JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

運命の人 山崎 豊子著

2012-04-11 22:14:05 | 


山崎豊子の小説はいつも長いけれど、一気に読ませる構成で好きでした。久しぶりに文庫で出版された小説は外務省機密漏洩事件「西山事件」を題材にしたものだそうで、時代的にもその時を体験しているので興味津々です。
文春文庫からの初めての出版だそうで、ちょっと薄めにした4冊でした。

とにかく読み終わりました。本を読むことで、サプライズも楽しみならば、確かに驚いて楽しみました。
これが山崎豊子かという驚き、いつもは入れ込むような人物が必ずとうじょうするのに、この物語、どの人物も文章からは魅力がわいてこない。どの人もなんかちょっと不確かな感じを受けます。
そしてタイトル、何で「運命の人」なのか、小説としては「運命の地」なのではないでしょうか。

沖縄で起こった悲劇と後につづく苦酸の数々をここで書いておきたかったのは伝わります。

天皇の御真影を風呂敷に包んで、戦火の中を逃げまどい、本土出身の兵隊に誰可され、沖縄方言が通じないため、スパイ嫌疑をかけられた挙げ句、銃殺されたことが数回記述されます。

運命の人となった弓成記者に最後に語らせたのがその気持ちなのでしょう。

「沖縄を知れば知るほど、この国の歪みが見えてくる。それにもっと多くの本土の国民が気付き、声をあげねばならないのだ、書いて知らせるという私なりの方法で、その役割の一端を担って行こうと思う」

その日本人としての意志と思いはわかるものの、小説としては、何ともおさまり悪いので、驚きました。
コメント
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