日経新聞8月21日朝刊の1面トップに、「インフレ税で政府債務の圧縮」とあったが正しくない。一時的に10%のインフレがあれば確かに、その時点では1/1.1になる。つまりは国債を買った方は損または含み損を抱える。しかし、国債は償還され、新たに発行される。この時に高い金利となり、金利支払いの債務が増えていく。これはインフレに遅効性があるが、デフレに変わった場合重い金利支払いになる。なお、日銀がいつまでも国債買い入れによる金融緩和とゼロ金利維持は不可能だ。他の有利な金利の商品との競合が生じ、官製市場管理のひずみが明確になる。
インフレは利上げにつながり日銀の持つ、520兆円余りの国債の含み損や売却方法を考えたほうが良い。日銀の主たる株主は日本政府だ。政策責任もある。
家計金融資産は本年6月にて2,005兆円、うち現預金1,088億円のため、これらはX%のインフレならば1/(1+X/100)になる。つまりはインフレで目減りする。株式等、投資信託、保険・年金・定型保証はインフレでもフロート(上昇)するため影響は少ないと考える。これも、高金利商品が出てくればタンス預金の移動が始まる。
さらに、不動産など資産保有層はインフレによる値上がりのメリットがある。(ローンの金利値上がりデメリットもある)反対に、賃貸層は賃料の値上がりが、資産価値の反映と不動産投資リターンの上昇(基準金利の上昇のため)もある。
政府のインフレ税を考えるより、今までの低金利から政府への贈与がなくなるメリットが大きいと考える( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/a4e67935d6ba10d6412f77183c42924b )つまりは、債務の利払いが増え、さらなる政府債務の増加となろう。インフレ税は一時的だ。