来はこの映像が貴重な遺産になってしまうであろう。

ここに映像メモを残しておく。

1.三条のノガミ絵馬版木は1769年製。

2.蛇穴の野口まつり絵巻は1854年もの。
夜明け前に青年団が振る舞いの太鼓を打って頭屋の家に土足であがる。
これを神の出現だという。

3.下永キョウの西城の蛇はオス、東城はメスという。

4.上品寺のドサンバコの中身は農具。

5.地黄町のススツケは子どもの背中に「米」の字を書く

(H21. 5.12 記)

映像はH21. 5. 2 SB912SH撮影したもの。