猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

いがらし ゆみこ 「とはずがたり」

2009年04月23日 11時14分17秒 | マンガ家名 あ行

     中央公論社 「マンガ日本の古典-13」 1995年5月25日 初版


 一読、物語に引き込まれて面白く読んだ。最後に来て、これ本当にあった話か~ ? と自分のあまのじゃくが頭を持ち上げてくる。ちょっと調べたら、やっぱり

「作者 御深草院二条 の告白という形だが、ある程度の物語的虚構性も含まれると見る研究者もいる。」 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

 と有るじゃないの。やっぱりね~。原作は鎌倉中期、京の朝廷で後深草院に仕えた女房二条の14歳(1271年)から49歳(1306年)ごろまでの境遇、後深草院や恋人との関係、宮中行事、尼となってから出かけた旅の記録などが綴られている。

 今で言えば女房という仕事を持っていたとはいえ、深窓の令嬢である貴族の娘が尼になった後、当時は男でも大変だった一人旅で、熱田神宮・鎌倉・善光寺・浅草・伊勢・厳島などまで足を延ばしている。
 前半部分は後宮にいた女性の日記として信憑性が多少あるとしても、出家後の旅の部分は創作か男性の経験を書いたものか。


 それはともかく、昭和15年まで知られていなかったというこの原作を 「キャンディ・キャンディ」 で有名なマンガ家 いがらし ゆみこさんが描いているというので興味を持ってE-ブック○フで買ってみた。

 実はいがらしさん、くだんの「キャンディ~」 からして読んでいない、私にはお初の方でした。私のマンガ読み時期と 「キャンディ~」 の連載時期がずれているからなんですが、その後もこの人の作品に縁がなくて見たことなかったですね。
「りぼん」や「なかよし」という比較的低年齢層が対象の本で描いていたからでしょうか。後ではレディースコミック誌や女性誌などでも描いてらっしゃるようですが。

 いがらしさんの絵ということで、絵柄は可愛らしい少女マンガ、内容は昼ドラ真っ青な愛欲入り乱れる王朝絵巻となっています。(笑) 
 あっ、でも違和感あるというんではなくて、貴公子は華麗に貴公子らしく、女房は雅な女房らしく、この恋愛絵巻物にぴったりな雰囲気がとても良かったですよ。
 小道具の類も良く調べて描かれているのが分かる。 (当り前ですが) 見ていて飽きないです。

 同じ 「とはずがたり」 を原作とした『後宮』講談社 海野つなみ 全5巻 がもう完結しているので比べ読みが楽しい。私はまだ最終5巻を読んでいないんですがね。

 以前の記事  → 海野 つなみ 「後宮」


 ところで、いがらしゆみこさん、と言えば避けて通れない 「 キャンディ・キャンディ著作権裁判」 というものがありますが、私も詳しくは知らないのでここでは言えません。
 が、一世を風靡した作品が講談社版の単行本は絶版、中央公論社の文庫版も1999年1月に絶版となっているし、アニメーション作品の再放送とビデオ・DVD化などが不能、なのはいかにも寂しい。
 また、古書を買いたくても一時ほどではないものの、 密林 や まん○らけ で高額で出品されているのを見ると昔のファンはがっかりでしょうね。どうにもならないものなんでしょうか。


     「日出る処の天子」 のチェリッシュギャラリーのイラスト集の再販を待っているトミー。


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今 市子 「萌えの死角」

2009年04月03日 10時31分08秒 | マンガ家名 あ行
 
     ↑ 日本文芸社 発行年月 2008年12月 ニチブンコミックス KAREN COMI


          萌は100人100様ということよね~。


 分かっちゃいるけど 「百鬼夜行抄」 などで今をときめく人気作家の 今 市子さん の場合だって~ ? どれどれ、興味津津。

 エッセイマンガなので、創作の物語ではありません。自分及びご友人方の 「主にBLの萌えツボ」 を語ってらっしゃいます。
 今さん、何度も 「私はハードな方じゃない」 みたいなこと言ってますが、確かに感覚が中年以上の私に似ていて、わかる、わかる。でも、う~んここまでは私も萌えんぞ、というところもあり正に萌えは人それぞれ。(笑)

 ピーター・フォンダ の所は懐かしかったです。映画 「イージーライダー」 は私の青春映画ベスト3内なので。そうか~、セツ・モードセミナーの長沢 節氏の萌えは ピーター だったのね。(笑) 今さんの長沢氏のイラスト激似です。

 バレエ関係の記述も多いです。映画 「リトル・ダンサー」 のラストの男子白鳥の アダム・クーパー から、私の好きな ルドルフ・ヌレエフ 写真はこちらマーゴット・フォンティーン 写真はこちら、ジョルジュ・ドンについても。もっと描いて~。

 日常にこんなに萌えを見つけられたら楽しいわ。現実は厳しいことが多いのだから、自分なりの 萌え を見つけて密かに楽しんで何が悪い ! いえ、ちっとも悪いことなんかないわ、皆さんどんどん萌えましょう 
 私は俳優やアニメキャラより近所の仔犬ちゃん止まりですけどね~。(これを萌えと言えるのか?)
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羽海野 チカ 「3月のライオン」

2009年03月10日 15時40分48秒 | マンガ家名 あ行
     ㈱白泉社 1巻 2008年3月5日第一刷 2巻 2008年12月5日 第一刷 まだ 「ヤングアニマル」誌 連載中です。


 昨年 (2008年) TVドラマ化もされた大ヒット作 「ハチミツとクローバー」 の作者さんですが、私この方の作品、初めて読みました。(本当に最近の少女マンガ作家さんには疎くて…汗)
 おばさんである私にはちょっと、 「ハチクロ」 は触手が動かなかったのですが、これはネットでも大変評判が良く、掲載誌も 「ヤングアニマル」 という青年漫画雑誌なので読みたくなってコミックスを購入。

 吉田 秋生氏の 「海街diary シリーズ」 と似ていると感じた点については以前 拙記事 → 吉田 秋生 「海街diary シリーズ」 の中で書きましたが、じゃ違うところは ? ストーリーは全然違うのはわかってますが。

 
           




           

 二つを鏡台の横のアクセサリー入れの上に積んで置いたら、気がついちゃいました。小口 (本の上下、横の切り離しのところ) の違いに。
 写真では暗くてよく見えないかな、「3月」 の方が黒いんです。枠を超えた描き込みが多いんです。大体コマを分ける白枠の極端に少ない方なんですね。

 フキダシ内以外の手書きのセリフも多くてあちこち読んで、ニャーたち (飼い猫が3匹くらい出てきます) の動きも目で追ったりしていると凄い情報量です。一見ごちゃごちゃっとしていて読みずらそうですが、そうでもないのは3姉妹の家庭内が明るく描かれ、羽海野氏の可愛い絵柄が生きているからでしょうか。

 反対に主人公 桐山 零 の心象を表現するような夜の場面は墨を流したような川辺の暗い描写が多くて劇画タッチの 違うマンガ みたいです。実は、たぶんこちらの話や表現が描きたかったのかとも思うのですが、氏の意欲作になりそうです。

 お話は。。。。

 将棋のプロ、棋士のお話です。私は全く将棋が分からないので、だんなにところどころ聞きながら読んでいます。私の知っている棋士といったら 羽生善治名人 とか、昔 「おゆき」 という演歌を歌っていた 内藤 國雄九段、 谷川浩司名人とか この作品の中で主人公のライバル (親友?) として登場する人物のモデルとなっている 村山 聖(さとし)九段 (死後追贈) 丸顔の大山康晴(十五世名人)、米長邦雄(永世棋聖)といった超有名どころくらいかな。

 だんなは同年齢の男子が一般的に知っているくらいの将棋の知識はありますので、マンガに出てくる他にも ●●杯は●●新聞社の主催だよ、とか竜王戦は一番賞金が高いんだ、とか 羽生さんは年末に竜王戦に負けちゃったから今 永世六冠 とか教えてくれます。

 この作品の中でも、将棋を知らない人に分かるように表現してくれる場面や、作中の将棋監修を務める 先崎 学八段 のコラムなどで分かりやすい説明があります。良く知らない私でも十分面白い作品ですが、もう少し棋譜が読める知識があればもっと面白いでしょうね~残念です。

 お話は高校生のプロ棋士 桐山 零君 の成長物語になるんでしょうが、一七歳なのにここまで来るのに普通以上の体験をしています。今は家族もなく一人でプロ棋士として戦い、高校でも友人もなく一人で昼食を食べるような毎日。
 しかし、偶然知り合った三姉妹と触れ合い、棋士仲間のライバルの熱い友情を鬱陶しく思い、お節介な学校の先生に構われながらも成長して行ってるようです。
 まだまだ連載が続いていますので、今だ作中では由来の出てこない題名の話なども楽しみに続巻を待っているところです。

 でもね~、先崎 学八段 のコラムでは題名の由来ばらしてるんですよね~。先生、コミックス内のコラムとは言え、それはないんじゃない ?


  羽海野 チカさん 公式HP
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倉科 遼 (作), 井上 紀良 (画)  「夜王」

2008年11月17日 10時39分54秒 | マンガ家名 あ行
          集英社刊 1巻から22巻まで既刊。原作は週間ヤングジャンプ連載中です。

  「やおう」 と読みます。一昨年でしたか、TBS系列で TOKIO の松岡昌宏君主演でTVドラマにもなったのでご存じの方も多いかも。

 物語の始まりはマンガにはよくあるパターンで、(特にBLとか ?) 北海道から東京には出てきたものの、思うようにはいかず雨に濡れて自暴自棄になっていた 遼介 を有名デザイナーの 麗美(れみ) が拾ってそれがきっかけで新宿で一番のホストを目指す。。。という、書いててもなんだかな~という1巻。
 BLの名作、新田 祐克氏の 「男が男を愛する時」 シリーズの「ナイトキャップ」の中でのカリスマホスト岩城と鷹秋出会いのエピソードも、もろこんな感じだったし。(男同士だけど)
 
 ところが、その後も容易に展開が予想できる話にも関わらず、どんどん読みたくなる不思議なマンガ。ホストというちょっと覗いてみたくなる世界と、次から次から起こるエピソードの展開の速さ、時折ちりばめられる人生のリアルな姿、などが興味を引きます。
 ライバルホストと争い、最愛の女には死なれ、歌舞伎町の抗争に巻き込まれ、中国マファアと闘い、これでもかとてんこ盛りの内容なのですが、基本的にはいつもハッピーエンドでその 編 が終わります。
 予定調和というか大衆受けというか、原作者も全部わかってて読者の気に入るように一つ、あざとく作ってみましょう、というのがわかるが、それでもはまってしまう。

 なぜにというに、基本安心していながら、経過をハラハラドキドキ読めるのもマンガの楽しみだと思うのですよ。ハリウッド映画はハッピーエンド、とラストがわかっていても十分楽しく見れるものでしょ。
 それに 太閤秀吉 の昔から日本人は底辺から成りあがる話が大好き。現実には自分でできないことを主人公に投影してその世界で成りあがっていく過程を楽しむ。。。
 上がった後の展開が難しいんだけどね~。「太閤記」 は天下取ってから詰まんなくなる。これは店のNO.1ホストになった後も新宿の中でとか、店が他の都市に出店してとか、やくざの世界が絡まってとか、舞台が変わっていって飽きないようになってる。

 それと女性読者としては、最初のエピソードである経験豊か、功なり名遂げたしかも美人デザイナーが若いホストを育てあげるってのも自分ではできないことをマンガで読ませてもらえて楽しいのです。
 男性目線では、源氏物語の紫の上やマイフェアレディのイライザなど、ピグマリオン物語はいっぱいあります。女だってやってみたいよね。

 井上 紀良氏の絵は、池上遼一風(まんまの脇役もあり)をちょっと可愛くしたような主人公は魅力的なんだけれど、脇役や女性の表情が乏しくて。。。写真をそのまま描いたような顔もあるし。
 特に女性の描きわけが難しいらしくて、脇の子がみんな同じに見えちゃう。おっぱいボーン、ウェスト細すぎ、若くて美人の客ばかりじゃないでしょ ! とか、こんな胸出して素人の子が夜の新宿歩かないよ、とか女性読者には突っ込みどころ満載です。男性向けの作品ですからそれはしょうがないか。
 少女マンガの男性読者だって反対のこと思っているんでしょうねぇ。現実にはこんな王子様はいないよって。

 H描写も在りますが、そんなに目を背けたくなるほどではないです。あっ、私はBLで鍛えられちゃってるからね~、参考にならないかも。(笑)
 週間ですから、アシスタントの方も大勢いるんでしょうが大変なんでしょう、コピーも多用しているようです。でも全体には女性にも拒否反応のない程度に読める絵柄だと思います。

 週間連載のこのマンガ、今コミックス22巻目なんですが、何巻まで続くんでしょう。1~2巻をBOで立ち読みして気にいって3巻から何冊か中古を買ってみたんですが、実はちょっと途中で飽きてきちゃって、最期まで私はこれを読めるんだろうか。



 光源氏くらいお金があってもホストを育てたくない ?  トミー。

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マンガ家の絵柄の変わるとき 今 市子氏

2008年10月23日 12時25分13秒 | マンガ家名 あ行
              ↑ 今市子氏初期作品の文庫と百鬼夜行抄文庫1~3巻

 私は 今 市子氏 の昔の絵柄が好きで、もちろん今の絵も好きなんだけど初期の頃はもっと少年マンガ的なというか

 雰囲気がなんか往年のマンガ雑誌 ガロ っぽいんですよ。

 目も前の方が大きかったし。 (単なる自分の好みです)

 それがいつ頃から今の流れるような柔らかい絵柄に変わっていったのか、自分の持っている文庫をつらつらと眺めてみました。実はじっくり読み返していたら、絵柄の違いなんかどうでも良くなること数回、はっこりゃいかんと眺め回すこと数回。持ってる今さんの本を片端から再度読みふけってしまっていつまでたっても検証など出来ない…。
 何ヶ月も前から記事にしようと思っていたのにすっかり時間がかかってしまいました。

 初期作品集である文庫 「懐かしい花の思い出」では、全作私の好きな絵柄なんです。同人誌発表の 1991年「ユディトの帰還 Ⅰ」とか、1993年「ユディトの帰還 Ⅱ」なんか短いけれど話も面白くてコメディになってて私のお気に入りです。今の 今さん のBLの造り方はこんな感じかな。これ自体はBLじゃないですけどね。

 絵柄は描き込みが多くて、アマチュアだからあまりスクリーントーンも使わず、暗っぽい雰囲気だけど文庫になってさえペンタッチが分かる様なところが頼もしい。今さんが好きな 変な柄のシャツ もこの頃はいっぱい出てきて楽しい。
 ここには書影写っていないけど、やはり同人誌発表の 「いとこ同士」 とかその続編2編もペンタッチが好きです。作者中書きで 今さん が続編2つはカーボンペン (万年筆にカーボンインクをいれたもの)で描いてるとおっしゃってました。独特のタッチが気に入ってたとか。私が好きなのもそこらへんかも知れない。
 1991年7月同人誌発表の「人魚の破片」までさかのぼるとまだ描きなれていないのか荒っぽいペンタッチでしかも暗すぎてさすがに私も大好きとはいえない。デッサンはもう凄くうまいんだけどね。

 さていつまでたっても本題に近づけない私、長期連載物の 「百鬼夜行抄」 なら違いがよりよく分かるんではないかと今度は やはり文庫で持っている この作品を取り出しました。 
 1巻目の1話はまだまだ私の好きな暗っぽい絵柄。よしよしこれを読んでいけばいづれ徐々にでも絵柄が変わるときが分かるだろう、と期待して読み進んでいくと…。
 わーー、またしてもお話に引き込まれて絵柄なんてどうでも良くなってずっぽり百鬼の世界にはまって耽溺読みしてる自分。ダメじゃん私~
 
 心を鬼にして (?) ぱらぱらと見ていると、1巻中はなんとなく昔の絵柄が残っているような気がしてきた。まったく同じというわけではないけれど、作品の内容もあるのか暗い感じでペンがカキカキしてる感じ。
 それが文庫の2巻は初めの 「水蓮の下には」 から今と変わらない感じがする。これが出たのは1996年のネムキ5月号なので、ここいらあたりが分岐点なのか ? 
 同じ1996年発表の 「砂の上の楽園」 では衣服の表現など現在と同じ流麗な線となっているのでやはりここいら辺が過渡期なんだろうか。

 もちろん、ガラリと意識して変えてるわけじゃないから徐々に徐々に今の絵になっていったんでしょう。ペンもずいぶん自分好みのを試行錯誤したんでしょうね。
 で、今の 今 市子氏 の表現があると。昔の絵柄は今描こうとしても描けない、とは大御所始め長年マンガ家さんをやっている方からよく聞きます。でもね~、それでも今さんのちょっと硬い感じのする昔の絵が好きな人もいるってことで。本当は又見てみたい気がします。

 こんなこと探しもファンにとっては面白いと思います。皆さんもご自分の好きな作家さんでやってみたら ?

       さて、安心して百鬼の続きを読もおっと~。


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今 市子 「岸辺の唄」 「雲を殺した男」 「盗賊の水さし」

2008年10月06日 17時46分31秒 | マンガ家名 あ行
 ホーム社 アイズコミックス 今 市子 「岸辺の唄」 2002年5月初版 「雲を殺した男」 2005年3月初版 「盗賊の水さし」 2007年4月初版

                  満天さんにお借りしています。

 水を巡るオリエンタルファンタジー「岸辺の唄」シリーズ3冊です。もとはアンソロジー本「幻想ファンタジー」掲載作品を集めて単行本になったもの。ですから3冊で15編くらいでしたがここまで集まるのに何年もかかっています。その上掲載誌が休刊という事件もあったそうで、 イメージを変えずにぽつぽつと描いていく、というのは大変だと思うな。一気に読んでも違和感がありません。登場人物もあちこち絡んで複雑で、よく前を読み返したりしました。
 今回が全部初見でなくて、マンガ喫茶で以前「岸辺の唄」1冊だけ読んでたり、BOで掲載誌から1話だけ読んだりしていましたが、3冊読む方がもちろん世界観がまとまって楽しかったですね。

「岸辺の唄」のあとがきで作者が 『インチキファンタジー大好き』 と言ってる。『インチキだから時代考証要らないし、ファンタジーだから何でもあり』とドラゴンの絵が (笑)
 前に私、お手軽ファンタジーが嫌いなわけ。 なんて言ってましたが、こういうファンタジーは好きなの。(一貫性の無さを露呈)  


 このシリーズは、中国 中原の砂漠の都市国家の 水乞いの儀式 を主に題材にしている。実際にあったかどうかファンタジーだからわからないが、ありそうな話ではある。
 シルクロードとかウィイグル地区のトルファンとかカシュガルとかの単語が頭に浮かび、N○K某番組を思い出させる。
 普通中国と言って思い浮かべる地理的、歴史的背景からは別の気候風土、文化、宗教を異にした、独特な世界が構成されている砂漠地帯。だからちょっとファンタジー入っていても納得してしまうのか ? 

 水乞いの少女たちは途中幼い少年の姿をした 河伯(かはく) に出会う。河伯って日本で言う 河童(かっぱ) のことだと思っていたら、ウィキペディアで調べたら違うんですね~。中国神話に登場する黄河の神なんだって。

 河伯 → 河伯(Wikipedia)

 でも自分が3冊の中で好きな話は、水乞いの話でなくて大きな川のそばの町の話である 「赤い旗」 と 「盗賊の水さし」 の表題作で水の無くならない水さしの話だったりする。(笑)

 連作の中で決着のついていない話もあるのでまだまだ続くようです。あと何年で完結するのか、他の 今 市子作品 同様気長に待つことに致しましょう。
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秋里 和国 「スイート オアシス」 1~5巻

2008年07月24日 13時37分28秒 | マンガ家名 あ行
 小学館 プチフラワーコミックス 2007年2月20日 初版~

 ラブコメからBLまで多彩な作品を長年描いているベテランの最近の作でプチコミックで連載されていた作品。コミックスは1~5巻で終了しています。
私この方の今の絵が好きなんです。一時顔が馬面になったり、改名 (秋里和国弐 読みは同じ あきさと わくに) したり色々あったようですが、最近は益々すっきりと洗練されてきていますね。目の表情とか微妙で上手いです。これの前作になるのかな、「プチエゴイスト」 もラブコメ爆発で面白かったけれど、これは又ちょっと大人の雰囲気でしっとりして、ちょっと怖いところもある。この人のシリアス路線マンガにはいつも 死 の影がちょろっと出てきたりする。

 お話は…。

 元パイロットの渋い中年紳士とその息子二人にそれぞれ愛され、翻弄される美しい娘。。。と、いうなれば少女マンガ王道の設定ですが、そこに大人のスパイスを振りかけ、マンガという都合の良さを要所につき混ぜ、セクシーシーンもちらちらと挟んで中々に読ませてくれるんです。
 主人公はファザコンでお人形のように可愛い21歳の女の子。パイロットの父と母と姉と暮らしていたが、父が死んでからは母の再婚相手に母、姉ともに不幸にされ、自分にもそれが降りかかってきて、物語の始めの頃はいつも死にたいと思っている。
 それが3人の個性の違う男性に愛され、あっちにふらふら、こっちにヒレハレとはっきりしないことおびただしい。読んでいて、だから誰がいいねん ! とちょっとイラッと来るところも 少女マンガ(レディコミだけど) の常等手段か。

 それが4巻くらいから謎解きが始まって納得するところも多いのだけれど、謎がわからなかった頃の方が面白かったというのは読者の勝手か。
 また、最後の終わり方があまりに途中過ぎて余韻を残したかったのか、ほんとに打ち切りになっちゃったのか私にはよくわかりません。作者あとがきでは納得した終わり方のようなのですが、もう少し親切でも良いかも。

   閑話休題

 3連休はしばらく来れないかもと、軽井沢で夫婦で元気にゴルフしていたのに今日から会社という22日夜中から自分が体調を崩し、2日間家で唸って寝てました。
 ストレスによる腸の機能低下と婦人科系の持病のダブルで、今までにないお腹の痛さでまいりました。今は少し良くなり会社にも出社しています。人間50を過ぎると男も女もいろいろ来ます。

       皆様もこの夏をどうぞ元気に乗り切ってくださいませ。
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思い込みの激しい青少年たち 大島 弓子

2008年07月07日 18時01分42秒 | マンガ家名 あ行
 写真は1975年から1981年にかけての 大島 弓子氏 初期の作品群たち。 夜さん にお借りしています。40歳台の元マンガ少女達には涙なくして見られないコミックス達かも(大げさ)この時期のでここにないのは 「野イバラ荘園」 くらいかしら。「シンジラレネーション」なんてのも無かったっけ ?


「誕生 !」 1975年1月25日 初版 高校の友達に子供が出来ちゃって。当時としては問題作。

「ミモザ館でつかまえて」1975年1月25日 初版 木原 敏江氏のフィリップ登場

「ジョカへ………」 1975年8月1日 初版 これは8版 こんなお話だったんだ。

「ポーラの涙 ペールの涙」 1975年9月20日初版 記念すべきデビュー作 「ポーラの涙」を収録。

「F(フロイト)式蘭丸」 1976年9月25日初版 

「ロジオン ロマーヌイチ ラスコーリニコフ」 1976年9月25日初版 これは4版
原作 「罪と罰」 おおや ちきちゃまゲスト出演しておりました。

「いちご物語」① 1977年3月30日初版 ② 1977年4月5日初版 

「バナナブレッドのプディング」 1978年7月10日 初版 名作と名高かったので、今回楽しみにしてましたが、期待が大きすぎたのか、はたまた私が年を取りすぎてしまったのか…。どっぷり浸かるにはキツイものがあった。

「四月怪談」 1981年5月1日初版 この写真の中で一番気に入った作品、表題作がありました。はっきりとしたハッピーエンドと言うのが気に入ったのかも。


 全て私には初見のコミックスで、1975年頃と言えば、自分は20歳を何年か超え、少女マンガからは離れていた頃なのです。大島 弓子氏をもう一度読み出すのは、多くの人がそうであるかも知れないけれど、1978年LaLa5月号掲載 「綿の国星」 からでした。しかもコミックスになってから。
 
 それはさて置き、またまた貴重なコミックスを 夜さん からお借りして、実はひとつひとつ拙い感想を書き、自分の持っている大島氏のコミックスも交えて 大島 弓子祭り をやってみようと目論んでいたのですが、現実は頓挫してしまいました。

 身辺が忙しくなって来たのもそうですが、とにかく読むのだけでも疲れてしまった…。以前やはり夜さんにお借りして28冊一気読みした 西谷 祥子氏 のコミックスのときとは同じようで、又違う疲れ。
 西谷氏のは自分の末っ子の日記をこっそり読んでいるような気の重さ、大島氏のは友人の子供の自費出版の詩集を読んでおかなくちゃ、という気疲れ、とでも言うのか…。決して面白くなかったと言うわけではないけれど、一気に興味深く読んでしまったのだけれど。

 10代の頃、じっくりと自分に引き換えて読んだらじ~んと来るものがあるかも。でももう私は十分過ぎるほどのおばちゃん。この年で初めて読んで、10代と同じ気持ちにはもうなれないのね。せめてリアルタイムで読んでおけば今再読しても当時の感情を思い出せると言うものだけど。

 大体、初期の頃の大島氏の作品には 思い込みの激しい主人公達 がいっぱい出てきておばちゃんにはウザイ。
 「バナナブレッド~」 の三浦 衣良 (いら)はうしろめたさを感じている男色家が理想で、そういう人とお友達になりたいと願っている。
 「いちご物語」 の いちご なぞは、ラップランドから花嫁となるために日本の林太郎の所へ連絡もなしで押しかける。
 原作つきの 「ロジオンロマーヌイチ~」 もラスコーリニコフの選民意識は思い込み (思い上がり) そのもの。
 「綿の国星」の 須和野チビ猫 は大人になったなら人間になれると信じている。

 ああそうでした、思い込み それが若者の特権よ、それがなけりゃ若いときなんてやってられないわ。確かにそうです。おばちゃん、自分の若いとき思い出して赤面してます。

 1978年頃から80年代になると作品も (大島氏も読者も ?) 成熟してきて、今読んでも違和感なく読めます。私はその頃の サバちゃん の出てくるエッセイ風のが好きなんですが、一番印象に残っているのは1979年の 「たそがれは逢魔の時間」かも。これ好きな人、他にいないかしら。いつもの大島氏とちょっと違った視点で、ドキッとした覚えがあります。
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今 市子 「文鳥様と私」 「美しき獣たち」

2008年01月30日 14時11分57秒 | マンガ家名 あ行
 「文鳥様と私」 1巻~8巻 あおば出版 2000年06月~
 「美しき獣たち」 朝日新聞社 2007年10月発行

 まとめて たれぞ~さん にお借りしています。まんが家 今 市子さんが綴る、文鳥達との愛の日々・・・。

 地元の本屋へ行くと、上の棚に光輝くこちらの本々があって、気になって気になって。今さんの他の本は全部 (同人除く・たぶん) 揃えてあるし、これも買おうかどうしようか・・・・。9冊もあるし、内容が鳥さん (そんなに興味あるわけでもない) だし・・・。
 お借りできました、読めましたよ、たれぞ~さんありがとうございます。m(_ _)m

 昔々~、実は団地住まいをしている時に、他の動物は飼えないので迷い込んだカナリヤとセキセイインコを一時飼っていました。カナリヤは逃げられ、インコは私達の不注意で死なせてしまいました。鳥さんは もふっ と抱けないし、足がちょっと気持ち悪いし、実家でも犬・猫しか飼う習慣がなかったので、それ以前も以後も飼ったことはありません。飼えば可愛いものですけどね。

 さて、そんなわけで迷っていたこちらの本たち、読んでみたらば~~ ? カラーページ綺麗~~、文鳥さん+十姉妹家族可愛い~~、小鳥の病院凄い~~、鳥の病院の待ち時間5~6時間 ・行き帰り片道2時間 信じられん~~、うわっ雛から育てるの~~、手乗りってこうしつけるの~~、病気可哀想~~、ペットとの別れは辛いよね~~エトセトラ 々 ・・・・。怒涛のごとく読みました。

 ペットを飼っている人の心は皆同じ。猫・犬飼いの私の気持ちも今さんとおんなじよ~特に 「文鳥様と私」 7、8巻くらいは、文鳥ズが年を取ってきて、病気やら死亡やらの話題が多く、一昨年16歳のオス猫ユウを見送り、今年4月で19歳になるメス猫亜美嬢を介護する私には身につまされまくり。

 文鳥様って結構頭いいんですね。足弱の しんのすけ という文鳥がえさ箱の中に入って出てこないのを心配して今さんが覗くと、パリポリとエサを食べるフリをする。離れるとそのままえさ箱の中で休んでいる。動くのがめんどくさくてえさ箱の中で生活しているのに、飼い主にはそれと悟られないようにカムフラージュする、って笑う~でも幼稚園児並み ? 
 かと思えば、実の母親にマジ恋する息子の話や、男の子に恋して付きまとう男の子のお話やら。今さんったら 「年下攻めか・・・」 なんて冷静に観察してるしーー

 一羽一羽の性格を観察して、それらしい言葉を言わせて表現しているのは流石です。こうして見ていると鳥さんて、思っている以上に表情豊かに思えてしまうのは今さんだからよね。

 それにしても10羽以上を飼うのは大変ですね~。あっと言う間に具合の悪くなる小さな鳥さんたちは、サラリーマンで日中いないと悪くなっても気が付かないし、どこの動物病院でもいい、とは言えない小鳥さんたちの病院通いはた~いへん。
 それでも飼い続ける今さんの文鳥らぶの気持ちにペット飼いとしてうんうんと頷き、私も今いる子達の最後まで、しっかり面倒見る気持ちを新たに致しました。
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安野 モヨ子 「さくらん」

2008年01月22日 09時29分16秒 | マンガ家名 あ行
 講談社 イブニングKCDX 2003年11月6日初版 写真のものは20版 

            満天さんにお借りしています。

 このお借りしている本の帯には、2007年2月に封切られた映画の宣伝が載っている。私が最初にマンガ喫茶で読んだ当時は映画の話は聞かなかったから、本が売れて評判になって映画になったのか、映画になるからもっとコミックスが売れたのか、版は2007年2月で20版目。どっちも当たっているかと。
 映画は見てないが、(見たかったが) 土屋アンナの主人公 「きよ葉」 はマンガにそっくりに見えます。

 今回満天さんにお借りして再読したのだが、このイブニングKCDXというのは全部こういった懲り方なんでしょうか、変わった装丁でいいですね。ハードカバーでないのにカラーページ全部再現の綺麗な仕上がり、なのに 小口 本の切り断面 はわざとぎざぎざで、真っピンクな色付きで色っぽい。
 一見、コンビニで売ってる再販物のコミックスみたいでお値段も厚さの割りに900円とお手ごろ価格。

 連載マンガが最初にコミックスになった時、以前だとカラーページが濃淡のモノクロになってしまって、読者はどんな色だったかな~と思いをはせる。そして後で完全版と称して扉絵カラーページも再現 ! なんて言われるとついつい引かれて、又買ってしまうから、初めからこういうのは嬉しいわ。

 内容は・・・ 表紙を見るとおり江戸時代吉原遊郭の中の遊女のたぶん一代記。たぶんというのは、1巻ではまだ主人公 きよ葉 は20歳前だと思うから。子供の時から遊郭育ちのじゃじゃ馬というより暴れ者 ? な主人公 きよ葉。 だけど遊女の哀歓もたっぷり見られます。
 参考文献もしっかりと、衣装や小物や遊郭の建物を見ているだけでも興味の尽きない時代物好きな私。七五調の状況説明文も江戸っぽく、セリフも粋でとにかく面白く読める。3度4度と読み返しました。

 巻末に1巻と有るので、もっと続きが読みたいのだが、2005年1月よりイブニング誌で第2部がスタートしたものの連載は停止しているらしい。今は安野氏は他の作品 (TVドラマになった働きマンとか ?) が忙しいから時代考証等で手のかかりそうなこの作品は描いてる時間がないのかなぁ。残念。
コメント (8)
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