- 欧州関連
- ポーランド国防相、困難な状況下における責任を共有しろとドイツに要求
![](https://grandfleet.info/wp-content/uploads/2022/07/Defense-Minister-Brass-Zack-790x480.jpg)
ポーランド国防相、困難な状況下における責任を共有しろとドイツに要求
ブラスザック国防相はドイツに宛てた28日付けの親書の中で「(ドイツとのRingtausch=装備交換で)不当な利益を得ようとは思っていない。我々の目標は現在の困難な状況下における責任を共有することあり、迅速かつ簡単に使用できる戦車を求めている」と主張している。
自国の安全保障を確保した上で実行可能な提案を行うのではなく『ウクライナ支援』で生じたギャップを埋めるための責任を共有しろ
ポーランドはドイツに「ウクライナに支援したT-72M1×250輌のギャップを1ヶ国で全て埋めろ」とは要求しておらず、米国が2023年初頭からの引き渡し開始に応じたM1A1×116輌、韓国が年内の引き渡し開始に応じたK2×180輌、ウクライナ支援で生じたギャップを必ず埋めると約束したドイツからのRingtausch=装備交換でカバーするつもりだ。
![](https://grandfleet.info/wp-content/uploads/2022/04/hy534yujhn456.jpg)
出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
M1A1とK2の数量を足せばウクライナに提供したT-72M1を十分カバーできるが、あくまで米国は2023年初頭、韓国は年内の引き渡し開始に応じただけで発注した296輌が直ぐ届くわけではなく、ここにドイツから提供される戦車を加えて「1日でも早くギャップを埋めたい」とポーランドは考えており、ブラスザック国防相はドイツのランブレヒト国防相に宛てた28日付けの親書の中で「(ドイツとのRingtausch=装備交換で)不当な利益を得ようとは思っていない。我々の目標は現在の困難な状況下における責任を共有することであり、迅速かつ簡単に使用できる戦車を求めている」と主張している。
ブラスザック国防相は「ドイツが提案したレオパルト2A4×20輌を2023年4月から10月まで1輌つづ、11月から3輌つづ引き渡すという内容は『現在の状況』を考えると我々の期待に答えられないものだ。さらにウクライナに提供した装備より戦闘価値の低く、我々の在庫ない105mm砲弾を使用するレオパルド1A5を提供するという申し出にも関心がない。我々は1個戦車大隊分(ポーランド軍基準なら58輌だが親書では44輌)のレオパルト2A4を出来るだけ早く提供して欲しい」と述べており、この親書の公開に踏み切ったのはランブレヒト国防相の再々提案に対応するためだろう。
![](https://grandfleet.info/wp-content/uploads/2022/07/Leopard2A4.jpg)
出典:böhringer friedrich/CC BY-SA 2.5
行き詰まった交渉を打開するためドイツのランブレヒト国防相はブラスザック国防相に宛てた親書の中で「最新のレオパルド2をドイツ陸軍と共同で調達するか、旧式のレオパルド1A5やマルダーを100輌を提供することも可能だ」と提案したと南ドイツ新聞が28日に報じている。
ランブレヒト国防相は「我々の陸軍在庫からポーランドに戦車を提供すると自国の安全保障とNATOの義務を果たせなくなることを分かってほしい」と訴え、時間は相当かかるもののドイツ陸軍と共同でレオパルド2A7(推定)を調達すれば「ポーランドへの引き渡しを最優先で行うようあらゆる努力を行う」と提案、さらに「旧式のレオパルド1A5やマルダーを100輌の提供ならレオパルド2A7の共同調達よりも早く引き渡せる」とも提案しているらしい。
![](https://grandfleet.info/wp-content/uploads/2022/05/Leopard2A7.jpg)
出典:AMB Brescia / CC BY 2.0
独メディアはレオパルド1A5やレオパルト2A4の提案を拒否されると「ポーランドは最新のレオパルト2(恐らくA7)を要求している」と報じていたが、ブラスザック国防相は「ポーランドが最新の戦車を要求したという独メディアの報道はデタラメだ」と否定しており、結局今回の親書で判明したのは「ポーランド軍が扱い慣れた44輌のレオパルト2A4を出来るだけ早く提供することで困難な状況下における責任を共有してほしい」と要請している点だ。
つまりランブレヒト国防相の再々提案は「レオパルド2A7を最優先で提供するので『早く提供する』という点だけは勘弁してほしい」という意味であり、恐らくポーランド側が親書の内容を公開した意味は「我々のニーズに一致しない提案を繰り返しても無駄で、自国の安全保障を確保した上で実行可能な提案を行うのではなく『ウクライナ支援』で生じたギャップを埋めるための責任を共有しろ」と言いたいのだろう。