
スベェンソンの録音が残っていてリリースされた。これは迷わずに買ったのだけれど、聴き始めると喪失感の方が強くて、とても困った。何度も聞くうちにやっと落ち着いて、そうするとやっぱり素晴らしい。
1曲目とても静かな始まりは、器に投げ込まれた一枝の梅を思い出す様、今はもはや存在しないものをじっくりと思い出します。
2曲目は独特のベース・パターンに電子音が重なって、これは過去からの交信という感じ、それもスベェンソンの指令が届いてくるのです。
3曲目、純粋にピアノを楽しむ。没頭できるピアニストがいたのです。
5曲目の間ずっと暮れていく空を見ている。青い色と白の雲が溶け合っていく空、このずっとむこうにスヴェンソンがいるような気がしています。
6曲目は同名のPert2、2曲とも即興の演奏のようですが、ドラムス・ソロから始まってドラマチックに展開していく様がなんとも懐かしい、bunkamuraオーチャードでの青いライトに浮かび上がる彼ら思い出します。

最後はまた静かに、額に一寸、手をやって別れの挨拶をされた気がします。
301というタイトル、スタジオの名前だそうですが、演奏にあわせて村上春樹の「IQ84」を思い出しました。
301 / Esbjorn Svensson
Esbjorn Svensson (piano, electronics, transistor radio)
Dan Berglund (bass, electronics)
Magnus Ostrom (drums, voices, electronics)
1 Behind The Stars
2 Inner City, City Lights
3 The Left Lane
4 Huston, The 5th
5 Three Falling Free Part I
6 Three Falling Free Part II
7 The Childhood Dream