そごうの心斎橋が大丸の譲渡を打診とある。そごうの心斎橋はかつて村野藤吾の名建築であったがいまやSC(ショッピング・センター)と劇場にそごうもありますというようなお店でどうもそそらなかった。建替え前も、大丸に比べ特色が感じられず、もっぱら美々卯を利用していた。<o:p></o:p>
かつて、25年前、大阪では駅ごとにデパートが決まっていた。梅田は北が阪急、南が阪神、心斎橋は大丸とそごう、難波は高島屋、阿倍野は近鉄、北浜の三越は殆ど知らなかった。それからデパートは出店競争であった。つまりは専門の店員が不足し、賃貸業に変容し、専門大店(ヨドバシ、ビック 等)やSCとの競合も激化した。<o:p></o:p>
心斎橋で問題は、心斎橋筋(アーケード街)の低迷だろう。(神戸も同じ課題がある)心斎橋筋・戎橋筋はほぼ銀座の1丁目から8丁目と同じ長さだ。(拙著 ウォーターフロントの計画とデザイン セイムスケールマップにあります:そのうちアップせねば)昔は、小粋な画材やLPを買いに、カメラも買いに路面店の魅力で出かけた、ついでにミナミの美味しいお店も探索した。街の広がりと懐があった。「露地もの」の強みがあった。しかし、最近は道頓堀あたりが妙に「アジア」になり、上品さが欠けた。更にアーケード沿いに、全国チェーンや遊技場が増え、かつての街の匂い、品格は霧散した。<o:p></o:p>
心斎橋そごうは確かにデパート(「箱もの」)として課題があった。心斎橋の街も課題があるのを忘れてはならない。更に、梅田と難波の大幅増床があり、心斎橋谷間論もありうる。対応策は神戸大丸のように街とデパートの連携である。美味しいお店は心斎橋にいまだに多い。(「ばらの木」などは大阪の誇りだ)景観条例も必要だ。かつてのソニービルが看板ビルと化しているのを見て街の品位が分かった。<o:p></o:p>
デパート全般にいえるが「ものとまんぞくを売るプロ」を育てよ。訪れるたびに、「もの」ではブランドの知識欠如、歴史、変容の無理解、「まんぞく」では代替の提案、情報のフォロー、定期的顧客管理が昔と違う。お辞儀だけではモノは売れない。直接接客の気高いプロ意識が復活して欲しい。言い添えると、例の靴問題は結局、某靴専門店で解決しそうである。デパートがんばれ。<o:p></o:p>