日本の国は、今後どうなっていくだろう?
そういうことに、まったく関心がないという日本人はほとんど存在しないだろう。
歴史上かつてない超高齢化社会が、すでに幕を切って落とされ、わが国はそれへの対応をせまられてゆれている。
今後このゆれ幅は、ますます大きくなるだろう。国力の衰退はもうだれにも食い止めることはできない。
かつて未曾有の繁栄を誇ったスペインが衰退して英国にその座をゆずり、その英国が衰退してアメリカにその座を明け渡したように。
そのアメリカにも、むろん凋落の日がやってくる。アメリカの凋落は、もうはじまっていると見ている学者もある。
わが国では人口減少問題が喫緊の課題として浮上し、各方面にいろいろな論議を巻き起こしているが、結論だけをいえば、経済も人口も、この長期低落傾向に歯止めはかからないだろう。
かつて空海に関する本を読んでいたときのこと。
「空海が生きた9世紀、わが国の人口はどれくらいだったでしょう?」
そんな質問があった。
わたしの頭には、1300~1500万人という数字が、漠然と浮かび、それを根拠に、その時代の風景を想像したのであった。
ところが、ある有力な研究者の推計では、当時の日本列島の全人口(・・・たぶん、エゾはのぞくと書かれていた)は、なんと600万人台だというのである!
さっきググっていたら、こんなページにたどりついたので、興味のある方はのぞいてみるといいだろう。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1150.html
人口が1000万人をこえるのは、1400年代(室町期)になってから。
「はあ、人口って、そんなに少なかったのか」と、わたしなどは驚きをもって、この推移グラフを見つめざるをえない。
人口のピークは2008年。このまま推移すれば、今後10年ほどで1億人を割り込むと予想され、その後も急角度で、減少しつづける。こういう社会の激変は、いまだかつて経験したことがない種類の激変なので、十分予測しきれないところがある。
悲観的な観測をすれば、国家がゆっくりと衰亡に向かって舵を切ったのだとみられなくはないだろう。
わたし自身もふくめ、大方の日本人は右肩あがりの経済繁栄がつづく社会的な未来予測モデルの中で生きてきた人間だから、いささかあわててしまうが、もっと楽観的な予測をしている学者・研究者もいる。
日露戦争当時で6000万人。そのあたりまで人口が減少しそうな近未来は、今後の見通しとして意識の片隅に織り込み、必要な中長期的なヴィジョンを描く必要があるだろう。
そんなことを考えるともなく考えながら、わたしの関心はもっぱら、日本の中世史へと向かいつつある。
日本の中世は、地方創世の時代である。関東や東北、あるいは先島諸島をふくむ琉球・沖縄が、歴史の表舞台に、ゆっくりと、そして確実にその姿をあらわしてくる。
わたしも十数年まえころから、網野善彦さんや石井進さんらが切り開いてきた、まったく新しい、躍動的な中世像に関心をもって、多少その著作とおつきあいしてきた。
派手な政権交代劇や大規模な戦争や英雄豪傑の物語や農業だけに偏った経済史観ではなく、われわれの生活実感に即した、目配りのいきとどいた地方史の発掘と、再構築の試みはまだはじまったばかりといえるかも知れない。
むろんわたしはジレッタントというか、一介の「歴史マニア」という素人だから、一般人向けに書かれた本を通して「中世とはどんな時代であったのか?」を手さぐりしてみる・・・それだけのことなのだけれど。
通説をくつがえして歴史の表面にようやく姿をあらわしてきた地方、地方のなんとダイナミックで大きなうねりに満ちた激動の世界だろう。西暦でいえば、11世紀から15、6世紀にいたるこの時代に、わたしは「わたし」の根が遡れるのではないかと感じている。
それ以前とは必ずしも地続きとはいえないところがあるとしても。
最新の研究成果を、豊富な図版や写真やグラフを参照しながら、可視化された情報としてわかりやすく、より具体的に読み解いた本が、この数年、つぎつぎ出版されている。
それをほっておくことはないな・・・と、以前から感じてはいたが、なかなか分厚い本を手にとれないまま、うかうかと時間ばかりが過ぎてしまった。
いうまでもなく、こういった中世への関心は、そのまま人口減少社会の今後の展望になにかヒントをあたえるというものではないかも知れない。
しかし、わたしの直観はささやく。
いや、なにか重大なかくされたヒントが存在するのではないか、と。
この数日、撮影には出かけず、あるいは出かけられず、こんなことをしきりと考えていた。
※写真の本は右から・・・。
「海と列島の中世」網野善彦(講談社学術文庫)
「中世のかたち」石井進(日本の中世1 中央公論新社)
「周縁から見た中世日本」大石直正・高倉倉吉・高橋公明(日本の歴史14 講談社)
まだ読了するにはいたっていない。1時間かそこいらで、集中力がとぎれ、眠くなってしまうのは、はて、どうしたものだろう\(_ _*)m
にもかかわらず、こんなシリーズにも手をのばしてしまいそう・・・。
動乱の東国史(吉川弘文館)全7巻
http://www.yoshikawa-k.co.jp/news/nc1331.html
そういうことに、まったく関心がないという日本人はほとんど存在しないだろう。
歴史上かつてない超高齢化社会が、すでに幕を切って落とされ、わが国はそれへの対応をせまられてゆれている。
今後このゆれ幅は、ますます大きくなるだろう。国力の衰退はもうだれにも食い止めることはできない。
かつて未曾有の繁栄を誇ったスペインが衰退して英国にその座をゆずり、その英国が衰退してアメリカにその座を明け渡したように。
そのアメリカにも、むろん凋落の日がやってくる。アメリカの凋落は、もうはじまっていると見ている学者もある。
わが国では人口減少問題が喫緊の課題として浮上し、各方面にいろいろな論議を巻き起こしているが、結論だけをいえば、経済も人口も、この長期低落傾向に歯止めはかからないだろう。
かつて空海に関する本を読んでいたときのこと。
「空海が生きた9世紀、わが国の人口はどれくらいだったでしょう?」
そんな質問があった。
わたしの頭には、1300~1500万人という数字が、漠然と浮かび、それを根拠に、その時代の風景を想像したのであった。
ところが、ある有力な研究者の推計では、当時の日本列島の全人口(・・・たぶん、エゾはのぞくと書かれていた)は、なんと600万人台だというのである!
さっきググっていたら、こんなページにたどりついたので、興味のある方はのぞいてみるといいだろう。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1150.html
人口が1000万人をこえるのは、1400年代(室町期)になってから。
「はあ、人口って、そんなに少なかったのか」と、わたしなどは驚きをもって、この推移グラフを見つめざるをえない。
人口のピークは2008年。このまま推移すれば、今後10年ほどで1億人を割り込むと予想され、その後も急角度で、減少しつづける。こういう社会の激変は、いまだかつて経験したことがない種類の激変なので、十分予測しきれないところがある。
悲観的な観測をすれば、国家がゆっくりと衰亡に向かって舵を切ったのだとみられなくはないだろう。
わたし自身もふくめ、大方の日本人は右肩あがりの経済繁栄がつづく社会的な未来予測モデルの中で生きてきた人間だから、いささかあわててしまうが、もっと楽観的な予測をしている学者・研究者もいる。
日露戦争当時で6000万人。そのあたりまで人口が減少しそうな近未来は、今後の見通しとして意識の片隅に織り込み、必要な中長期的なヴィジョンを描く必要があるだろう。
そんなことを考えるともなく考えながら、わたしの関心はもっぱら、日本の中世史へと向かいつつある。
日本の中世は、地方創世の時代である。関東や東北、あるいは先島諸島をふくむ琉球・沖縄が、歴史の表舞台に、ゆっくりと、そして確実にその姿をあらわしてくる。
わたしも十数年まえころから、網野善彦さんや石井進さんらが切り開いてきた、まったく新しい、躍動的な中世像に関心をもって、多少その著作とおつきあいしてきた。
派手な政権交代劇や大規模な戦争や英雄豪傑の物語や農業だけに偏った経済史観ではなく、われわれの生活実感に即した、目配りのいきとどいた地方史の発掘と、再構築の試みはまだはじまったばかりといえるかも知れない。
むろんわたしはジレッタントというか、一介の「歴史マニア」という素人だから、一般人向けに書かれた本を通して「中世とはどんな時代であったのか?」を手さぐりしてみる・・・それだけのことなのだけれど。
通説をくつがえして歴史の表面にようやく姿をあらわしてきた地方、地方のなんとダイナミックで大きなうねりに満ちた激動の世界だろう。西暦でいえば、11世紀から15、6世紀にいたるこの時代に、わたしは「わたし」の根が遡れるのではないかと感じている。
それ以前とは必ずしも地続きとはいえないところがあるとしても。
最新の研究成果を、豊富な図版や写真やグラフを参照しながら、可視化された情報としてわかりやすく、より具体的に読み解いた本が、この数年、つぎつぎ出版されている。
それをほっておくことはないな・・・と、以前から感じてはいたが、なかなか分厚い本を手にとれないまま、うかうかと時間ばかりが過ぎてしまった。
いうまでもなく、こういった中世への関心は、そのまま人口減少社会の今後の展望になにかヒントをあたえるというものではないかも知れない。
しかし、わたしの直観はささやく。
いや、なにか重大なかくされたヒントが存在するのではないか、と。
この数日、撮影には出かけず、あるいは出かけられず、こんなことをしきりと考えていた。
※写真の本は右から・・・。
「海と列島の中世」網野善彦(講談社学術文庫)
「中世のかたち」石井進(日本の中世1 中央公論新社)
「周縁から見た中世日本」大石直正・高倉倉吉・高橋公明(日本の歴史14 講談社)
まだ読了するにはいたっていない。1時間かそこいらで、集中力がとぎれ、眠くなってしまうのは、はて、どうしたものだろう\(_ _*)m
にもかかわらず、こんなシリーズにも手をのばしてしまいそう・・・。
動乱の東国史(吉川弘文館)全7巻
http://www.yoshikawa-k.co.jp/news/nc1331.html