猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

あすなひろし 「呪啼夢」 (じゅていむ)

2013年10月08日 10時31分50秒 | マンガ家名 あ行


       ↑ ㈱チクマ秀版社 2006年8月6日 初版


2001年3月22日、肺がんのため60歳で亡くなられた あすなひろし氏。
死後ファンや生前交友のあった編集者など、又実のお姉様や甥御さんの協力も有り、一から復刻された「あすなひろし作品選集」はまだ一部在庫が有り、下記のサイトなどで購入が出来るようです。

           → あすなひろし公式サイト

また、㈱エンターブレイン社がビームコミックス文庫として「青い空を、白い雲がかけてった」「いつも春のよう」「林檎も匂わない」などを刊行しています。

この、ずっしりと持ち重りする本は、没後7年経ってやっと復刻されたものです。
あとがきの 漫画家・マンガ評論家の みなもと太郎氏 が

「出したい 出したい」と願いつつ、ページ数の多さで発行に踏み切れず、手をこまねいていた「あすなひろし最大の長編」があった。

と言わしめた作品なのです。
初出発表年は1972年8月から週間漫画タイムスにて。
もう41年も昔 ! わぉ。

原作者の 宮田 雪(きよし)さん と言う方は、呪縛師ということになってますが。
呪縛師って何 ?
と、少し調べてみてもよく判らない…。
ご本人は脚本家や漫画原作者、精神世界運動家、ドキュメンタリーの映画監督などもしている。
アニメの「あしたのジョー」・「ルパン3世」・「海のトリトン」・ 「ムーミン」など にも関わっているようです。
結局呪縛師の意味は解りませんでしたが…。
いろいろな創作活動をなさっている方のようです。

今見ると、この濃密な作品群が週1回の連載で続けられていたとはびっくりします。
巻末には週間連載の苦労が担当編集者の方の文章でつづられています。
そうだろうな~。
十篇の短編と中篇で構成されるこの作品は、時代も場所もばらばらだけど日本が舞台です。
各話に登場する黒いコート、黒い大きな帽子、黒いロングブーツを身にまとった女、イヴに翻弄される男たち。
この格好は描かれた当時の流行を思い出させます。
又、イヴも男たちに惑わされながら時代を生きていく。

残念ながら残り1話を残して未完になっています。
しかも掲載されている最後の一話は、素人の私が見ても あすな氏 の筆致とは違うような。
元アシスタントの沢本氏、河野氏が鉛筆の下書きにペン入れしたそうです。
その辺の理由と言うか、状況も担当編集の文章の中で明かされています。
あすな氏、原作付きの作品を自分の作風と格闘しながら我慢を続けてここまで描いてきたが、ついにキレてしまったようです。
ナイーブ過ぎたのでしょうか。

あすな氏の叙情性が少し観念的に見えるところもあって、好き嫌いが分かれる作品だとは思いますが、大人なら解る、大人の作品と言えるでしょうか。

かくいう私も、あすな氏の絵柄は大好きなんだけど、あんまり詩的な叙情性の強い作品はあまり好きでないんです。

COMに載っていた作品はおおむね好きです。
1968年1月号「300,000km./sec」 SFの傑作といわれてます。
1968年9月号「美女ありき」 ストーリーまんが家によるギャグマンガ集のひとつ。
1969年2月号「その日、ノースビルは雪」
1969年8・9月号「西部の唄」
1970年4月号「巣立ち」
1970年11月「スウ、という名の童話」
1971年8月号「難破船」 絵 川本コオ
1971年11月号「桔梗」

「哀しい人々」シリーズも大人になってから好きになりました。
一番好きなのは、少女漫画を描いていた頃の短編かな~。
「さざんか」とか。
少女には程よい程度のすっぱいお話で、あの流麗な線にはいっぺんで参りました。
その頃からのあすなファンです。
亡くなってから何年経っても、ファンが増え続ける あすなひろし氏 。
その魅力はなんなのかと、作品を読むたびに考えさせられます。




               復刻版を全て買うか迷うトミー。



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岡田屋鉄蔵 「ひらひら-国芳一門浮世譚」

2013年08月02日 19時53分20秒 | マンガ家名 あ行

      ↑「ひらひら-国芳一門浮世譚」 太田出版 2011年12月19日初版


ネットで評判を聞きつけ、「ひらひら」を買ってファンになり、既刊のコミックスをバーッと買ってしまいました。(何ヶ月か前だけど)
この方、マンガ以外にも小説の表紙絵などイラストでも活躍なさっているのですが、マンガはBLでデビューしているようです。
デビュー7~8年らしい。
その他コミティアなどのコミケ、web雑誌上でも作品発表と活躍している模様。

「タンゴの男」というコミツクスが、私の持っている中では一番初版が古い。
この頃の絵柄は アメリカンコミックス そのもの。
アメコミの筋肉むきむきの絵柄でBL(と言えるのか?)なので、私はちょっと付いていけない感じ。





         ↑ 一番左が「タンゴ~」この4冊はBL系コミックス



ところが最近の刊行の 「ひらひら」 や 「極楽長屋」では濃いは濃いけどさらりと柔らかい線が加わって 少女漫画育ちの読者 でも読みやすい。
ちなみにこの2作品はBLじゃございません。
大変面白い時代物です。
他にも 「千」シリーズ (BLテイスト有り) など、岡田屋さんは時代物ご自身も大好きだろうし、描いてもしっかりした本格的なものを描かれている。




         ↑ 歴史物・江戸物



本によっては、ページの都合か説明文が多かったり、イラストっぽくなったりしているけれど、これからどんどん良い作品を発表されていく予感がします。
BL本も含めて又好きな作者さんが増えてしまいました。
困ったな~。(笑)

わたし、マンガはやはり 絵 が気になるんですよ。
当たり前と言われればそうだけど。
どんなにストーリーがいいよと人に言われても、絵柄が自分の好みでないとなかなか読む気になれなくて。
それで長年もったいないことに 木原敏江先生 を読みはぐれていたりしたんですが。(不覚)
も一度言いますが、絵柄といっても好みの問題ですからね。
今は絵柄も含めて、木原先生大好きです。

で、この岡田屋さん。
もうっ裸の男の背中描かせたら、たまらん・らん、です。
私の愛してやまない 「一ノ関 圭様」 入ってます !
たぶん岡田屋さんも 一ノ関先生 好きだと思う。
絵が似ているわけじゃないけれど、リスペクトされてるかも。

太田出版のweb雑誌「ぽこぽこ」で連載された「ひらひら」の内容は、浮世絵師・歌川国芳の門下に命を助けられて入った 元武士 の話。
この 田坂伝八郎 すさまじい過去を持つ侍なんだが、ストーリーはともかく。(いいのか?)
国芳と言えば猫好きで有名な絵師。
裏表紙、表紙の折り返し、本編のあちこちに居る国芳描く処そっくりな猫達のこれまた、たまらん・らんこと !







ああ又脱線したが。
今の所1冊しか出ていないようですが、国芳の門下や周りの人々が、この元侍以外も皆素敵で、一人一人の物語が見たいと思うわけで。
ぜひぜひ2巻目を出してくださいませ~!         


        岡田屋師匠のブログ → OKDY業務報告




              結局最後は猫話になってしまうトミー。



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一ノ関 圭 「すがの幸福」

2012年02月02日 20時24分52秒 | マンガ家名 あ行


         ↑ この小品が入っている 小学館 BIC COMICS
           ビックコミック賞作家作品集 ① 昭和55年6月1日初版


作者の 一ノ関 圭氏は、秋田県大館市出身。女性です。東京藝術大学油絵科卒

私が大・大・大好きな 一ノ関 圭先生 の作品なのだが、大好きな故にこれまで記事アップが出来ないでいました。
一ノ関氏の作品は大きく分けて、詳細に調べられた江戸・明治・大正時代の歴史物と、人の心の情景が恐ろしいほどリアルな現代物がありますがこれは後者の方。

「すがの幸福」は、デビュー2年後の 1977年、ビッグコミック掲載です。
ずっと前から気になっていたこの 小品 から何とか記事に出来ないものかと書き始めてみます。
と言っても、さし当たってあらすじから書くしかないかな~。
ネタバレありです。


作品冒頭の すが(女性名) の回想より
青字は作品より引用

私が営林署の寮を安く
払い受けて朝比奈旅館を
始めたのは、要太郎がまだ
小学生の時分---
夫が病床に伏して
一年過ぎた頃のことでした。


時代は戦後ですが昭和30年代から始まるというところかな。
男の子の居る男性の後妻に入った すが は、病に倒れた夫と子供を養うために小さな旅館を始める。
まだビジネスホテルもない時代、地方の駅からも近いし、病気の夫と子供の為に健気に働く美人おかみ すが は営林署や出張サラリーマンの客の評判も良い。

「忙しくても、家の中の仕事だもの。
 時折家族が増えると思えば、案外、楽なものよ。」


せっせと働く すが の姿は本当に健気だ。
そんな すが に対し、客の一人 柏木 は思慕を募らせていった。
一方、思春期を迎えた男の子 要太郎 も若く綺麗な母に母親以上の思いを寄せるようになる。

ある日 柏木 に思いを告げられた すが は拒否するが、
「でも、本気なんです。」
という言葉に引きずられる。

しばらくぶりに訪れた 柏木 に、すが の方から関係を持ってしまう。
何回かの逢瀬の後、
「もうこれきりにしましょう。あの人気づいているわ。」
「ここを出て俺と一緒に…手紙を書く」
その後の口付けを 要太郎 に見られてしまう。

この前後の夫の心理描写も切ないです。
その後連絡がぱったり途絶えた 柏木 の事は次第に忘れる すが。
一時は荒れた 要太郎 も、父親が亡くなり すが と二人暮らして成長していく。
再婚の話も断り 要太郎 と仲睦まじく暮らしていく すが。

社会人になり、すが への想いを封印して結婚を決める 要太郎。
嫁の 幸子 は若い頃の すが のように明るく快活で、旅館の客にもここのおかみは美人ぞろいと好評だ。

中年となり(多分)更年期障害に苦しむようになる すが の姿が描かれる。
鏡を見て これがあたし とおのれの老けように愕然とする。

ある日 要太郎 の部屋の荷物を 幸子 と片付けていて、偶然ダンボールの中から自分宛の手紙を見つける。
差出人は 柏木 だった。
何でこんなところにと、中を読むと 柏木 の恨みがましい最後の手紙だった。
何通も出した手紙をそのまま送り返してくるとは、実のないやり方だとか、約束の場所に行って半日待っただとか、これを投函したらきっぱり忘れるだろうとか。
「?? あたしは毎日郵便受けを見ていたのに…」

そのとき思い出したのだ。
あの頃 要太郎 が早退したり授業を抜け出したりと学校の先生に言われた事や、自分でも日中 要太郎 の姿を玄関先で見かけていたことを。
要太郎 が 柏木 の手紙を すが より先に郵便受けから抜いていたのか。

もっと、はやく気づいていれば…
いいえ、要太郎の気持ちはわかっていたはずよ。
そうよあたしだって…!!


男性客のひとり 吉本 は嫁の 幸子 を気に入っているらしい。
幸子の方もまんざらでもなさそうだ。
要太郎 は栄転して仕事が忙しく、出張続きで月の半分は家に居ない。
客が 吉本 一人の時、同窓会に行くと言って家を空ける すが。
着物を着、紅を引いている すが は幸子から見ても綺麗だ。
一人で映画を見てから、先生が具合が悪くて一晩付き添うとウソの電話をかける すが。

あなたにはあの男がお似合いよ。
これからは私がチャンスを作ってあげる。

あせらないわ。
私は待つだけ。
そうよ、今度こそ、幸福(しあわせ)をつかむんだわ……
要太郎 と二人だけの……



女の情念がとっても怖い作品。
最初に読んだときから私のお気に入りのお話です。
表紙を入れても30枚の作品なんですが、もっともっといろんな情景がいっぱいある、内容の濃い~作品なんです。

ストーリーも良い、絵柄も良いというか自分好み、という漫画作家さんはそうはいません。
私の趣味だとこの 一ノ関 圭さん と 萩尾 望都さん のお二人くらい。
もちろん他にも好きな作家さん、この方ならこの作品、というのはいっぱいあります。
でも押しなべてみんな好き、みんな素晴らしい、というのはこのお二人です。

一ノ関氏は、東京藝術大学油絵科卒 ということからもわかるように、デッサンは文句なし ! 抜群の画力の方です。
絵柄は、上の書影からは良くわからないかも知れませんが、初期には劇画の 小島剛夕氏 に少し似たような (でも全然違うんですけど) 劇画調の絵柄です。
しかし男性作家とは女性の表情などの描き方が違っていてとても繊細です。
じゃあ男性の描き方がそれほどでもないのかというととんでもなく、彼女の描く男性の背中にいつも 萌え~ しているトミー。おばさんです。 

実際にご覧になったらその素晴らしさに圧倒されると思うのに、寡作の上に最近はほとんどマンガ作品は描かれていない一ノ関氏。
絶版も多く、現在は古本がヤ○ーなどでも高額で取引されているものもあります。
この「らんぷの下」は割合求めやすいかな。

マンガではありませんが、
「江戸のあかり ナタネ油の旅と都市の夜 歴史を旅する絵本」(著:塚本学) 岩波書店 1990年2月初版発行 とか、
「絵本 夢の江戸歌舞伎」(著:服部幸雄) 岩波書店 2001年4月初版発行 などの新しいイラスト担当作品、というよりも合作作品もありますので、機会があればその素晴らしい 作品 を一度は見ていただきたいと思うのです。





       彼女の素晴らしさをもっと言い募りたいのに 語彙不足を痛感するトミー。


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阿仁谷 ユイジ 「テンペスト」

2011年09月19日 19時09分33秒 | マンガ家名 あ行


       ↑  ㈱講談社 KCx29ITAN 2011年8月5日 初版


阿仁谷 ユイジさんは BL(ボーイズラブ) 界で活躍しているマンガ家さんだが、この作品はBLではない。
初出は 「ITAN」 と言う漫画雑誌の零号~3号という。
知らなかったので調べたら、


2010年6月に「世界のはじっこを描き出す新しいコミック誌」をコンセプトとする「想像系新雑誌」をキャッチフレーズに創刊。

したらしい。新しい雑誌なんだ~。
作家さんたちも 乙ひよりさん、こなみ詔子さん、イシノアヤさん、ツナミノユウさん、会田薫さん、雲田はるこさん、アサミジョーさん、びっけさん、南国ばななさん、夏目ココロさん、群青さん、と私の知らない人も居るけれど、ちょっと気になる人が多いでないの。
取り寄せて読んでみようかしら。

   「ITAN」ホームページ →     ITAN


さて、この「テンペスト」意味は英語で 嵐 と言う意味だが、最近では 池上永一 の小説が原作で、今年 仲間由紀恵さん主演で舞台化され、又仲間さんの主演によりNHK BSプレミアムでドラマ化されたのを思い出す。
この話は確か女性が男性と偽って出世していく話だが、阿仁谷 ユイジ氏の話も性を偽ると言うところがちょっとこちらと似ている。

偽らざるを得ないんですよ。
何しろ時は西暦3992年、太陽系に発生した磁気嵐群の影響で地球上のヒト科のY染色体は絶滅。
残された女性達は、卵子同士での生殖に成功。
地球は女だけの新たな世界に生まれ変わった。
そんな中、主人公 姫 はたった一人の男性としてこの世に生を受けた。

この 姫ちゃん 現代の女の子よりよっぽど性格が女の子らしい。
好きな子 (もちろん女性) に献身的な愛を捧げているのに自分の秘密を告げられず、彼女の子供を産めないことを悩みに悩んでいる。
あっ、この世界では男性が絶滅したせいで人口が激減しており、出産は全人民の義務となっている。

まったく荒唐無稽な話でも有りません。
巻末の参考文献やら取材協力してくださった理学博士との取材マンガなども有り、うっかり信じそうなくらい本格的です。

BLでも他とちょっと違った切り口と、(たまに痛い) 可愛い絵柄で私を楽しませてくれている 阿仁谷さん の新境地のこのマンガ、実にSF超大作。
続きがとっても楽しみです。



    
        阿仁谷さんのBLは全部持ってるトミー。





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あすなひろし原画展

2010年07月16日 15時51分41秒 | マンガ家名 あ行
        ぎゃっ

私としたことが (私だからか) 痛恨の見逃し………。


あすなひろし原画展のご案内


終わってる。又やって下さいよ~~。


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蛇蔵/海野凪子 「日本人の知らない日本語」 及びその 2

2010年06月29日 09時41分21秒 | マンガ家名 あ行

           ↑ メディアファクトリー 1巻 2009/02/20  2巻 2010/02/19
              絵師の海野さんの名前でカテゴリーしています。   


 読みたかったんですよ。去年、今年の大ベストセラーですね。買おうかどうしようか迷っていましたが、

       満天さん

にお借りできました。しかも出たばかりの 2 まで。
途中途中に出てくる 「日本語テスト」 始めはふんふん、読み方もまあまあ、ところが後半からが分からん ! 
 ひぇ~こんな小難しい問題を日本語学校の 外国人 が解いているんだろうか !

 日本語を習っている外国人にも理解度が様々いるということがわかって安心しました。ホッ そうだよね、日本人は中学高校、大学まで英語習っていたってみんなペラペラではないしね。

 これは小学校高学年から中学生の 日本人 にぜひ読ませたい。もちろん大人だって為になる。まさに

      「日本人の知らない日本語」

 がいっ~ぱい出てきます。また実在なさっているであろう 個性的な外国人学生さん達 が強烈な方々ばかりで。キャラ立ちまくり、その国民性も伺われてそっちも興味津津で面白いんですが。

 やっぱりベストセラーになる本には理由があります。とても面白くて 日本人の為の知識 になる本でした。



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麻生 みこと 「路地恋花 -ろうじ コイバナ-」

2010年05月10日 10時37分46秒 | マンガ家名 あ行
 

             ↑ 路地恋花(1)アフタヌーンKC 月刊アフタヌーン・good!アフタヌーン連載 お借りしているのは 2010.2.5 初版

 いつも大量に ご本 をお借りしている ぶっくさん にお借りしています。 


 私は初めて読む作家さんです。「花とゆめ」 などで活躍していた少女マンガ家さんですが、最近は青年誌に描いている少女マンガ出身の方も多いのでこういうジャンル分けはもう無駄ですかね。
 この話も青年誌連載のようです。京都が舞台なのですが、京都大好きな私は京都弁を読んでいるだけでうっとり、まったり、ほっこり、お話はどうでも…

 とんでもないです。とっても素敵なお話ばかりです。各話1話か2話のショートストーリ仕立で、京都の路地に住む若者たちの恋愛模様。。。。
 一括りに言うとなんて味気ないんでしょ。モデルになった 実在の京都の路地 の話題を N○K かどこかで見ました。もちろん内容は別物ですが、出てくる人たちが皆何かを造っている職人さんという所は同じなのかな。

 ナオミちゃんという京都ジモティ人が出てくるんですが、まだ若いのに京都の人の考え方が垣間見えて面白いです。京都府民でも 上京・中京・下京 以外の人は京都人といわへん、とか (嵯峨野の美人は京都人とはいわへんらしい) 50~60年くらいの商売では 老舗 といわれへん、とか。(笑)
 他の人の言動も京都の人らしくて笑えます。ちょっと江戸っ子の考えとも似ていると思ったりして。

 まだ1巻しか出ていなくて、2巻が待ち遠しいです。またまた続きが楽しみなマンガを見つけてしまって、いや紹介してもらっちゃって。じりじりするものが又増えてしまいました。(笑)



 
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浦沢 直樹 「MONSTER モンスター」

2009年07月13日 19時35分52秒 | マンガ家名 あ行

    ↑ ㈱小学館 ビッグコミックス 1~18巻 1995年8月1日~ 初版

 満天さんからお借りしています。 満天ブログ → 小人たちが笑う部屋

 連載中はちらちらと見ていた程度で、その頃から重厚過ぎて連載でブツブツ切れたものを見てもきっと良さの伝わらない作品なんだろうとは思っていました。最後の方、ちょうどまるまる18巻の頃は、大作がラストを迎えるというので私なんぞでも連載中の雑誌を立ち読みとかしてみたが、前の話を覚えていないしなかなか決着がつかないので立ち読みもやめたような記憶があります。
 この方の作品は決着がついたところで一気読みですよね。(偉そうに言う)

 偉そうといえば浦沢作品にはディープなファンもいっぱいいらっしゃるので、解説や感想などはそちらにお任せするとして、この中で個人的にぐっさり来た事をここで書いてやろうと読んでる最中は思ってました。
 
 1巻の前半で、高慢な病院長の娘がこともなげに言う言葉

「人の命は平等じゃないんだもの」

 はい、私たちはわずかなお金のワクチンが打てずに日に何百人と子供たちが死んでいく国があることを知っています。飢餓で死んでいく子が今だ地球上にいることも知っています。
 でもそれは私たち普通の日本人にとっては言ってはなんだけど、TVの向こうの出来事。この 「MONSTER モンスター」 という作品が始まる1980年代のドイツでは、そんなことありませんよね ? ましてや今の日本では。

 私の だんな は去年と今年ガンの治療の為入院の必要があり、大病院の空きベット待ちをしました。両方とも1ヶ月以上待たされ、特に2度目の時は再発ということで、こちらも精神的に辛く、差額ベッド代の比較的安いものでなくて料金の高い部屋にすぐに入ってしまおうかとか、いろいろ考えてしまいました。

 もちろん、1度目の入院の時には素晴らしい先生に手術をして頂き、肺活量が低下して走ることはできませんが、仕事にも復帰してゴルフを楽しむ以前の生活に戻れました。2度目の時もラッキーなことにガンの数値というんでしょうか、高いと思っていたものが低くなり、化学療法もせずに短い入院で家に帰ることができました。

 でも、ガン数値が高いままで待っている間にどんどん悪くなって行ったら ? 実際1度目の時は待っている間に医者が思っていたよりも肺に出来たガンが大きく育ってしまっていました。
 大きな良い病院で、1日3万円や10万円の部屋もあるところです。そういう部屋ならすぐに入院出来て、すぐに検査を受けられて、すぐに手術や治療が受けられるの ? 庶民はそう思ってしまいますよね。実際そうなんでしょう。
 
 それでも 国民皆健康保険 を唱っている日本はまだ良い方です。アメリカ・ハワイに住んでいる姉の話を聞いていると嫌な言い方ですが、医者にかかるのもリアルにお金次第なんだそうです。
 大体健康保険という考えがない国もあるでしょうからね~。まだしも日本国民でよかったと思わないといけないのでしょうか。こういうことは知識として知っていても、実際身近に経験してみないと胸の深い所に響いてきませんね。

 ところで、この言葉は始めの方に出てきて、言っているのもさして作品中重要と思われなかったお嬢様で、その傍若無人な性格を表すだけのセリフかと思っていると、ずっと後でまた出てきます。しかもこのお話の深い所を突いているのです。
 読者はあとで気がつく事になるのです。これが重要な主題だったのかと…。浦沢さん凄い。
 この言葉と対をなして語られる言葉が又、真理過ぎて嫌になる。

もう一人の主人公、ヨハンの言葉

「誰にも平等なのは 死 だけだ」


                                


  「MONSTER モンスター」 の主人公である ドクター テンマ は後から搬入された市長の手術より、先に搬入された 男の子供 の手術を院長に逆らって行い、結果的に立場を悪くしてしまいます。(これはまだ事件の始まりでしかないのでこの後いろいろあるのですが) 話が進んでもテンマの正義感は揺るがずに読者は彼に肩入れせずにはいられません。
 又、ストーリーも読者が途中であ~じゃないか、こ~じゃないか、やっぱりこうだろうな~、いやひょっとすると、と推理出来て大変面白かったです。まとめ読み出来て良かった、満天さんありがとう !

 
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今 市子 「僕は旅をする」

2009年06月11日 10時08分41秒 | マンガ家名 あ行
 
 ↑ 写真は 「僕は旅をする」 が収められている文庫版コミック 「砂の上の楽園」 

 今 市子さんの初期短編が絵柄、お話共に好きなのは以前言ったが…。

 → マンガ家の絵柄の変わる時 今 市子 


 今さんは近年もっとも好きな作家さんのお一人ですが、BLものもいいけれど初期の短編が絵柄、お話共に好きな物が多くて。もちろんBLの長編も好きなんですけど、長編だと作者の性格なのかあれもこれもと話が枝分かれしたり飛んだり、登場人物も多くなって収拾がつかなくなりそうになることが多いみたい。
 それでも最後は上手くまとまるのはさすがですけど。

 初期短編というと、1993年デビューの今さんだと同人誌時代の 1991年 「ユディトの帰還」 (Ⅱものちに読みました) 「神々の花」 1992年 「夜の雫」 を除いて2000年までとしても、

1993年 「マイ・ビューティフル・グリーンパレス」 コミックイマージュ
    「夏服の少女」 眠れる夜の奇妙な話以下 ネムキ 「GAME」(1993年-1996年 Xi ザイ」 「図書館で会いたい」 コミックイマージュ 僕らの季節(1993年、コミックイマージュ)

1994年 「僕は旅をする」 ネムキ 「懐かしい花の思い出」 ネムキ 「眠りにつく前牛乳を」 ネムキ 「六月病」 コミックに描き下ろし ちょいBL趣味 「昼の月」 ネムキ 「精進おとしの客」 (のちの百鬼夜行抄に繋がるお話) ネムキ 「へんなやつら」(1994年、コミックイマージュ)

1995年 「百鬼夜行抄」 連載中、ネムキ 「五つの箱の物語」(1995年-1996年、小説イマージュクラブ 「花曇り(1995年、コミックイマージュDX、白夜書房

1996年 「笑わない人魚」 COO 「文鳥様と私」 あおば出版 「雨になればいい」 ネムキ 1997年 「青髭の友人」 COO 「夜の森の底に」 ネムキ 

1998年 「真夏の城」 COO 「砂の上の楽園」 ネムキ 「赤い袖」 ネムキ

1999年 「真夜中の食卓」 ネムキ増刊

2000年 「沈黙」 ネムキ 「遺影がない!」 ネムキ増刊・大ピンチ!

 2000年までの作品で私が読んでいるのはこのくらいか。あと、私が読んでいないのは以下のものなど。

青少年のための少女マンガ入門(3) より
「ファミリー・ブルー」雑誌「メロディ」(白泉社)掲載、単行本未収録
「DREAM AWAY」(86年作品。ネムキ99年10月号増刊掲載、単行本未収録)
「Walts」(86年作品。ネムキ99年10月号増刊掲載、単行本未収録)
「木の下闇」(94年作品。ネムキ99年10月号増刊掲載、単行本未収録)

 読んでいるものの中では、掲載誌の関係かちょっと怖かったり奇妙なお話が多いのだけど、その中でも私のお気に入りは 「眠りにつく前牛乳を」 と 「僕は旅をする」 のふたつ。
「僕は旅をする」 はTVの「世にも奇妙な物語」にて稲垣吾郎主演で映像化されたので覚えている方も多いかな。
 
    ウィキによるTV版記事はこちら → 「僕は旅をする」

 どちらもシンプルなお話ながら見えない怖さ、なんだかわからない恐さ、で大いに恐い。

「眠りにつく前牛乳を」 
 ある大学の古い学生寮では七不思議がまことしやかにささやかれていた。僕はある日部屋のドアの外から 「牛乳をください。」 という声を聞く。
 毎晩あげているうちにお返しに美味しいお酒をくれるようになった。姿の見えない何者かに寮の皆は面白がって牛乳と空き容器を並べ、酒をもらうようになる。ある日ぱったりくれなくなり…。


「僕は旅をする」
 弟の克也は旅行に行くと言って家を出た。しかし何時間もしないうちに踏み切りで事故に遭い首のない死体で家に戻ってくる。姉のひとみは弟が死んだことに実感が持てない。ところが克也が死んでいたはずの時間に言っていたのと違う旅行先の旅館に泊まっていた事がわかり、真相を知ろうとひとみは克也を追いかけて旅に出かける。
 ひとみは生きている克也に出会えるのか、克也はなぜ皆に嘘を言ってまで旅に出かけようとしたのか…。

                             

 ハリウッドが作っていたホラーは怖いというよりグロでとても好きになれない。恐れる者の正体がはっきり分からない方が恐怖は倍増する。他の人のホラーマンガでも正体が分かると面白みが半減する。日本的なホラーが近年欧米でも評価が高いのは、人間誰でも分からないものの方が怖いと見える。

 今さんが不思議で怖い物語を作り続けることができる秘密を少し。

2009年01月10日asahi.com 今市子さんの記事 → asahi.com:【9】漫画家 今市子さん-マイタウン富山

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マンガ日本の古典 1 「古事記」 石ノ森章太郎

2009年05月15日 16時18分02秒 | マンガ家名 あ行
          ↑ 中央公論新社 1996年6月1日 初版 文庫版


 マンガ日本の古典シリーズの栄えある1巻目、「古事記」 を描いているのは 石ノ森章太郎先生。「古事記」 の中でももっとも面白い 「上巻(かみつまき)」 いわゆる 日本神話 を描いています。

 石森氏の歴史ものというと、私は 「マンガ日本の歴史」 をディアゴスティーニ出版の、本の上半分だけマンガという縮小版で持っていますが、この 「古事記」 はそれを描き終えた直後のお仕事らしい。

 作者あとがきによれば、
  「マンガ日本の歴史」 全55巻を終えた直後、ということもあり、「古事記」 上巻は気の楽な仕事となった。 
 と有る。
  - 日本の歴史の方は - 分かっていることだけでも、出来るだけ正確に、ミスリードは許されない、という当然のプレッシャーも、予想以上に大きかったようだ。  - 中略 -  歴史はマンガ的ではあっても、マンガではないからだ。マンガ的につられて、マンガ家的発想を展開し、本当のマンガにするわけにはいかない。
 そう そこへいくと 「古事記」 上巻は、確たる原本が存在するとはいうものの、自由に『マンガ家的発想』で処理が出来た。なにしろ
 幼少のみぎりから慣れ親しんできた、楽しいムカシバナシの世界、である。そのムカシを思い出しながら、大いに楽しんだ、というわけである。もっとも
 苦労が全然なかったわけではない。中でも最大の苦労は……、「古事記」 上巻そのものが、すでにおおいなる マンガ だったことである。


 うふふ、石ノ森先生らしい文章。読んでみると本当に楽しく描いてあるのです。 
 アマテラスを天の岩戸から引っ張り出そうとして踊る、アメノウズメのストリップの色っぽいこと。ヨモツヒラサカでのイザナギ・イザナミのホラーや、スサノオノミコトとヤマタノオロチとの大活劇や、途中ミュージカル風にヒーロー・ヒロインが歌いだしたり。 (なんと原作もそうなっているそう) 
 良く知っているおとぎ話や、あら、ほんとはこんな話だったのね、というオオクニヌシノミコトの話など、これなら小学生から大人まで、読んで聞かせれば幼稚園児だって楽しめます。
 絵本ではなく一度通しで日本神話をちゃんと読みたい人は、難しい漢字の神様が並ぶ現代語訳より、これを見た方が手っ取り早いと思われます。(笑)

 1998年(平成10年)1月28日亡くなっているので、1994年作のこの作品は亡くなる4年前の最晩年時期の作となります。もっともっと描いてほしかった…。ファンは誰もそう思ったことでしょう。

 

コメント (6)
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