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★ http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/09/aiib-2_2.php
AIIB構想、実現へのスプリングボードとなった中東オイルマネー
世界の主要各国が参加する投資銀行プロジェクト実現の背景
2015年9月18日(金)16時28分
[北京 18日 ロイター] - 中国が主導する新たな国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、今でこそ中国の国際政治における成功事例とみられているが、2年前には計画がほとんど棚上げされるところだった。
事情に詳しい2人の関係筋によると、2013年前半に初めてAIIBが構想された際には、
❶ 十分な資金が集まらないのではないか、他国の支援が得られないのではないか、といった懸念が中国高官の間であったという。しかし、
❷ 中東の一部の国が資金の拠出を約束し、米国の反対にもかかわらず欧州の主要国が支援を表明したことがターニングポイントとなった。中国の元副首相や、政府系ファンドである中国投資有限責任公司(CIC)のトップを務め、初代のAIIB総裁に就任する金立群氏を含む熱心な支援者の後押しもあった。
関係筋の1人は「当初、中国はあまり自信を持っていなかった。資金がないことが悩みだった」と打ち明ける。
AIIBへの関心を探るために財政省が派遣した東南アジア各国訪問団も手応えをつかめなかったという。各国政府は構想は支持したものの、資金不足のために大きな貢献は期待できない状態だった。
救世主となったのが中東だ。産油国で外貨を豊富に持ち、インフラを必要とする各国は資金の拠出を約束。同筋は「その時、『ああ、これで成し遂げられる』と思った」と語った。
AIIBはこの件に関するコメントを拒否し、財政省に尋ねるよう求めた。ただ、同省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
AIIBのウェブサイトによると、創設メンバーになるため6月に署名した50カ国のうち、イラン、イスラエル、エジプト、ヨルダン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の中東諸国が7分の1を占めた。
「一帯一路」が後押し
金立群氏をはじめとする一部の中国当局者は、長年にわたって新たな国際開発銀行を創設するよう中国の上層部に働きかけていたが、複数の関係筋によると、
❸ 潮目が変わったのは習近平国家主席が就任した2013年春。習主席がインフラ・輸出戦略「一帯一路」を推し進めて以降だ。
AIIBが「一帯一路」を一段と後押しする可能性が中国指導部を突き動かし、現在は中国国際経済交流センター(CCIEE)理事長を務める曾培炎・元副首相が提出したAIIB構想が承認されたという。この構想こそ、金氏との度重なる協議のもとに練られたものだった。
(Koh Gui Qing記者 翻訳:川上健一 編集:橋本俊樹
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● 上記記事から言える事は、
❶ 資金を世界から集めるという事。
❷ それを使って、世界各国にお金を貸し付けて、
❸ 中国のインフラを中心にした輸出戦略を推し進める事。
● つまり、同時に製造立国・技術大国として世界に覇権を唱える事を意味します。
たぶん模範は、金融はUSAであり、製造業は日独と言う事でしょう。
あれもこれもと欲張っているのです。
● つまり、経済大国として、技術製造業大国として・金融大国として、USAと覇権を争う
遠大な野心が見えます。金融の中心は国際金融機関=国を持たない・国に縛られない
機関であることを思えば、彼らが西欧から中共に乗り移る事はあり得ます。
● 製造業は、平和的台頭と猫かぶりしている間は、日独が黙っていても工場を中国内に
作り、最終的にはその工場ごと技術を中国のものとする事も出来ます。
特に独は、中国からの脅威は全くありませんから、相手が悪魔でも
経済的結びつきは強めるでしょう。
● 特にヨーロッパの左派陣営=赤陣営は、ある種の誤解と憧れを、東洋に持っているようですから、
同時に共産党のプロパガンダにはいとも簡単に取り込まれると思われます。問題は
日本ですが、日本の保守政権の本格的台頭が彼らの行く手を阻むと思われます。
● 話は戻るが、問題はお金を提供する中東が現れたことが、彼らに自信をつけさせたようです。
つまり、オイルダラーと言う事です。もはや西欧への投資だけでは満足できない
中東のオイルマネーの動きがカギを握るのでしょう。所謂アブク銭です。
● しかし、痩せても枯れても、生きている間は投資家のお爺ちゃんの知恵=高利貸しとしての
実力は侮れません。生きている間=つまり資本主義が滅びるまでは、金利の決定権は
西欧=USAにあります。金利の行方がお金の移動に大いに影響を与えるのです。
● つまり、USAがお金の移動先を、主に決定するという事です。従って世界がUSAのFRBの決定を
固唾を飲んで見ているのです。それに対抗することは金利の決定権を握ると
言う事ですから、非常に厳しいことが予想されます。
● つまり安くでお金を借りる事が出来れば良いのですが、こればかりはUSA=国際金融機関の独壇場です。
金融帝国のUSA・西欧資本主義にかなう事は今はどこも出来ないのです。ロシアさえも、
ダブったお金を使った、国際金融機関のゲームにはかなわないのです。
● つまり、制裁と言う名の資源価格の売りによる、価格のコントロール、さらには金利を上がて、
お金をUSA/西欧に集める仕組みは、今は中共には出来ない相談でしょう。日本さえも
西欧の金融帝国には翻弄されているのです。
● 従って、金利の予想、景気の予想などが、AIIBの浮き沈みを規定する重要なファクターと
思われますから、金利の予測でAIIBの運命を予測できることになるでしょう。
世界に輸出して稼ぐ以上、チャイナが西欧の景気に敏感なのは当然です。
● お金は好景気の時は、直接企業が借りて、投資しますから、金利は上がります。逆に不景気の時には
下がるのが普通ですが、しかしスタグフレーションという現象が過去にあったように、不景気でも
金利が上がる事があるのが、事態を少し複雑にしています。
● 景気の波30年サイクルと60年サイクルのコンドラチェフサイクルサイクルは、完全には一致しません。
と言うよりも、後者が前者の二倍ある事から、資本家への利益≒金利の還元という
観点からは、完全に後者が主導権を握っていると見る事が出来ます。
● 今後の予測をまとめると、
❶ 2000年からの不景気の時代は、2018~2019年でもって終わる。つまり、2017年前後で大暴落が
起こり、2000年からの30年サイクル不況が終わるといえます。当然チャイナも大暴落
でしょう。予測では上海総合指数は2000以下~1000以上と予測できます。
従って、世界中の投資家が暴落の嵐で損をしますから、資金集めにも支障をきたすでしょう。
また企業への実物投資も減る事は当然です。これではAIIBも浮かばれないでしょう。
❷ しかし、金利は景気とはサイクルの意味が異なりますから、金利は遅くとも今年の末からは
上がると思われます。つまり、暴落作戦で大儲けした国際金融機関はその余分な
お金を預金や国債に回しますから、金利を上がてくれることは助かります。
暴落を心配しながらの株投資ではない、金利収入が助かるのです。
❸ またFRBも金融緩和で余った余分な資金の回収をする必要がありますから、金利の上昇は
暴落で儲けを確定した巨大投資家も、FRBも両者とも助かるのです。
又徐々に金利を上げる事で、資金をUSAに再び戻すのです。
❹ 金利を上げるという事は、逆にお金を借りている新興国にはきついことなのです。従って
新興国の株のバブルは終わるのです。FRBは既に去年の10月から量的緩和の
巻き戻しをしていますから、その時に、金融緩和をして株価を釣り上げた
中国は暴落させられて、ある意味西欧に貢がされたという事なのです。
❺ しかし暴落の後には、再び株価の上昇が起こりますから、つまり、2019年前後から本格的な
西欧の30年サイクルの上昇期が始まります。つまり株価の大上昇と最後の西欧の
好景気が来るのです。これでUSAに輸出したチャイナの株も上がり始めると
言う事です。
❻ 2017年前後の大暴落が始まれば、その前後に商品市場にお金が回りますから、資源国は
最後の好景気を楽しむことは出来ます。商品暴騰の時期です。勿論資源のない国々は、
大変なインフレが来る事になります。ある国々では革命の嵐が来るでしょう。
資源国でない一部の中東や東欧やアフリカ等々です。
❼ 問題は、2020年ごろから始まる先進諸国の好景気ですが、チャイナも輸出で稼ぐとはいえ、
回復した日本や、新興国の再びの台頭で、競争が厳しくなるでしょう。日本が
容赦のない鉄槌を下せば、チャイナと言えども順調な回復は望めません。
❽ また金利は、サイクル理論からは、2046年前後まで上下しながら段々と上がる事が予想できますから、
その金利での、資金集め競争は、新興国のチャイナには厳しいと思われます。
つまり金利が5%~10%~15%と上がれば、利子を払う事は大変な事です。
❾ まだ2029年までは、金利もそれほど高くないし(7~10%前後?)好景気に支えられて、
先進国もそこに輸出する新興国も、ウィンウィンの関係で良いでしょうが、
問題は2029年から始まる、西欧先輩資本主義国の崩壊に伴う不景気への
突入と、さらなる金利の、2046年までの上昇です。
❿ つまり、1966~1982年までのスタグフレーションと似た環境です。不景気なのに金利が高い怖い
世界です。お金を借りている人たちの地獄絵図です。その時にAIIBの命運は決まるのでしょう。
金融帝国でもない国が、高金利でお金を運用できるわけがないのです。
⓫ だからその時に、世界の大不況と資本主義システムの崩壊が起きて、世界の大混乱が
起こるのです。世界的内戦と、共産主義国を中心にした国々の先進国に対する下剋上の
本格化です。世界は戦国時代へと向かうのです。
● 次回は、金利のサイクル=コンドラチェフサイクルサイクルが60年で、景気のサイクル30年の倍である
意味を、支配階級の収奪と言う観点から、説明したみたいと思います。何故60年サイクルなのか?
この分析は、サイクルを見つけたというだけで、知恵者嫌いなスータリンに殺された、
コンドラチェフさんに捧げます。
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