★ http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H4X_V21C16A1EA2000/?n_cid=NMAIL003
【ニューヨーク=中西豊紀】「雇用拡大」を公約に掲げて当選したトランプ次期米大統領が、国内製造業へ圧力を強めている。
隣国メキシコでの生産を検討する自動車大手フォード・モーターなどを標的に、ツイッターを介して国内生産を維持するよう迫り、企業は対応に追われる。北米自由貿易協定(NAFTA)の取り扱いも焦点となるが、企業は公約への協力の見返りに大型減税や産業支援などを期待し、駆け引きを繰り広げる。
「感謝祭の日でさえも私はキヤリア社が米国(インディアナ州)に残留するよう精いっぱい働いている」。米国民が家族と過ごす24日の感謝祭の祝日。トランプ氏の唯一のツイートは、空調機器大手に対する「脅し」ともとれる発言だった。
世界有数の空調機器メーカーで日本に東芝との合弁会社も持つキヤリアは2月、2019年をめどにインディアナ州の工場を閉鎖し、生産をメキシコに移すと発表した。従業員への移転通告の模様が動画サイトで流れ、約1400人の解雇が米国内で話題になった。
トランプ氏は選挙戦中の4月に「大統領になれば計画を100%撤回させる」と述べ、労働者の不満の象徴として同社の名前を使い続けた。
同様な攻撃を受けるのがフォードだ。トランプ氏は17日、ツイッターに「(会長の)ビル・フォード氏と電話で話した。ケンタッキー州のリンカーン工場はメキシコには行かない」と書き込み、メキシコ移転の翻意を勝ち取ったと誇示した。
ケンタッキー工場のメキシコ移転計画はもともとなかった。移るのはミシガン州の小型車生産だが、別の車を造るため国内の雇用は減らない。事実を知ってか知らずか、トランプ氏は代表的な米企業をたたいて労働者層の支持を取り込んだ。
「メキシコからの輸入関税を35%にする」。トランプ氏は企業を悪役に仕立て、NAFTA見直しなどの保護主義を正当化してきた。だが製造業のメキシコ移転で関税は理由の一部にすぎない。キヤリアの場合、インディアナ州で時給20ドル(約2300円)の人件費がメキシコでは同3ドルだ。
米企業にとり陸続きのメキシコの利用価値は大きい。米議会の資料によると、メキシコへの直接投資の累計額はNAFTAが発効した1994年に170億ドルだったが、約20年後の15年は928億ドルと5.5倍に膨らんだ。自動車や機械の関連工業の集積が進んだ。
問題は企業がどこまでトランプ氏の意向をくむかだ。キヤリアは「次期政権とは議論を続けている」との声明をツイートした。同社が移転を取りやめれば「禁じ手」だった個別企業への政治介入に前例ができ、影響は米製造業全体に波及する。
米企業も防戦一辺倒ではない。「リンカーン工場はメキシコにはいかない」というトランプ氏のツイートに対し、フォードは「そもそも計画がない」とは反論せず「国内生産を続けられるよう、米国の競争力を高める取り組みに期待している」とコメントした。
トランプ氏は現在35%の米連邦法人税の15%への引き下げや、10年間で1兆ドルという戦後最大のインフラ投資を公約に掲げた。「我々の取引は長期の通商政策の上に成り立っている」。米農機・建機大手ディアのサミュエル・アレン最高経営責任者(CEO)は保護主義をけん制しつつ「政府が建機を買ってくれるならありがたい」と財政出動に期待を示した。
米ワシントン・ポスト紙は「米大企業は国内生産維持の見返りを勝ち取るべく水面下で交渉している」と分析する。
「NAFTAからの脱退または再交渉」を公約に掲げたトランプ氏も、当選後はNAFTAに言及していない。「米自動車ビッグ3が反対する政策はとりにくい」と読む業界関係者は多い。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
● 英国のEU離脱から始まった、反グローバリゼーションの巨大な流れが見えます。
資本主義の流れは、英国から18世紀の中旬に始まりましたが、資本主義の
終わりも、英国から始まりました。
● 英米は体制としてはほぼ同時ですから、間を置かずして、USAが反グローバリゼーション
に転換するのは、歴史の当然の流れでしょう。13年遅れで仏も後を追いますが・・。
● 歴史の巨大な流れですから、個別の企業には圧力は加えないだろうとか、企業はメキシコで
莫大な利益を得ているから、国家も彼の企業には手加減するだろうとか、
ビッグ3に反対する政策はとらないだろうとかは、
歴史が見えていない、甘い考えです。
● 正にエマニュエル・トッドもいうように、英米は自らの造ったグローバリゼーションに疲弊して
自ら、先頭に立って反グローバリゼーションに転換したのです。
● 従って、TPPはトランプは絶対にしないのです。これでもって日本のTPP政策は梯子を
外されたと喜んでいる人もいますが、これも歴史の流れが見えないのです。
● TPPという自由貿易のチキンゲームから、USAが降りた時点で、今後の資本主義の主役≒雄が
決まったのです。勝って雄たけびを上げる、超大国日本資本主義の姿が見えます。
日本の資本主義の主役としての地位はこの時決まったのです。
● 英米は、自由貿易≒グローバリゼーションに耐えられなくなったのであり、言い換えれば、
資本主義の主役の座を降りたのです。つまり、近々資本主義が崩壊するのです。
引退した老人の行く末は、はっきりしています。
● つまり、いつ死亡してあの世に行くのかです。270年の体制を終えた資本主義のシステム
=勿論英米の寿命ですが、やがてシステムは崩壊するのです。その準備をしているのが
トランプ氏と思えばわかりやすいでしょう。資本主義に引導を渡すのです。
ゴルバチョフ大統領がソ連共産主義に引導を渡したように。
● これの上記の個別企業に対する政策が、グローバリストの恐怖と化した時が、世界的株価の
大暴落時と言えましょう。それは何時か? 今日か?年末か? それとも
彼の大統領就任時期か?
● 前にも書きましたが、USAは新高値を作ることはあると、書きましたがその通りに
USAの株価はどんどん上がっています。
● 日欧は新高値を作ることはない、とも書きましたが、現在進行形です。新高値とは
2015年の2万円を少し超えた値です。つまり、日経は2万円前後まで上がることは
あり得るが、その後に大暴落ということです、
● そのきっかけは、トランプ氏か?、はたまた中国か? それともドイツからか?
個別の予測はむつかしいですが。やがてババ抜きゲームの最終章が来ることは
予想できます。
興味深い記事を ありがとうございます。