タクシー・ドライバーをしながらノーベル賞を狙う大作家と思い込んでいるジョナサン・フリン(ロバート・デ・ニーロ)。うつ病ではない。18年も音信不通のジョナサンから息子のニック(ポール・ダノ)に電話がかかるくらいだから。しかし、ひょっとして自己愛性パーソナリティ障害かもしれない。
息子のニックも作家を目指しているが定職がなくスチュワーデスの女性と同棲中。それも彼女の留守中の浮気がばれて同棲解消となる。この辺は親父ジョナサンの血をひいているのかも。
友達の友達からの紹介でマフィアが持っていた元ストリップ劇場に同居することになる。それらのツテでホームレス・シェルターを手伝うことになり、まさか父親が現るとは思っても見なかった。
そういう社会の底辺をこのデ・ニーロとダノが重くならずといって軽くもならず、ほど程の人情劇となっている。不思議な映画でただ父と子の関係をさらりと描いて印象が残る。
最近のデ・ニーロはつまらない映画にも出るがこういういわゆる儲かる映画でない作品にも出ている。ということは、なにか思うところがあるのかもしれない。
地味すぎる映画ではあるが心の琴線を震わせるものがある。ポール・ダノも抑えた演技で印象的だったし、ガールフレンドになるデニース(オリヴィア・サールビー)も爽やかな印象を残した。
監督
ポール・ワイツ1965年ニューヨーク市生まれ。
キャスト
ロバート・デ・ニーロ1943年8月ニューヨーク市生まれ。
ポール・ダノ1984年6月ニューヨーク市生まれ。
ジュリアン・ムーア1960年12月ノース・キャロライナ生まれ。
オリヴィア・サールビー1986年10月ニューヨーク市生まれ。