いじめられっ子の女子高生ナオミ・パインが行方不明になった。ニュージャージー州刑事弁護士ヘスタ・クリムスティーンが知ったのは、ナオミと同級生の孫のマシュウから相談を受けたからだ。
このヘスタ・クリムスティーンは、70歳を超えた寡婦のやり手の弁護士。70歳を超えてからは自分の年齢を勘定しないという。それでもお色気がなくなったわけでもない。目下独身の警察署長のオーレン・カーマイケルについて、ハンサムで優しくて素敵だと思っている。ディナーに誘われると、まるで青春時代に戻った気分になる。
そんなおばあちゃんが頼りにしているのがワイルド。ワイルドは34年前の1986年4月18日付ノース・ジャージー・ガゼット紙に「置き去りにされた“野生児“森で発見される」と報じられた、その本人なのだ。そんな過去もあって森を歩き回るのを日課としている。
時計がなくてもぴったりと時間を当てるという野性的な面と気配りをするという繊細さも持つ。ナオミが通う高校の非常勤美術教師エイヴァ・オブライエンと男女の微妙な関係にもなる。ナオミの失踪からやがてマシュウのクラスメイト、ダッシュ・メイナードも行方が分からなくなる。ダッシュの父親は、成功した大物プロデューサーのダッシュ・メイナードなのだ。
一人の女子高生の失踪から、やがて政治家のスキャンダル問題へと広がっていく。私はどうして政治家を登場させたのだろうと思ったが、勝手な推測をするとアメリカの国民の分断が背景にあって著者がどうしても言及したかったと。そして著者は政治学の蹄鉄理論を持ち出し、世の風潮を批判しているように見える。
本作の政治家ラスティ・エガーズが言う「今の社会の仕組みは不公正で、アメリカ国民を裏切っている。それを正すには、まずその仕組みを根本から覆さなければならない」これには右派も左派も同調するだろう。まあ、そんなおまけもあるが、最後の最後に驚きの展開が待っている。最初は読み進むのが遅かったが、中盤以降は怒涛の勢いになった。
ラスティ・エガーズはニュージャージー州出身のため当地出身の「ブルース・スプリングスティーン」「フランカ・シナトラ」、それにニュージャージーが舞台のテレビドラマ「ソプラノス/哀愁のマフィア」を3Sと呼んで愛着を持っているようなのだ。ここではブルース・スプリングスティーンの「Tougher than the rest」を聴きましょう。
自分も「森から来た少年」読みましたよ。
面白かったです。
ストーリーが大きく進んでいくところが印象的でした。
そのうえラストには驚きましたよ。
「Tougher than the rest」を聴きました。
とてもいい歌ですね。
優しいメロディだと思いましたよ。