マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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旧都祁村荻のコイノボリ

2014年11月30日 08時20分08秒 | 奈良市(旧都祁村)へ
上深川から下深川。

これより下って荻を通りぬけようとして村道を走っていたら、なんと、なんと・・・。

イチョウの木に結わえたスギの木にコイノボリが泳いでいたのだ。

ふっと上を見れば、スギの葉っぱがある。

初めて男の子が生まれたのでは、と思って訪ねたお家。

田植え作業を終えた二人の若い男性に聞いたところ、「お爺ちゃんが立てはったんや」と云う。

二人が話すにお爺ちゃんは元材木商。

昨年も立てたが、葉っぱ付きの支柱を立てたのは今年が初めてだと云う。

そんな話を聞いていたら田植えを終えたお爺ちゃんが戻ってきた。

「孫はこのとおり大きくなってコイノボリを揚げることはなくなったが、街道を行きかう人が喜んでくれたらと、趣味で揚げてるんや」と話す。

83歳の当主は50年間以上も材木商だったそうで、かつてはコイノボリの支柱を買いたいという家も多かったと云う。

大型トラックに50尺、60尺も積んで注文先に運んで商売していた。

田原本町のニシカワにも卸していたとも話す。

伐り出したスギの木は葉っぱを残して木の皮を剥いで丸太にした。

ヒノキの注文はなかったと云う。

当主の家でも男孫が「生まれたときに立てたし、嫁入り先にも持ちこんでいた」と話すがが、「村で生活改善運動の統制があって贅沢品は抑制。それでコイノボリを揚げることはしなくなった」と云う。

ほんの数年前から街道を通る人に見てもらいたくなって、揚げるようにした荻のコイノボリ。

自転車サイクラーの人たちは「立ち止まって写真撮ってますわ」と笑っていた。

さて、荻のコイノボリの鯉は毎年様相が違うそうだ。

買い足したコイノボリ。並びは一般例とは違っているが、荻の里山景観にすごくマッチしている。



竿の先にあった葉っぱは「穂」と呼んでいたご主人。

これも含めて、一つの事例として記録しておくことにした。

(H26. 5. 6 EOS40D撮影)