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海外テレビドラマ「ハウス・オブ・カード野望の階段シーズン5」

2018-01-07 16:38:05 | ドラマ

  
 2013年から放映の政治・社会派サスペンス。ネット配信で公開されたドラマ・シリーズとして史上初めて夜間番組を対象としたプライム・タイム・エミー賞を受賞した。

 ハリウッド・スター、ケヴィン・スペイシーとロビン・ライトを起用、この二人とも野心家で冷酷という性格設定でホワイト・ハウスを利用して国民を騙す。こういう大統領なら独裁者よりも恐ろしい。微笑みに隠れた殺人者であるからだ。

 フランシス・アンダーウッド(ケヴィン・スペイシー)が副大統領時代、ワシントン・ヘラルドの新聞記者ゾーイ・バーンズ(ケイト・マーラー)と肉体関係を持つが、自身の秘密を嗅ぎつけられ地下鉄のホームで突き落として自殺に見せかけて殺す。相手を陥れたり脅迫したりは日常茶飯事。

 それらに協力する妻のクレア(ロビン・ライト)。クレアもしたたかな女で究極の目的は、史上初の女性大統領。シーズン5でそれが実現するが、その過程で邪魔者を排除するのをいささかも躊躇しない。

 フランシスが自身の伝記のためとスピーチ・ライターとしてホワイト・ハウスに招き入れた作家のトム・イェーツ(ポール・スパークス)とクレアが肉体関係を持つようになる。アンダーウッド夫妻は、廊下を挟んで向き合う寝室で別々に就寝する。フランシスは、クレアとトムの関係を知りながら黙認する。不思議な感覚の夫婦ではある。しかし、仕事では見事な協調がある。

 アレックス・ロメロ下院議員(ジェームズ・マルティネス)が大統領選での不正を調査委員会で追及し、ホワイトハウス内部からのリークを入手したワシントン・ヘラルドの編集長ハマーシュミット(ボリス・マクギヴァー)はゾーイ・バーンズ殺害を追及する空気が漂い始める。

 実はホワイトハウスからのリークもフランシスの恣意的な行為にほかならない。実に悪の策士だ。不都合な真実を知られたら亡き者にするリストの中にスピーチライターのイェーツがある。

 クレアは猛毒のつる性常緑低木から抽出したゲルセシウムを密かにウィスキーに混ぜてイェーツに勧める。この効果は約1時間後というから、最後のセックス中イェーツは昇天する。クレアは、イェーツの頬をなでて「トム」と一言。状況はクレアが大統領就任間近という時期、そんなときスキャンダラスな内容は困るというわけ。

 トムへの後の言葉を想像すると、「トム、ドジを踏んだわね」「トム、もう少し賢いと思ったけど」「トム、心から愛していたのよ。スキャンダルを持ち出そうとしたあなたが悪い」この三つのうちどれかかもしれない。

 フランシスも人を殺す。知りすぎた政治コンサルタント、リアン・ハーヴェイ(ネーブ・キャンベル)を交通事故死させ、デュラント国務長官(ジェイン・アトキンソン)を階段で突き落として殺す。

 さらにスキャンダルを避けるために、クレア大統領の恩赦で放免されるのを確約させた上でフランシスは辞任した。ところがクレア大統領のシリアへの派兵のあとフランシスを恩赦するはずが、それがなかった。

 フランシスは呟く「そうか、なら殺すしかない」あとはシーズン6に続く。しかし、問題がある。ケヴィン・スペイシーにセクハラ問題が起こった。32年前のこととはいえ2017年のハリウッドや政界のセクハラ旋風で失職や辞職が相次ぐ。

 ケヴィン・スペイシーも製作・キャストから降ろされた。シーズン6の計画もあるが、それが最終になりそう。ここまでの作品の水準は高く眠くならずに観られる。非情さの表現ではロビン・ライトのほうが凄味があった。