フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月1日(月) 晴れ

2010-11-02 10:50:16 | Weblog

  8時、起床。コンビニにパンとジュースを買いに出る。1月ほど前に剪定した赤芽からいつの間にか赤い葉っぱが出てきた。ほとんど坊主に刈ったのにすごい生命力だ。


鶏の唐揚げ、レタス、トースト、グレープフルーツジュースの朝食

  午前中はシンポジウムの報告原稿書き。昼食に鮭のお茶漬けを食べてから、午後1時過ぎに家を出て、横浜の山手学院に模擬講義に向かう。私のゼミの4年生のOさんがここの卒業生で、その縁故で、2年前に一度模擬講義を頼まれて出向いたことがある。幸い好評だったらしく、今回、二度目の依頼が来たのである。最寄り駅の港南台までは蒲田から京浜東北線で一本で行ける。所要時間は41分。車内で講義の段取りを考える。高校の授業というのは大学の授業(90分)の半分の45分である。90分という単位時間が身体に染み付いている者からすると、講義を始めたと思ったらすぐに終ってしまう時間である。中途半端な内容にならないように構成を考える。基本的には、大学でやっている講義「日常生活の社会学」の初回の授業のダイジェスト版であるが、ふだん使っているパワーポインとは使わす、生徒との対話を中心に(サンデル教授の「白熱教室」みたいな感じで)やっていこうと決める。
  港南台駅から山手学院までは「徒歩12分」とホームページの道案内に書かれているが、一度来ているところだから、スタスタ歩いて、10分で到着。 正門から校舎までは坂道になっていて、春に来たら並木の桜が見事だろう。

  担当の先生方と進路指導室で雑談をして、2時50分から模擬講義を始める。サンデル教授の授業では、教師が学生をファーストネームで呼ぶ。「ジョン」とか「メアリー」とか。しかし日本の風土ではそれはなじまないので「田中君」「佐藤さん」と苗字で呼ぶ。でも、今日は、教壇に上がってもらった男子生徒に対してだけ、下の名前で呼んでみることにした。「君の名前は?」「○○です」「下の名前は?」「シンペー」です」「シンペー。これから君のことをそう呼んでいいかな?」。教室に笑いが起きる。その男子生徒は一瞬言葉につまったが、「はい」と答えた。「シンペー、君の好きな食べ物は?」。再び教室に笑いが起きる。作戦成功である。シンペー答えて曰く、「アボガドです」。どっと笑いが起きる。うん、いいキャラクターだ。今日の講義がうまくいったのは、半分はシンペーのおかげである。ありがとう、シンペー。
  予想していた通り、45分はあっという間に過ぎたが、その後の質問が的を射たいいものだったので、15分ほど延長して、説明したりなかった部分を補うことができた。いい質問ができるというのはちゃんと講義を聴いていてくれている証拠である。講義が終ってからも、何人かの生徒が質問に来たり、指定校推薦で来春早稲田大学に入学することになっている生徒たちが挨拶に来たりした。文化構想学部と文学部に来る生徒には、今日の続きは講義「日常生活の社会学」で聴いてくださいと言っておいた。進路指導室まで来てくれた熱心な生徒にはテキスト『日常生活の社会学』(学文社)を進呈した。


ケーキと珈琲で慰労される

  帰宅したのは6時ごろ。それからジムに行って、筋トレ2セットと有酸素運動35分をこなす。土日とジムにいっていないので、今日はぜひ行こうと決めていた。頭や神経が疲れたときは、身体も疲れさせないと、バランスが悪いのだ。心身のトータルな疲労はトータルな回復につながる、というのが私なりの理論である。トレーニング直後に計った体重は今年の最小値を記録した。
  夜はシンポジウムの報告原稿書き。予定枚数にほぼ達したが、内容的にはまだ完結していない。書きつつ、同時に、削らなければならない。それは3日(文化の日)の作業となる。

  2002年の11月1日から始めたフィールドノートが今日で8周年を迎えた。われながらよく続いているものである。今回、教務のお役目を引き受けるにあたって、躊躇した理由の1つは、これまでのようにフィールドノートを続けることができるだろうかということだった。書くための時間が確保できるかということと、書けないこと(制約)が増えるのではないかということだった。ブログを書く時間もないような多忙な毎日はいやだし、ブログも気軽に書けないような不自由な毎日はもっといやだ。でも、これまでのところは、どうにかやっていけている。