↑ 「ワン・ゼロ」「打天楽」共に小学館 PFコミックス
以前の 佐藤 史生 「ワン・ゼロ」 の感想はこちら → 佐藤 史生 「ワン・ゼロ」
1984年から1986年まで「プチフラワー」誌に連載という、26年以上も前に描かれた未来のコンピューターを舞台にした漫画。
舞台の1999年はもう過ぎている。しかし2011年の今よりももっと先に思える設定。
これを通して読んだのは3回目くらい。
感想書くのは2回目。最初はさらっとしか書けませんでした。(いや今回もだけど)
1回目読んだとき、はっきり言って私にはよくわからなかった。
といってもほんの4~5年前に初めて読んだのだから、子供の時分に読んだのではない。
それでも、少女漫画らしい「ラブ」もあまりないし、膨大なせりふでコンピューター用語がたくさん出てくる。
しかも、「魔 ダーサ」と「神 ディーバ」の戦いってナンですか。
日本の八百万(やおよろず)の神、ここでは 魔 がコンピューターという最先端技術を味方に付けた 他所から来た神々 と戦うってナンですか!
敵・味方の区別が曖昧になって来るわ、味方が相手を乗っ取ったと思ったらいつの間にやら違う敵になってたりして、勝敗も付かない。
大人だって、同じ作者の「夢見る惑星」の方が面白く思えると言うもんだ。
このような漫画よく当時の編集者が描かせたな~。
さすがに『風と木の詩』や『残酷な神が支配する』などの問題作を輩出した「プチフラワー」と言うべきか。
今回読んでもさすがに25年以上前の漫画だから、既にコンピューター関連の環境が違っていて、たとえば自宅の電話回線だけで通信しているとか、マイコンなんて死語を使っていたりとか、コンピューターの造作が馬鹿でかいとか。
でも、今それらをリニューアルして2050年くらいを舞台にしても十分SFとして通用すると思う。
1回読んだだけじゃこの作品の凄さや怖さはわからない。
SF好きは手元に置いて何度も読むべし。
と言っても作者が亡くなられたせいか、古本をあさっても軒並み在庫切れ。
「夢見る惑星」の方は文庫本が手に入れやすいようです。
私が写真の本を手に入れた3年前頃はまだブック○フにもたまに有ったりしたのだけれど。
怖さと言えば、以前読んだときに気が付かなかったラストの怖さが今回どーんっときちゃいました。
これは…これから壮大な神と人間の対決もしくは融合のマンガ1本描けるじゃないか。
と思ったら後日談の「打天楽」の入っているコミックスも持っていたっけ。
ところがこれがまた「夢の中に入ってく」話で難解。
それに番外編みたいなもので、本編の怖さの続きにはなっていない。
いまだ主人公の少年は修行中、道の途中という感じかな。
もっと続きを読みたいと思えど、作者は2010年4月4日に亡くなっているし。
生きていたとしても続きは描かないと思われる。
今現在こういった作風、こういった題材を作品にしている方っているんでしょうか。
ちょっと思いつかない。
佐藤 史生さん は 佐藤 史生さんであり、他の誰でもない…。
だからこそマニアック (あらこの作品に出てくるコンピューターと同じ名前だわ) いや、カルト的と言われるファンが今だに大勢いるのがわかります。
桜の散るのはいつにも増してはかないと思うトミー。