RoboCupJunior Rescue の Line とMaze について、正式版ルール(FINAL RIules)が公開されてます。
(そういえば、Rescue Simulation だけ、まだですね・・・どうしたんでしょうか?)
で・・・何がどう変わったのか・・・興味があるのは2章~4章で、そこだけ翻訳したりして・・・
というのが普通だと思います。(私も昔はそうでした)
ただ、運営側に携わっていると、競技会の競技運営も重要ですが、ロボカップジュニアの活動のベースとなる精神の部分も大切だよね、と考えるようになってきました。
そこで、昔はルールの後ろの方にあった「精神」をルールの最初に移動してもらったのですが・・・皆さんは第一章をちゃんと読んでますか!?
私も、毎年、Google先生の助けで翻訳はするのですが・・・真面目には読んでいませんでした。
今回は、真面目に読んでみようと思います。
なお、以下の説明は個人の勝手な解釈なのでし、公式なものではありません。(そこんとこ、よろしく!)
1. Code of Conduct 行動規範
1.1 Spirit 精神
1. It is expected that all participants (students and mentors alike) respect the aims and ideals of RoboCupJunior as set out in our mission statement.
1.すべての参加者(チームメンバーとメンター)は、RoboCupJuniorのHPに掲載されている、RoboCupJuniorの目的と理想を尊重します。
勝手な解説:
チームメンバーやメンターなど、すべての参加者はRoboCupJuniorの目的と理想をexpectedしなさい。という感じだと思います。まず、expectedは、普通は「思う」「期待する」というのが普通だと思いますが・・・辞書を調べると「当然のこととして期待する」というのがマッチしそうです。だから意味的には「守りましょう」が良いかと。さらにRoboCupJuniorの目的と理想とは何か?どこにあるのか?ですが・・・それはin our mission statementにあると言っています。mission statementというのは会社要綱のことなので、おそらくRoboCupJuniorのHPに書かれていることなんでしょう。じゃあ、そこにある目的というのは何でしょう!?・・・いろいろ書かれていますが、一番はおそらく First, RCJ is focused more on education than competition. これでしょう。
2. The volunteers, referees and officials will act within the spirit of the event to ensure the competition is competitive, fair and, most importantly, fun.
2.ボランティアスタッフ、審判、運営者は、競技会を、技術的な競争力を高められる、公正公平に運営する、最も重要なことであるが楽しいものにする、という意思を持って行動します。
勝手な解説:
ボランティアスタッフや審判、運営者はイベントの精神を確実に実行する。そのイベントの精神として競技会に求められることは次の3点、①技術的な競争力を高めること ②公正公平であること ③参加者にとって楽しいこと(重要)
ということで・・・
3. It is not whether you win or lose, but how much you learn that counts!
3.大切なのは、競技会での勝ち負けではなく、RoboCupJuniorの活動や経験から、どれだけ多くのものを学べるかです。
勝手な解説:有名な言葉ですよね。勝ち負けじゃないのですよ! でも、競技会での勝ち負け「も」大切です。(笑) それが、次の技術開発の継続やモチベーションにつながりますよね。
1.2. Fair Play フェアプレー
1. Robots that cause deliberate or repeated damage to the field will be disqualified.
1.ロボットがフィールドを故意に傷つけたり、繰り返し傷つけると、そのチームは失格になります。
勝手な解説:そのまま訳すと「ロボットは失格になります。」になりますが、実際にはロボットが失格になる訳ではなく、チームが失格になりますよね・・・(笑) ロボットがドバっと傷つけると、一発失格! 軽微な傷でも、繰り返し傷つけるとやっぱり失格になります。 それから「フィールドを傷つける」には、汚す・・・とかも入ると思います。2011年のイスタンブール大会の時に RescueーB(現在のRescue Maze)のフィールドにお菓子!?が撒かれていたことがありました。私も含めてスタッフが苦労して掃除をしましたが・・・もし犯人が分かったら失格にしていたでしょう。(その時は犯人はわからず 苦笑)
2. Humans that cause deliberate interference with robots or damage to the field will be disqualified.
2.ロボットを故意に妨害したり、フィールドを傷つけたりした人がいるチームは失格になります。
勝手な解説:今度は人間が何か悪いことをすると、そのチームは失格になるということです。
3. It is expected that the aim of all teams is to participate fairly.
3.すべてのチームは公正に参加することが求められます。
1.3. Behavior ふるまい
1. Each team is responsible for verifying the latest version of the rules on the RoboCupJunior Official website, and additional clarifications/corrections on the official forum made by the RoboCupJunior Rescue Technical Committee prior to the competition.
1.競技会の参加者は、競技会の前に、RoboCupJuniorの公式Webサイトに掲載されている最新版のルールを読むこと、RoboCupJuniorのレスキュー技術委員会が公式フォーラムに投稿した追加の説明/修正を確認しなければなりません。
勝手な解説:Each team is responsible for verifying は「各チームは確認する責任があります。」ということで、「確認しなければなりません。」にしました。ただ、ルールはドラフト版を出してから正式版(FINAL)を出すのだから、フォーラムにルールの修正文書を掲載されること自体がおかしい!(笑)と思うのですが・・・
2. Participants should be mindful of other people and their robots when moving around the tournament venue.
2.競技会の参加者は、競技会の会場内を移動するときは、他のチームメンバやロボットに注意しましょう。
3. Participants are not allowed to enter setup areas of other leagues or other teams, unless explicitly invited to do so by team members.
3.競技会の参加者は、明示的に招待されない限り、勝手に他のリーグや他のチームのセットアップエリアに入ってはいけません。
4. Teams will be responsible for checking updated information (schedules, meetings, announcements, etc.) during the event. Updated information will be provided on notice boards in the venue, on the local competition website, and/or the RoboCup or RoboCupJunior websites if possible.
4.競技会の参加者は、競技会の期間中の新しい情報(スケジュールや説明会、周知事項など)を確認しなければなりません。新しい情報は、会場の掲示板や、地域(国)の競技会のWebサイト、また可能であればRoboCupやRoboCupJuniorのWebサイトに掲載されます。
勝手な解説:世界大会では、競技会(競技)に関する情報は、チーム(メンバー)が自主的に取得しなければなりません。(掲示板の掲示を読んだり、WEBサイトに掲載されている情報を読むとか) 自分たちが何もしないと、何も分かりません。 ぼっ~としてたら、いつのまにか競技時間が終わっているかもしれません。 時間になっても、誰も迎えに来てくれませんし、「そんなスケジュール知らなかった」というのは、言い訳になりません。ということです。 いやっ、スタッフが大変なのはわかるのですが・・・これは、競技会ではなく教育的なイベントなんだよね・・・(笑)
5. Participants and their companions who misbehave may be asked to leave the venue and risk being disqualified from the tournament.
5.不正行為を行った参加者やその関係者は、競技会場からの退去を求められる場合があり、競技失格となる可能性があります。
6. These rules will be enforced equally to all participants at the discretion of the referees, officials, tournament organizers and local law enforcement authorities.
6.これらのルールは、審判、役員、競技会の主催者、および開催地域(国)の法律に従って、すべての参加者に平等に実施されます。
7. Teams are expected to be present at the venue early on the setup day as important activities will occur. These activities include, but are not limited to: registration, participation raffle, interviews,captains and mentor’s meetings, among others.
7.いろいろと実施されることが想定されるので、チームはセットアップ日にはなるべく余裕のある時間に競技会場に来るようにすべきです。そこで実施されるのは参加受付、競技やインタビューのスケジュールの抽選、インタビュー、キャプテンミーティング、メンターミーティングなどが含まれますが、その他にも何かがあるかもしれません。
勝手な解説:世界大会では、とにかく行ってみなければなにも分かりません。まずは、現地で競技会の期間中の「やるべきこと」を把握しましょう。
1.4. Mentors メンター
1. Non-team members (mentors, teachers, parents and other family, chaperones, translators and other adult team members) are not allowed in the student work area.
1.チームメンバー以外の関係者(メンター、先生、保護者やその他の家族、引率者、通訳、その他の大人の競技の参加者)は、チームの作業エリアに入ってはいけません。
2. Mentors are not permitted to be involved in building, repairing, or programming their team’s robots both before and during the competition.
2.メンターは、競技会以前も競技会期間中も、チームのロボットの構築、修理、またはプログラミングに関与してはいけません。
3. Mentor interference with robots or referee decisions will result in a warning in the first instance. If this behavior recurs, the team could face a possible elimination from the tournament.
3.メンターがロボットの開発に関与したり、審判の判定に抗議したりすると、1回目は警告になります。再び同じような行動が発生した場合に、そのチームは競技会から失格になる可能性があります。
4. Robots have to be mainly student’s own work. Any robot that appears to be identical to another robot may be prompted for re-inspection.
4.ロボットは、チームメンバー自身の成果物でなければなりません。 別のチームのロボットと同一であると思われるロボットは、再検査を求められる場合があります。
勝手な解説:う~ん、このルールは必要だと思うのですが・・・なぜにメンターのセクションにあるのでしょうか!?
1.5. Ethics and Integrity 倫理と誠実
1. Fraud and misconduct are not condoned. Fraudulent acts may include the following:
a. Mentors working on the software or hardware of student’s robot(s) during the competition.
b. More experienced/advanced groups of students may provide advice but should not do the work for other groups. Otherwise, the team risks being disqualified.
1.詐欺や不正行為はしてはいけません。不正行為には次のことが含まれます。
a.メンターが、競技会期間中にチームのロボットのソフトウェアまたはハードウェアの開発に関与する。
b.経験豊富で高いレベルの技術を持ったチームのメンバーは、他のチームにアドバイスをすることができますが、他のチームのために作業をしてはいけません。それをすると、チームが失格になる可能性があります。
勝手な解説:a.は、1.4.2でも同じことが書かれています。で・・・b.なのですが・・・デキルチームが、となりのデキナイチームに、(良かれと思って)こうすれば良いのに、ああすれば良いのに、とアドバイスするのは良いのですが、手を出したり援助の度を過ぎると、失格になるよ・・・ということです。
2. RoboCupJunior reserves the right to revoke an award if fraudulent behavior can be proven after the award ceremony takes place.
2.表彰が行われた後でも不正行為が発覚した場合に、RoboCupJuniorは、賞を取り消す権利があります。
勝手な解説:競技会が終わった後でも、不正が発覚したら、(不正の内容によっては)賞の剥奪がある可能性があるということです。ただ・・・競技の不正が見つかったことで、得点を減らされたことは何度も見ましたが・・・競技会が終わった後に不正が発覚したというのは、これまでに聞いたことはありません。
3. If it is evident that a mentor intentionally violates the code of conduct, and repeatedly modifies and works on the student’s robot(s) during the competition, the mentor will be banned from future participation in RoboCupJunior competitions.
3.メンターが意図的に行動規範に違反し、競技会期間中に繰り返しチームのロボットの開発に関与していたことが明らかな場合、メンターは今後のRoboCupJunior競技への参加を禁止されます。
勝手な解説:いわゆる「出禁」ですね。これも過去の黒歴史から追加されたルールなのでしょうか!? 2007年や2008年の世界大会では、メンターもチームのパドックに入れたので、普通に先生がチームのロボットの改造やプログラミングをしているのを見たことがあります。(今となっては古き良き時代でしたねぇ・・・笑)
4. Teams that violate the code of conduct can be disqualified from the tournament. It is also possible to disqualify a single team member from further participation in the tournament.
4.行動規範に違反するチームは、失格となり競技会に参加できなくなる可能性があります。 チームメンバーの1人だけが失格となり競技会に参加できなくなる場合もあります。
勝手な解説:チーム全体が失格になる場合もあれば、チームメンバーの一部だけが失格になる場合もある、ということです。ただ・・・これまで1人だけ失格になったのは聞いたことがありませんが・・・
5. In less severe cases of violations of the code of conduct, a team will be given a warning. In severe or repeated cases of violations of the code of conduct, a team can be disqualified immediately without warning.
5.行動規範に反するがそれほど深刻ではない場合は、チームに警告が発せられます。行動規範の深刻な違反や、違反が繰り返し発生した場合、チームは警告なしに直ちに失格となる可能性があります。
勝手な解説:軽微な違反はイエローカード、深刻な違反は一発退場のレッドカードということです。たとえ軽微な違反でも、繰り返し違反していれば、レッドカードもあり得ます・・・ちなみに、世界大会で日本チームがイエローカードを出されたのを何回か見てます。(苦笑)
1.6. Sharing 情報の共有
1. The spirit of world RoboCup competitions is that any technological and curricular developments should be shared with other participants after the tournament. This furthers the mission of RoboCupJunior as an educational initiative.
1.ロボカップの世界大会の精神は、競技会後に開発した技術や教育教材を他の競技会参加者と共有することです。 これらの活動が、教育計画としてのRoboCupJuniorの目的を推し進めることになります。
勝手な解説:競技会が終わったら、それぞれの技術を公開して全体の技術の底上げを図りなさい、という感じでしょうか。もともとRoboCupは研究発表の場なので、最終日のシンポジウムで各チームの発表会があるのですが・・・日本からのジュニアのチームメンバーが参加するのをほとんど見たことがありません。やっぱり競技にしか興味が無いのでしょうか・・・
2. Any developments may be published on the RoboCupJunior website after the event.
2.開発した技術や教材は、競技会の後にRoboCupJuniorのWebサイトで公開される場合があります。
3. Participants are strongly encouraged to ask questions to their fellow competitors to foster a culture of curiosity and exploration in the fields of science and technology.
3.競技の参加者は、科学技術の分野での好奇心と探求の文化を育むために、他のチームの参加者に是非質問するようにしましょう。
こんな感じでしょうか・・・
※ちょっと混乱を招く表現だったので以下の文章を訂正しました(2020/11/4)
このジュニアレスキューのルールの第一章の「行動規範」ですが・・・他のジュニアの競技のルールにも書かれているのですが、表現や内容が揃っていません。(微妙に違っています)
なぜ、統一されないのでしょうか?
(ということは、このレスキューのルールの「行動規範」はレスキューのTCが勝手に考えたことなの!?)
まず、ジュニアのすべての競技のルールに統一して掲載すべきことだと思います。
さらに、これはロボカップジュニアのベースになる考えなので、General Rules に組み入れるべきだと思うのですが・・・
なんとなく、運営側も含めて、「行動規範」の啓蒙が足りないのではないかと思います。