9時、起床。夕べの残りのハヤシライスの朝食。
金沢市内にある鮨屋「小松弥助」に電話をする。一昨日、大学院の卒業生のO君からメールが来て、「金沢にいらっしゃるなら是非この店に」と薦められた鮨屋である。大変な人気店のようで、一ヶ月先の予約でもとれるかどうかはわからないとのことだったが、平日の午後の時間帯の「おひとりさま」であれば、大丈夫、ちゃんと予約がとれた。普段、私はこういうことはしない。値段の問題はひとまずおくとしても、一ヶ月先のお昼に鮨が食べたい気分かどうかは不確かだからである。しかし、旅が日常からの離脱であるとすれば、普段していないことをするのは旅の要件にあっている。電話に出た女の店員は愛想のよい人で、東京から参りますと告げると、「どうぞ足元お気をつけて」と言った。雪の金沢を思った。
昼食は「鈴文」。親不知を抜いてから初めてのとんかつである。「鈴文」のとんかつを噛み締めることのできる幸せを噛み締める。歯は大切だ。
「鈴文」を出て、その足で大学へ。3時から文研委員会(教授会の大学院版)と思ったら、私の勘違いで、3時半からだった。それまでの時間を「フェニックス」で本を読んで過ごす。時間を間違えるのも(早く来るぶんには)悪くない。文研委員会は普段は教授会の一部に組み込まれているのだが、大学院の入試シーズンは単独で行われる。会議の数が増えるのはやっかいだが、議題は少なく、短時間で終るのが美点である。今日も小一時間で終った。
あゆみ書房で小谷野敦『文学研究という不幸』(ベスト新書)を立ち読みする。お得意のゴシップもので、面白くはあるが、週刊誌と同じでわざわざ買ってまで読もうとは思わない。大学の診療所の待合室とか、教員ロビーに置いておくといいかもしれない。
丸の内オアゾの「アウトパーツ」でショルダーバッグを購入。横型でA4書類が入るサイズ。チャックがないので、幌をめくると開口部分が広く、中のものを取り出しやすいのがよい。仕事とカジュアルの両方に使えるだろう。バッグは一年に一点ぐらいしか購入しないが、たいてい一目見て気に入って購入するので、後から使い勝手が悪いことに気づいて後悔することもある。でも、このTAKEO KIKUCHIのものは打率が高い。
帰宅すると大学の事務所から郵便が届いていた。もしかしたら忘れられているのか(だったら嬉しい)と思っていたが、やはり忘れられてはいなかったのだ。