フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月12日(日) 晴れ

2017-03-13 02:53:20 | Weblog

8時半、起床。

トースト+目玉焼き、紅茶の朝食。

「トーストを二枚焼いて、卵二つの目玉焼きをつくり、それを食べながらラジオのニュースと天気予報を聴いた。株価が乱高下し、国会議員のスキャンダルが発覚し、中東の都市では大がかりな爆破テロ事件があって多くの人が死んだり傷ついたりしていた。例によって、心が明るくなるようなニュースはひとつもなく聞けなかった。しかし私の生活に今すぐ悪い影響を及ぼしそうな事件は起こっていなかった。それらは今のところどこか遠くの世界の出来事であり、見知らぬ他人の身に起こっている出来事だった。気の毒だとは思うが、それに対して私に今すぐ何かができるわけではなかった。」(村上春樹『騎士団長殺し』第2部、186頁)

私は驚いた。というか、意外だった。『騎士団長殺し』の主人公は朝食にトースト2枚、卵二つの目玉焼きを食べるのか。ずいぶんしっかり朝食を食べるのだな。私はトーストは一枚、目玉焼きには卵一つと決まっている。もし主人公と同じ年齢(36歳)だったとしてもそうするだろうと思う。

私は朝食を食べながらNHKの朝の連続小説をビデオで観る。たいていドラマの時間内(15分)で食べ終わり、二杯目の紅茶を淹れて、新聞に目を通す。ラジオで聴くのはニュースではなく、音楽やパーソナリティのおしゃべりだ。書斎でブログの更新をしながら聴く。

昼食は「マーボ屋」に食べに行く。

四川風麻婆豆腐定食を注文。

普通の(それほど辛くない)麻婆豆腐もメニューにあるが、マスターに尋ねたところ、四川風と普通の麻婆豆腐では8:2くらいで四川風の注文が多いそうだ。そうだろうなと思う。辛いが、この辛さは癖になる。

デザートのマンゴープリンは食後ではなく最初から出してもらった。私は「口直し」としてのデザートを不要だと思っている。麻婆豆腐の味を口の中に残しつつ店を出たいのだ。だからマンゴープリンや杏仁豆腐を最後の最後に食べたくはないのだ。最後の方に食べはするが、本当の最後には食べるのは主役の麻婆豆腐でなくてはならない。

食後のコーヒーを飲もうと思って、「テラスドルチェ」に行ったが満席状態で、「カフェドコバ」に行ったがやはり満席状態で、「ルノアール」に行ったがここでも満席状態だった。満席状態ではあっても一人くらいは座れたかもしれないが、カフェには最適密度というのがあり、満員電車のようなカフェではくつろがない。

こういう場合、私には「切り札」がある。「純喫茶リオ」がある。

ここなら空いているはずだ。もしかしたら客は私ひとりかもしれない。

さすがに客は私一人ということなく(蒲田中のカフェが満席状態なのだから)、若いアベック(死語?)が一組いて、ひと目の少ないことをよいことに、いちゃついていた。マダムはカウンターの隅で何かの書類に目を通していた。耳が遠いようで(90歳前後と思われるので無理もない)「こんにちは」と言ってもなかなか気づいてもらえない。側に行って、顔の近くで、「こんにちは」と言ったらようやく気づいてくれたが、びっくりしていた。

コーヒーを注文。喫煙フリーの店で、お冷と一緒に灰皿がもれなくついてくる。

30分ほど滞在して店を出る。コーヒーは550円。「ルノアール」相場だ。千円札で支払うと、お釣りを出そうとしてマダムがレジスターを叩くのだが、開かない。あせってより強く叩くのだが、開かない。私がそばにいるとプレッシャーになるので、「ちょっとトイレを拝借します」と言ってその場を離れる。少しして戻ってくると、レジスターはようやくマダムの言うことを聞いてくれたみたいで、「はい、おつりです」と450円を渡された。

ぶらぶらしながら家路に着く。街には言葉が溢れている。

「越っちゃん」は「えっちゃん」と読むのだろうが、普通、「えっちゃん」と言えば、「悦ちゃん」だろう。新潟(越後)の人なのかもしれない。

「グレワンビル」。「グレワン」とはどういう意味だろうと考えて、ああそうか、「大一商事」の「大一」のことに違いないと気づく。「グレート(大)」+「ワン」(一)である。いかにも昭和的な名前ではないだろうか。

「サイト―・ビル」。「ビルの持主の名前(苗字)+ビル」という形式でわかりやすい。でも、青島さんのビルの場合、「青島ビル」となるわけで、「青島(チンタオ)ビール」と間違われはしないだろうか。だから「アオシマ・ビル」と片仮名表記にするだろう。

クリントンさんのビルの場合、「クリントン・ビル」となるのだろうか。

「平和商事」。これもいかにも昭和的な(もちろん昭和戦後期の)名前だ。社長は小林圭樹のような感じの人に違いない。少なくとも初代社長はそうだったはずである。

「香奈児」と書いて「シャネル」と読ませるのか。どう読んでも「カナコ」だろうと思ったら、中国語では「シャネル」は「香奈児」と表記するということを知った。勉強になります。

「銀河系ラーメン」。やたらに「〇〇系ラーメン」と吹聴する風潮を皮肉った素敵なネーミングである。 暖簾分けして「太陽系ラーメン」を名乗る店も現れるかもしれない。

タンメンのことを「草食系ラーメン」、チャーシューメンのことを「肉食系ラーメン」としたらどうだろう。

夕食は焼き魚(鯵)、サラダ、けんちん汁、豆ご飯。

豆ご飯は、昨秋、宮本農業の宮本君からいただいたものの一部を冷凍にして保存しておいたもの。冷凍にしても香りがしっかりしている。

デザートは昨夜に続いてバームクーヘン。

WBCの日本対オランダの死闘を横目で見ながら仕事をしていたら夜中までかかってしまった。

3時、就寝。