WTC、日本郵政の「かんぽの宿」等で「鑑定」が注目をあびている。<o:p></o:p>
鑑定には収益還元法の他に、原価法(積算価格)、取引事例法がある。原価法では今作ると幾らするか、新しい物に比べてどれくらい使っているかを割り引いて「積算価格」を、「取引事例法」では取引の事例を調べて「比準価格」を出す手法がある。特にバブルのときは取引事例が使われた、というのも取引価格が急に上昇してからだ。収益還元法は今後の収益(収入―支出)を想定利回りで割り戻すやり方で、立地(地域、都市、番地 など)・建物(用途、仕様)・規模、希少性などが勘案され利回りが決められる。(この利回りは国債の利回りにほぼ連動する)収益は、極端には賃料水準と空室率で決まる。投資の期間もいまは10年くらいで、前は30年などというのもあった。将来手にする収益を利回りで割戻したものが収益価格である。というと難しいが、銀行からある金利(利回りと同じ)で借りて、丁度返せる価格と思えば良い。<o:p></o:p>
但し、収益価格には物凄い大きな落とし穴がある。賃料の水準と将来の値上がり率を変化させると、すぐに価格が変化する。また、利回りを変化させると更に大きく変わる。要は、低金利で利回りが低いと、値段が上がる。時期で変化するものであり、波をうまく捉えると、変化により売買利益(キャピタルゲイン)がでる。<o:p></o:p>
不動産とは、サイクリニカル・ストックと同じで、景気が良いと、空室率が下がり、賃料も上がり、更に値上がり期待で想定利回りが下がり、いよいよ価格が上昇する。その、反対ではどんどん下落する。収益還元法でもこのような仕組みは残る。本来、不動産は安定投資家向けであったが、短期、小口化、証券化で利鞘が取れ、さらにレバレッジの資金調達などで、以前よりも変動が激しくなった気がする。(証明は未だ無い)<o:p></o:p>
今回の、「かんぽの宿」は1年間の従業員雇用オプションをつけた価格である。価格の適正評価の前に、このオプション付加が合理的かどうかの検討が必要だろう。 <o:p></o:p>