2013年制作の映画。観終わってストンと胃の腑に落ちるという感じではない。頭の中がなんだかもやもやとしていて、あの場面はどうしてあのようになるのだろう。あれはどういう意味なんだ。落ち着かない気分にさせられる。
それもそのはず、この映画の監督ポール・ハギスは、「これは3つのラブストーリーのフリをしているけれど、実はパズルのような映画なんだ。特に視覚的な面でね。たくさんのヒントを劇中に仕掛けたので、なんでこんなことが起こっているんだろうって思ってほしい。こんなこと有り得ない、じゃあ何が本当なんだろうって。そして最後に繋がっていくんだ。この映画にすべての答えは用意していない、映画の後に友達とディスカッションして自分なりの答えを見つけてほしい」という訳で正解はない。
多分この題名Third Person(第三者)を頭に入れておくと自分なりの結論を得られると思う。どうやらキーワードが「見ててね。watcne me」にあるようだ。
ピューリッツアー賞受賞作家のマイケル(リーアム・ニーソン)は、パリのホテルで二作目に苦しんでいる。彼の妻エレイン(キム・ベイジンガー)をアメリカに残していて、フランスでは若い恋人アンナ(オリヴィア・ワイルド)がいる。
ニューヨークでは、ジュリア(ミラ・クニス)がリック(ジェームズ・フランコ)と親権を争っている。
ローマでは、スコット(エイドリアン・ブロディ)とモニカ(モラン・アティアス)のなにやら駆け引きのような男女関係。
三つの街と三組の男と女。共通点は、妻帯者と子供。中心となるテーマは苦悩。その苦悩は、マイケルが30秒間目を離した隙にプールで息子を溺死させたこと。以来、小説の人物を通してしか物事を感じられないという。
そして作家は、出版社の編集者も納得する自虐的な告白小説を完成させる。マイケルの小説を映画化したのがこの映画といえる。架空の人物にいろんなことをやらせているわけで、実際の人物は誰だろうと考えるのも面白い。
当然、本人マイケルと妻のエレイン。それに雑誌の編集者。マイケルの恋人アンナはどちらだろうか。というのも作家が創造する女性に恋をするということもあり得るからだ。
映画のシーンに移ろう。アンナがマイケルに強烈な侮辱を与える場面がある。エレベータの扉が開いていて中には何人かの人が乗っている。そんな状況で「なぜ既婚者を選んだと? 傷つけられることがないからよ。好きに別れられるしね。手に入るまで愛を求め続ける男なのね。新しいお相手を探したら?」
このアンナという女性、ものすごく気分屋の癖がある。この場面は違和感を覚えてよく分からない。そういえば登場するジュリアも精神的な問題があり、ローマのモニカも一筋縄でいかない気分屋でもある。
アンナを演じたオリヴィア・ワイルドは、すごくキレイに見えるときと、そうでもないときがある。この顔立ちは、目の色が黒であれば日本人にもいる気がする。
それより60歳に届いているキム・ベイジンガーがキレイだった。出る場面が少なかったが、もう少し見たかった。
そういえばポール・ハギスも2005年に「クラッシュ」でアカデミー賞脚本賞受賞以来目立つものがない。これは自分と重ね合わせた皮肉なのだろうか。
監督
ポール・ハギス1953年3月カナダ、オンタリオ州生まれ。
キャスト
リーアム・ニーソン1952年6月イギリス、北アイルランド生まれ。
ミラ・クニス1983年8月ウクライナ生まれ。
エイドリアン・ブロディ1973年4月ニューヨーク生まれ。
オリヴィア・ワイルド1984年3月ニューヨーク生まれ。
ジェームズ・フランコ1978年4月カリフォルニア州生まれ。
モラン・アティアス1981年4月イスラエル生まれ。
キム・ベイジンガー1953年12月ジョージア州生まれ。