ロマンティックな場面がほとんどないかわりに、どこにでもあるような夫婦喧嘩が印象に残る。ギリシャが舞台で風光明媚な景色も見られるのかと思ったがそれはない。ギリシャと聞けば財政危機を思い出してしっくりこない。
とにかく結婚して二人の子供に恵まれてはいるが、ちょっとしたことで夫婦喧嘩が始まる。なにやら自分たちの生活を見ているようで落ち着かない。例えば、ギリシャの友人が気を利かせて、夫婦二人きりの時間を過ごすためにホテルを予約してくれたが……最初はエアコンがあるとかバスタブがいいとかうれしい最高よなどと言うがセリーヌ(ジュリー・デルビー)は「娘たちに会いたい」と呟く。
「僕は全然」セリーヌが窓から外を眺めながら「素晴らしい景色よ」
「僕が見たい景色はただ、ひとつ……」と言いながらジェシー(イーサン・ホーク)はセリーヌの肩紐をほどいて乳房を露にする。
ここからは並みのポルノ映画になるかどうかの瀬戸際。それを難なくこなして二人は徐々に高まりを見せる。そのとき携帯電話が鳴る。ジェシーの元妻との間の息子からだった。セリーヌが電話を取り話し終わって切る。それに文句を言ったのがジェシー。もうおきまりの夫婦喧嘩の序章と相成る。
それにしても実年齢の役柄だからジュリー・デルビーが44歳、体型は1作目とはまるで違う。このジュリー・デルビーを見ていると顔立ちがヒラリー・クリントンを連想させられた。老け始めたヒラリー・クリントンを。
この3作目は、すでに結婚して二人の娘がいる設定だが、むしろ結婚で結ばれるという設定の方がよかった気がするが。だから私としてはあまり印象に残らない映画となった。
監督リチャード・リンクレーター
キャストイーサン・ホーク ジュリー・デルビー